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プロローグ
地方にある小さな町。周りに家はなく、見晴らしの良い緑豊かな景色が続く。
その町のはずれ、後ろに大きな山を構える一軒家。
その庭のある納屋。看板はないが中にはたくさんのお菓子が並べられている。おそらく商店、並べられている内容から駄菓子屋と思われる。
そこに一人の少女がやってくる。
「ハジメ、ハンコちょうだい」
「はいどうぞ」
「ん、お菓子選ぶ」
ハジメと呼ばれた男性が差し出されたスタンプシートにハンコを押す。少女は店内に並べられたお菓子を選ぶ。
「今日はこれ」
二人は外にあるベンチに座るとお菓子の封を開け食べ始める。
「ん、やっぱりこのサクサクは最高」
少女が選んだのは棒状のスナック菓子、国民的有名な駄菓子だ。
駄菓子をリスのように食べる少女。頭に生えた猫耳がぴょこぴょこ動いている。
少女の名はクロ。黒髪の頭には猫耳、背中からは揺れる二本の尻尾が覗いていた。
これはひょんなことから祖母の遺産であるこの家と山を継いだ青年、遠野ハジメとあやかし少女たちのお話。