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王女と過ごす最後の授業 25

 ローラント王国の王都を司る巨大都市ローゼンハイムには、100万を越える住民が住んでいた。そこは、国家最大の軍事拠点・商業拠点であると同時に、世界でも有数の魔法都市でもあった。

 ローラント王国の開祖であり、叡智王と崇められた魔術師ロキの偉業を称えるため、そしてその魔術の探求の成果を後世の人間が広く学ぶために、このローゼンハイムには数多くの魔法学校が建立された。

 魔法学校の特徴は、はた目にすぐに分かる。赤い急傾斜の円錐の屋根をもつ、背の高い建物がそれだ。それは石灰岩から作られた海辺の白い町並みと、強いコントラストをなしていた。

 魔法学校では、貴族の子弟だけではなく、下層階級の人間からも広く生徒を募り、別け隔てなく魔術の探求に勤しんでいた。魔術を学ぶものに貴賤なし。ただ真理の探求のみがある。それが、ここローゼンハイムの、魔術界のモットーだった。

 ローラント国家第一魔法学校は、そんなローゼンハイムの中でも最も優れた生徒達が通う、国内最高峰の魔術師候補生のための学び舎だった。

 いま、その学校で、年に一度の進級試験が行われるところであった。

 

「では、セーラさん、試験を始めてください」


 静かな広い講義室に、年かさの女性の高い声が響いた。彼女は、ウェーブした豊かな白髪の上に、黒い三角帽をかぶっていた。それは、誰しもが頭に思い浮かべるような、保守的な魔術師の装いだった。彼女の名はイエレンと言い、この魔法学校に長年勤めている教師であった。

 セーラと呼ばれた女生徒が立ち上がった。彼女は、つややかに波打った、金の豊かな長髪を持っていた。フリルで縁取られた青いスカートの下には、黒いタイツに包まれた細い足首が覗いていた。そして、純白のブラウスの上に、スカートと揃いの青いケープを羽織っていた。彼女は茶色いローファーをこつこつと床に響かせながら、教卓の前に進みでた。

 彼女は、国王の係累であり、座学も魔法も最高の成績を収めていた。その美しい容姿は、男子も女子も虜にした。彼女の一挙手一投足は、常に全校生徒の注目の的であった。

 彼女は教卓の前に立った。教卓には、真鍮の杯に立てられた、火のついた蝋燭が置かれていた。 

 階段教室にずらりと並んだ生徒たちが見守る中、セーラは両手を蝋燭の火に掲げた。生徒たちは、息を呑んでそれを見守った。

 静かに揺らいでいた蝋燭の炎は、彼女の手に包まれると、ピタリと動きを静止した。やがて炎を形を変え、あたかも糸を引く蜜蝋を逆さにでもしたように、天井に向かって赤く細い糸を引いた。

 セーラは目を閉じ、強く祈った。すると、炎の細い糸はゆらゆらと揺れ、まるで糸くずのように、幾度となく折れ曲がった。そして、それは炎心の真横に、一列の炎の韻文を描いた。

 それは、エルフの高名な詩人ハーツ=ディシュターが詠んだ、著名な詩の一節だった。

 セーラは高らかな声を出して、その詩を読み上げた。


「|風は旅人《eld an suran》 |空を駆け巡る《jhacktüm suran》 |どこまでもどこまでも《im kennan ӛura》」


 セーラは一節を読み終えると、炎の文字を変形させた。そして、次の一節を浮かび上がらせた。


時には(sӧmeo) 荒々しく(rougӫn) |時には優しく《sӧmeo kennen》」


 イレインは腕組みをしながら、うんうんとうなずいた。彼女は心のなかで思った。この子は期待を裏切らない、まったく良くできた生徒だ。


「|風は旅人《ünd s willow》 |時空を超えて《tima oval ӫn》 |過去と未来をつなぐ《connn post fast ӫm》……」

「んぎゃあああああああああああ!!!」


 突然、女生徒の奇声が教室中に響き渡った。セーラの集中が途切れ、炎の文字は空気中に雲散霧消した。

 イエレンは、顔をこわばらせて固まっているセーラを見て、深く深くため息を付いた。そして、顔を上げて、教室の最後尾の席を睨みつけた。そこでは、黒い長髪をおさげにした眼鏡の女が、慌てて口を塞いでいた。

 彼女の名は、ドアンナといった。彼女は、不健康なほど白い肌に、ツギハギだらけのローブに身を包んでいる、貧乏学生のうちのひとりだった。。

 彼女は、生活費を稼ぐために、授業中にしょっちゅう内職をしていた。本来学生の身分では禁止されている冒険者ギルドの依頼を受けて、季節外れの花や果実を咲かせる仕事を請け負っているのだ。

 案の定、今も彼女は膝の上に植木鉢を抱えていた。大方、魔法操作をしくじり、植木鉢の中身を台無しにしてしまったのだろう。

 イエレンは大きくため息を付いたあと、大声でドアンナを怒鳴りつけた。


「ヽ(#`Д´)ノドアンナ!!!」

「あっ、はっ、はい!ヾ(゜ロ゜*)ツ!うわっ(;゜Д゜)!」


 ドアンナと呼ばれた少女は、急に名前を呼ばれ、びっくりして声を上げた。その拍子に、彼女は再び魔力操作を誤ってしまった。

 魔力を込められすぎてしまったガーベラは、鉢の栄養を吸い付くし爆発的に伸び始めた。黄色い花弁が植木鉢から溢れ出し、あっというまに机のまわりを埋めた。それでも花は成長を止めず、その蔓はドアンナの腕を絡め取ると、彼女の体をぐるぐる巻きにして締め上げた。

 

「ぎゃーーー!(꒪ཀ꒪)ぐるじぃぃいい」


 ドアンナがそう叫ぶと、教室中が笑いの渦に包まれた。

 イエレンはつかつかと足音を立てながら教室の後ろまで歩くと、腰に手を当てて、ドアンナに覆いかぶさった。


「ドアンナさん、あなたは内職なんてしている余裕がおありなのですか?あなたは、ただでさえ落第すれすれなんですよ?」


 イエレンがそういうと、彼女の両隣の生徒はニヤニヤと笑った。イエレンは目ざとくそれを見つけると、ふたりも叱った。


「アンナさんにレイセンさんも。あなた達も人のことを笑っている場合じゃありませんよ!友達なら彼女を注意しないと。そんなだから、あなたたちはまとめて三馬鹿と呼ばれてるんじゃありませんか?」

 

 急に教室中に名指しされ、アンナはびくりとして固まった。レイセンは、顔を真赤にしながら、へなへなと身を縮こまらせた。その様子を見て、クラス中に静かな笑いが広がった。

 そんな中、試験をぶち壊しにされたセーラは、つかつかと足音を立てながら教室を横切ると、イレインの脇を通り過ぎて、ドアンナの真横に腕を組んで仁王立ちになった。


「……(ಠ_ಠ)ドアンナさん?」


 そばでにらみつけるセーラに、ドアンナはそっぽを向いて答えた。


「……(  ̄^ ̄)何よ」


 つっけんどんなドアンナの返事に、セーラの怒りが爆発した。


「ヾ(`ヘ´)ノ゛んむむむむ(♯▼皿▼)ノノノっっきぃぃいいい!!!」


 セーラは突然大声で奇声を上げると、丸めた拳でドアンナをぽかぽかぽかと叩きだした。


「痛っ!痛っ!先生、このひとを止めてください!(;´Д`)」


 ドアンナが頭をかばいながら懇願したが、イエレンは冷たく言い放った。


「いいえ止めません。セーラさんが怒るのも無理のないことです」

「そんなあ(; ̄Д ̄)」


 半泣きで嘆くドアンナを尻目に、イエレンは教卓の方を指さしながら、命令した。


「なんならいい機会ですから、ドアンナさん。あなた今から試験をやってみせなさい」

「げー」


 ドアンナは、そろりそろりと教卓の前まで進み出た。そして、蝋燭の炎に手をかざし、包み込んだ。

 教室の空気がわずかに揺れた。魔法使いの卵たちは、空気中のわずかな変化を感じ取った。ひょっとするとなにかが起こる、そんな予感を、みなが感じた。

 教室は一転して静まり返り、みながドアンナの所作を一心に見つめた。

 セーラのときと同じ様に、蝋燭の炎はゆらぎを止め、その天辺は細く赤い糸となった。

 ドアンナの手の中で、炎の糸は屈折した。それは幾度も幾度も折れて、重なった。そして、蝋燭の真横に、赤いひとかたまりの糸くずを形作った。

 それは、まるで誰にも解読不能な、こんがらがった糸のようなへろへろ文字だった。

 イレインは、その糸くずを指で突きながら、訊ねた。


「……これはなんですか(·_·)」

「え~これは有名な詩です。なんとかかんとかさんの(´ε`;)」

「そうですか。では声に出して読んでください(·_·)」

「ええ~それは……うう(; ゜゜)……ええと……」

「……(=_=)補修です」

「びえん(;▽;)」


 教室に再び、くすくすとした静かな笑いが広がった。

 ドアンナは席に戻り、試験は再開された。そして、ひとり、またひとりと合格し、結局全員が合格した……最後列に座っている、三馬鹿以外の全員は。結局、三馬鹿トリオは、補修のために放課後に残るよう言い渡された。


「さて、今日で今学期の授業は終わりですが、最後にひとつ、大事なお話あります」


 教室は静まり返った。先生がこれから何を話すか、みなわかっていたからだ。


「今日は、王女殿下がみなさんとお受けになる、最後の授業になります。王女殿下、こちらへ」


 教室の、最後列右端に座っていた生徒が、席から立ち上がった。彼女の、赤く豊かなウェーブした髪が、窓から差す光に照らされて、輝いた。彼女は、教壇の前に立つと、三角帽を脱いだ。

 やがて、彼女の頭上に、黄色く輝く天使の光輪が現れた。光が生徒たちを照らした。アマンダは、一呼吸を置いて、話し始めた。


「みなさん、今日まで私と共に授業を受けてくれて、本当にありがとうございます」彼女はそう言うと頭を下げた。「みなさんと過ごした六年間は、私にとってとても幸福なときでした。みなさんは、私の誇りです。これから、みなさんはそれぞれ別の進路に進んでいくでしょう。でも、いつまでも、この教室で学んだことを忘れないでください。そして、いつまでも、自分を信じて、夢に向かって進んでいってください」


 アマンダは、生徒たち一人ひとりに目を合わせながら、そう言った。生徒たちの何人かは、アマンダの言葉を聞きながら、涙を流した。彼女は、最後にイエレンに向き直り、言った。


「先生、今日まで本当に、ありがとうございました」


 イエレンは、目尻に浮かぶ涙を拭った。

 ひとり、またひとりと手を叩き出し、やがて教室中に、拍手が鳴り響いた。その万雷の拍手の中、最後席のドアンナが立ち上がり、前へと進み出た。

 彼女は、その両手に、薄葉紙に包んだ目一杯のガーベラを抱えていた。ガーベラの花言葉は、神秘、そして希望だ。

 ドアンナは、アマンダの前に立つと、花束を差し出しながら、言った。


「アマンダ、おめでとう」

「ありがとう」


 アマンダは、両手いっぱいの花束を受け取った。それは、あまりの量が多くて、受け取ったときにアマンダの顔が埋もれてしまうほどだった。


「……多( ̄▽ ̄)」


 花束越しにアマンダノくぐもった声が聞こえた。


 教室は、再び笑いに包まれた。こうして、終業式の日、王女の最後の授業の日は、幕を閉じた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


城下町では、王女の戴冠を祝う祭りが開かれていた。ドアンナたちは、街へと繰り出した。

街中は、人々の歓声と笑顔で溢れていた。

色とりどりの屋台が立ち並び、人々は食べ歩きや買い物を楽しんでいた。

ドアンナの鼻に、甘い匂いが漂ってきた。彼女は、匂いにつられてフラフラと通りの脇へとそれた。


「(☆∀☆)クレープ欲しい!」


 ドアンナが、クレープ屋の行列を指さして言った。


「(⊙ꇴ⊙)クレープ欲しい!」

「( ̄Д)……じゃあ買えば?」


 金髪ボブの少女がそう答えた。彼女は、ドアンナとつるんでいるクラスの三馬鹿トリオの一人で、レイセンといった。

 彼女は、亜人だった。細く柔らかい金色の髪の間から、ピンとたった狐耳が突き出していた。膨らんだローブの裾からは、金色に輝く狐尾が覗いていた。

 彼女は、はるか東方の瑞穂の国から来た。ローラントが瑞穂と国交を結んだ際、数多くの金色の国礼に混じって、漆の棺に入れられて彼女が送られてきたのだ……つまり、彼女は愛玩品の一つだった。しかし、王は彼女を自由にした。そして、彼女は、普通の少年少女と同じ様に学校に通い、魔法使いの道を歩んだ。


「(≧∇≦)買えない」

「( ̄Д)なんで?」

「(^o^)o お金がないから!」

「( ̄Д)なんでお金がないんですか?」

「( ゜∀ ゜)それは、貧乏人だからです!」

「( ̄Д ̄) 奇遇ですね。わたしも貧乏ですのでお金がありません」


薄紫色のショートボブをした女の子が、笑いながら財布を出した。「ははは、まったくもう。(ノ´ー`)しょうがないわね~」そして、三人分のクレープを買った。


 彼女の名前はアンナと言った。彼女もまた、三馬鹿トリオのうちの一人だった。彼女はたった一つの魔法しか使えず、学校では、常に落第未満の成績しか得ることはできなかった。

 それでも彼女は進級し、そして卒業するだろう。なぜなら彼女の魔法は、特別だからだ。彼女は、闇の魔法の使い手だった。 

 闇の魔法は、本来、悪魔のみが扱うことのできる魔法だ。彼女の出自も、なぜ闇の魔法を扱えるのかも、全ては禁忌のベールに包まれていた。彼女は、本来、普通の人間が触れることのできない、国体の秘密だった。彼女は本来、日の当たるところに出ることはない人間だった。

 しかし、彼女はこうしてドアンナたちと肩を並べ、王女とともに魔術を学び、そして共に遊んだ。あるいはそれは、王たちの実験なのかもしれない。しかし、それでも、彼女がドアンナとレイセンとの、無二の親友であるという事実は揺らがなかった。

 アンナはクレープをドアンナとレイセンに手渡した。ドアンナは、クレープにぱくりと噛み付いた。


「( ‘༥‘ )ŧ‹”ŧ‹”」

「(๑°༥°๑)ŧ‹”ŧ‹”」

「( ˘ω₍˘ )ŧ‹”ŧ‹”」

「(○`~´○)ゴックン」

「('-'*)……」

「(・ω・ )……」

「( ・ω・)……」

「(゜ε゜ )ブッ!!」

「( ´∀`)アハハハ!じゃあ、そろそろ行こっか」


 大声で笑い転げる女学生に、通りを行き交う人々はちらりと怪訝な視線を向けた。三人は、そんなことはちらりとも気にせず、再び道を歩き出した。



 道は、進めど進めど人々の雑踏でいっぱいだった。大通りでは、あちらこちらで様々な出し物が行われていた。

 高い柱の庇に、エルフの吟遊詩人が腰掛け、リュートを奏でながら歌を歌っていた。目を閉じ、金の長い髪を揺らしながら歌う歌人を、若い女の子が恍惚とした表情で見上げていた。

 その先の広場では、人々が旅のサーカスを取り囲んでいた。太った大道芸人が口から火を吹くと、人々が歓声を上げ、逆さに置いたシルクハットにコインを投げ入れた。


【レイセン】「(゜∀゜ )あたしもあれならできる!」


 レイセンは突然そう叫ぶと、演者たちの輪に入ろうとした。ドアンナたちは、あわててその手をひっつかんだ。


【アンナ】「(^。^;)こらこらこら」

【レイセン】「( ̄▽ ̄)別に冗談だっつーの」

【ドアンナ】「(´▽`;)お前ふざけんじゃねーぞ」


 彼女達がその場を離れ、道を進むと、人だかりから歓声が上がっていた。中を覗いてみると、東方から来た踊り子たちが、ほとんど半裸の格好で踊っていた。汗を振り払いながら踊る踊り子たちに、男たちの目は釘付けになっていた。際どい衣装からは乳房がこぼれ、下着の暗い場所から女性器の膨らみが覗いていた。こんな格好は、祭りの今しか許されないだろう。

 レイセンがあることに気づき、二人をつつくと、指である人物を指さした。


【レイセン】「( *´ノェ`)あのさあ、あの黒い服のおっさん見てみ?」 

【ドアンナ】「うん?」

【レイセン】「(*´ノo`)すげー勃起してる」

【ドアンナ】「そんなん知りたかないわよ(´▽`;)どこ見てんだ」


三人は、また笑いながらその場を離れた。

道の先は、さらに混んできた。彼女たちは、体を半身にしながら、人をかき分けて噴水のそばに進んだ。そこには、待ち人たちが待っていた。

 

【セーラ 】「(#゜Д゜)遅いですわよ!」

【ドアンナ】「ごめんごめん。クレープ屋に並んでたら遅れたわ」

【 レイ 】「お前らのんきに街歩きなんかやってるけどさ、そもそも補修は受けなくていいのかよ」


 長い藤色の髪をツーテールにまとめた女が言った。彼女の名前は、レイと言った。丈の短いスカートに、高いハイヒールを履いていた。彼女は、セーラについで常に成績は二番手で、セーラとはいつもつるんでいた。


【ミランダ】「まあまあ。今日ぐらいなら先生も何も言いませんよ。ね?」


 ミランダが言った。彼女は神官だった。腰までの丈の薄黄色の髪に、裾の長い真っ白なガウンを羽織っていた。彼女もまたセーラの取り巻きの一人であり、三人はいつも一緒に行動していた。


【ドアンナ】「いや、先生は私らのために、一人で教室に残ってた」

【ヒルダ 】「(; ゜∀゜`)っじゃいかなきゃだめじゃん」


 薄緑色の、嵩の多いウェーブした髪の女の子が答えた。彼女は子供だった。彼女はヒルダと言い、二年飛び級でドアンナたちと学んでいた。彼女は、いつもセーラたちの後ろに引っ付いていた。


【ドアンナ】「いいんだよ今日ぐらいさぼっても。ペトラ、お前もそう思うだろ?」

【ペトラ 】「ぜったい行ったほうがいいとおもいますよ(ᓀ‸ᓂ)」

【ドアンナ】「はあ。あいかわらず冷たいなあ」


 栗毛の巻き毛をした小人が答えた。彼女はペトラと言い、王女の侍女兼護衛だった。彼女は、常いかなる時も、王女のそばに付き添っていた。

 フードに頭をすっぽり覆った、ちんまりした女の子が、ドアンナの前に一歩進み出た。彼女の赤い巻き毛が、フードの裾に覗いていた。彼女は、フードの奥からドアンナを見上げた。


【アマンダ】「じゃあみんな揃ったし、いこっか」


王女はそう言った。ドアンナたちはうなずいた。そして彼女たちは、祭りの喧騒へと繰り出した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

彼女たちは、王城の窓のしまたまできた


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


アーニャちゃんあーそーぼ

あらかわいらしい名前ですこと


この方は、アリアン帝国皇女


金髪



わたしのことです


窓から飛び降りる


ちょっと、アマンダ様!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 お祭りに浮かれる昼下がりの街は、歓喜と未来への希望で溢れていた。子供から大人までが、街に繰り出し、無防備に、そして純粋に、隣人とも異邦人とも、互いに喜びを分かち合った。

 なぜならこの国は、天使の光で照らされているから。彼らの未来に、暗い影は塵一つなかったから。


 それは、ドアンナたちにとっても、歓喜の時間だった。そしてそれは、彼女たちの、最後の青春の時だった。

 気がつくと、あたりはすっかり薄暗くなり、空は夕焼け色に染まっていた。

 やがて夕方の鐘がなる頃、彼女たちは、時計塔のそばやってきた。なぜなら、そこには、待ち人がいるから。

 時計塔の下に、5人の青年たちがいた。彼らは、ドアンナたちの同級生だ。そのうちの一人の、ひときわ明るい髪をした背の高い男が、彼女たちに向かって手を振った。

 アマンダも、彼に答えて、小さく手を振った。

 背の高い青年は仲間たちから離れ、ドアンナたちの方へ進み出た。アマンダも、ドアンナたちの輪の中から離れ、青年の方へ歩いた。

 二人は互いにそばに立った。二人はゆっくりと手を絡めあった。青年は、アマンダの頭の上から、彼女の顔を覗き込んだ。

 そして、二人は口づけを交わした。


 二人は、恋人だった。

 背の高い青年は、ダグラスといった。彼は、下級騎士の息子として、厳しい選抜をくぐり抜け、ローラント第一魔法学校で、王女とともに学ぶこととなった。二人はそこで出会い、いつしか物心ついた頃から、愛し合っていた。

 それは身分違いの恋だった。二人の愛は、成就することはないだろう。だから今だけでも、二人には、できるだけそばで、共に時間を過ごしてほしかった。

 ドアンナは、少し肌寒さを感じた。気づけば、あたりはすでに暗くなっていた。


【ドアンナ】「さあて。そろそろおこちゃまは帰る時間かしら」


ドアンナはヒルダに言った。ヒルダは頬を膨らませて反抗した。


【ヒルダ 】「まだ帰りたくないです。他にも子供なんて、たくさんいるじゃないですか」


 そう言って、ヒルダはペトラを見た。ペトラは顎を引いて、ヒルダを睨み返した。


【ペトラ 】「なんで私のほう向くんですか。これでも私は十八歳なんですが(ᓀ‸ᓂ)」

【ヒルダ】「ひん」

【 レイ 】「ヒルダ、わがままいってないで帰んな。門限過ぎたら寮監にどやされるよ」

【ヒルダ 】「でも、あたしもみんなと一緒に花火みたいから……」

【ミランダ】「ごめんなさいね。あなたを飛び級入学させるとき、学校はあなたの御両親と色々約束してるのよ。例えば友達いっぱい作ってあげてとか、夜遊びはさせないでとか、そういうことをね」

【ヒルダ 】「でも……」

【ミランダ】「私も一緒に寮に帰るから、屋上で緒に花火見ましょう」

【ヒルダ 】「……うん、わかった」


ヒルダは、渋々納得した。そして、皆を振り返り手をふると、ミランダに手を繋がれて、寮へと帰っていった。


【 レイ 】「ああ見ると、まだまだ子供だな」

【ドアンナ】「そうだね」


ドアンナはヒルダの背中を見送った。気づくと、アマンダたちも歩きだしていた。ドアンナたちは、遠巻きにふたりについていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 日が落ち、空は暗くなった。しかし、祭りの夜ははじまったばかりだ。出店の明かりで街は煌々と照らされて、人びとの足どりは絶えることはなかった。

 宿はどこも満席だった。ここ数日はどの家も不夜城のごとく、夜遅くまで明かりが点っていた。

 アマンダとダグラスが止まっている宿も、そんな宿の一つだった。ふたりは、明るい窓辺に立ち、祭りを見下ろしながら、長いこと抱き合っていた。



アマンダは彼女たちに気づくと、笑いながらしっしと手を払った


「あっちいけってさ」


そういわれてもね~、どこから監視すればいいのやら

あ、あそこ

アイルがいるよ


いってくれば

うん


こくれ



 ドアンナは、通りの反対側の家の屋上に登った。なるべく王女とダグラスは二人きりにしたいが、だからといって護衛を解くわけには行かないので、こうして遠くから監視しているのだ。彼女が屋上へ続く階段をそろそろと上ると、そこにはすでに、見知った先客がいた。


【アイル 】「あんな窓辺でいちゃいちゃされちゃかなわんな。いつどこで誰に見られるやら」


 男が言った。彼は、細い金色の髪に、赤い唇を持った、美しい男子だった。彼の名前はアイルといい、ドアンナとは古い馴染だった。彼もまた、王女の同級生であり、王女と同じ学舎で学んでいた。


 アイルは荷袋から遠眼鏡を取り出すと、向かいの窓辺を覗き込んだ。ドアンナは、横目でアイルの横顔を覗きながら、言った。


【ドアンナ】「あのふたり、うらやましいな。」

【アイル 】「ん?」

【ドアンナ】「恋していて。愛し合っていて。絶対に叶わない恋でも、今は互いに夢見てるから」

【アイル 】「なんで叶わない恋なんだ?」

【ドアンナ】「え?だって、身分が違いすぎるじゃない」

【アイル 】「別に王は問題にしてないだろ」

【ドアンナ】「え?……なんであなたにそんなことわかるの?」

【アイル 】「さあ」

【ドアンナ】「さあって何よ……」


【ドアンナ】「あなた、恋とかしたことあるの」

【アイル 】「そりゃあるよ」

【ドアンナ】「嘘よ、あなたみたいな朴念仁が」

【アイル 】「なんだそりゃ」

【ドアンナ】「じゃあ聞くけど、好きな人いるの?」

【アイル 】「……話したくない」

【ドアンナ】「いいから答えなさいよ、誰なの」

【アイル 】「あー」


 アイルは天を仰いだあと、ぽつりと言った。


【アイル 】「アリアだよ」

【ドアンナ】「え」


 彼女は、腰までの丈の亜麻色の髪を持った。彼女は、エルフの王女だった。彼女もまた、王女の学級の同級生だった。

 彼女は、この学校の中でもっとも美しい女性だった。


【ドアンナ】「いやいやいやいや……あなたには無理じゃない?高嶺の花すぎるでしょ」

【アイル 】「いや、ていうか」


アイルは遠眼鏡を目からはずすと、ドアンナを見て言った。


【アイル 】「……おれたち付き合ってるんだけど」

【ドアンナ】「(゜ロ゜)」


 ドアンナは、二の句がつけず口をぽかんと開けた。スキットルが、ドアンナの手から滑り落ち、床に衝突してガシャンと大きいな音を立てた。

 彼女は、震える手でそれを拾い上げた。


【ドアンナ】「え……いつ?いつから?(¬o¬;)」

【アイル 】「十三のときかな」

【ドアンナ】「んな( ゜Д゜)」


 うそ。うそだ。ありえない。十三ってことは、五年間も?

 そんなこと、全然気づかなかった。ありえない。

 ドアンナは、スキットルを呷ると、一気に中身を飲み干した。急に酔いが回り、頭がズキズキと痛みだした。


【アイル 】「あ」


 唐突に、アイルが声を出した。彼女もアイルの視線を追うと、通りの向かい側で、ちょうどアマンダが窓のカーテンを閉じているところだった。クリーム色のカーテンに遮られ、ふたりの姿は淡い影しか見えなくなった。

 

【ドアンナ】「あいつら~」


ドアンナの心のなかに、急に怒りがふつふつと湧いた。彼女はすくっと立ち上がると、欄干によりかかり、大声で叫び始めた。


【ドアンナ】「まだ夜もふけこむ前からおっぱじめやがってぇえ\(*`∧´)/」

【アイル 】「はは」

【ドアンナ】「ちきしょー、見せつけてんじゃねー(´Д`//)」

【アイル 】「ははは( ̄▼ ̄*)お前、酔ってるよ」

【ドアンナ】「(」゜Д゜)王様ぁあ!!あんたの娘、ホテルに男連れこんでパコってるよ~」

【アイル 】「やめろって。声でかい(´∀`;)」


 アンナが大声で叫びだすと、アイルは、あわててドアンナの口をふさいだ。しかし、ドアンナは構わず叫び続けた。


【ドアンナ】「王女と下級騎士ぃ!( ゜ロ゜)禁断の愛に燃え上がるふたりわぁ!( `皿´)今日は何発発射する気だぁ~ヽ(`Д´)ノ」


 向こうのカーテンが揺れ、隙間からドアンナの顔が覗いた。彼女は屋上のドアンナを見つけて睨みつけた。

 アイルがドアンナをベンチに座らせると、彼女はその手を振り払った。


【ドアンナ】「ちなみに君は、もうセックスしたの?( ๑ㆆ ㆆ)」

【アイル 】「え、なにを?」

【ドアンナ】「(#゜Д゜)セックスだよセックス!聞こえてんだろ。アリアとセックスしたの?」

【アイル 】「ははは。まあそりゃあね。」

【ドアンナ】「(`□´)何回!」

【アイル 】「何回って……んー。」


 愛瑠は顎に指を当てて、計算した。


【アイル 】「毎日朝晩二回、休日は三、四回はするとして、年に千回ぐらいかな?十三のときから五年間やってるから・・・合計で五千回ぐらいかな」

【ドアンナ】「(:.o゜з゜o:.)ブッ!!」


ドアンナは、頭をぶん殴られてような衝撃に、言葉を失った。


【ドアンナ】「なっ……五千……五千……五千て……(@_@;)」


 ドアンナは急に足取りがおぼつかなくなり、ふらふらと欄干にもたれかかった。


【ドアンナ】「(((( ;゜Д゜)))ごごごごご(((゜ω゜;)))せせせせせせ(꒪ཀ꒪)ぅおええええええ」


 ドアンナは、吐いた。アイルが駆け寄ってきて、彼女の背中を擦り、ベンチに座らせた。

 ドアンナの頭の中で、ぐるぐると、様々な思いが交錯した。

 五千って。五千って。五千ってなんだよ。

 そのうち二千五百回ぐらい、わたしに分けてくれよ。(╥﹏╥)

 別に純血なんか期待していない。愛し合う男女がセックスするのは当然だよ?だけど、でも、五千回ってなんだよ。

 あたしのほうが、アイルのこと、先に好きだったのに。

 いつから彼を愛していたのかは、自分でもよくわからない。ドアンナはいつも、彼の美しさを目で追っていた。年頃になり、かれの美しい金髪が、透き通るような白い肌とコントラストをなす赤い唇が、ほかの女子にとっても特別なものなのだと知ってから、自分の視線が恋心だと気づいたのだ。

 目尻に涙が溢れそうになり、ドアンナは顔を背けた。この涙を見られたら、どうしよう。この涙の意味を悟られたら、自分はどうしよう。


【アイル 】「なあ、下にレイセン達集まってるぞ」


 道を覗くと、レイセンたちが、歩道に集まって何やら話していた。


【アイル 】「俺たちはここで監視してるから、お前たちは花火見に行っていいぞ」

【ドアンナ】「あたしはいいよ。ここからでも花火は見れるし。」

【アイル 】「別に遠慮するなよ。お~い、レーセン!」


アイルは大声で下の大通りに向かって呼びかけた。レイセンたちはこちらを見上げ、ドアンナと目があった。しかし、彼女たちは、なにか耳打ちし合うと、海岸の方へ歩いていった。


【アイル 】「なんだあいつら。お前のことほっといていっちゃったぞ。薄情な奴らだな」

【ドアンナ】「ははは、そうかもね……( ̄^ ̄゜)」


 突然、花火が空に上がるひゅるるという音が、夏の夜空に響き渡った。

 赤く輝くかんしゃく玉は、空高くに舞い上がると、色とりどりの火花となって、夏の夜空に大きな花を咲かせた。

 次々に、大小の花火が打ち上げられた。通りを征く人々は、立ち止まって、花火を指さした。

 明るく瞬く火花の閃光が、人々の笑顔を色とりどりの光で照らした。


【ドアンナ】「綺麗だね」

【アイル 】「だな」


ドアンナは、屋根に腰を下ろすと、誰も気づかないぐらいほんの少しだけ、アイルの方ににじり寄った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 こうして、長い夜は更けていった。

 ドアンナは、いつの間にやら沈んでいた眠りから目覚め、顔を上げ、あたりを見回した。 

 夏の夜更けは明るかった。時計塔を見ると、時刻はまだ四時だった。日が昇るまでまだ一時間もあるのに、空は青く、白い綿雲がはるか高い空をゆっくりと泳いでいた。

 彼女は、階段を登ってくる足音に気がついた。そちらの方を向くと、自分の肩に、なにかが掛けられていることうに気がついた。

 ドアンナが肩からそれをはずすと、それはアイルの羽織っていた外套だった。


 「おーい、起きてるか~」


 階段の下から、声がかけられた。見ると、それはレイの声だった。彼女に続いて、ミランダ、そしてレイセンが、階段を登ってきた。

 ドアンナは、寝ぼけ眼で彼女たちに手を振った。


【 レイ 】「それで、どうだった?」

【ドアンナ】「(´~`ヾ)それでって、なにが?」

【 レイ 】「アイルに告白できたの?」

【ドアンナ】「ちょっと、声大きいよ!」


 ドアンナは、誰かに聞かれていないか思わずあたりを見回した


【 レイ 】「別に誰もいないわよ。それで?アイルに告白したの?」

【ドアンナ】「(;・3・)え~それは~むにゃむにゃむにゃ」

【 レイ 】「はいはい。言えなかったのね」

【ドアンナ】「(TωT)にゃーん」

【 レイ 】「情けない奴。せっかく二人っきりにしてやったのに」

【ドアンナ】「うっ……うっ……うわああああん°(°´ᯅ`°)°それがさぁ(ノд・。) 」


 ドアンナは、アイルとの会話をみなに話した。


【ドアンナ】「もういいよ。あたしは諦めた。あいつにはもう、イリヤという恋人がいるんだ……」

【 レイ 】「はあ。(*´Д`)=3あのさあ、お前自身の気持ちはどうなるわけ??あんなブスに遠慮するなっての」

【ミランダ】「ちょっと、そんな言い方しちゃいっちゃだめですよ。もう帰りましょ、みんな下で待ってるから」


 ドアンナは、深い深いため息を付き、ベンチから立ち上がった。歩道の下で、アマンダたちが手を振っていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 寮への帰り道は、ちょっぴり憂鬱だった。


【 レイ 】「はあ、憂鬱ね。これからどやされると思うと」

【アンナ 】「あははは( ̄▽ ̄;)」


 寮監の説教は、それはそれは恐ろしいものだった。まして今日は、夜の街に王女を連れ出したのだ。拳骨の一本や二本ぐらいは、覚悟しなければならない。

 レイは道の角で立ち止まり、言った。この曲がり角の先には、女子寮の分厚い鉄の門が待ち構えているのだ。


【 レイ 】「じゃあみんな、怒られる準備はできてる?」

【ドアンナ】「おうよ。どんとこい」


 レイは返事を聞くと、先陣を切って角を曲がった。

 しかし、いつもなら女子寮の前に仁王立ちして睨みを効かせている寮監が、いなかった。


【アマンダ】「おかしいね。いつもなら先生が立ってるのに」

【 レイ 】「(o ̄^ ̄o)案外寮監もしっぽりはめてるんじゃないの」

【ドアンナ】「ꉂꉂ(๑˃▽˂๑)ぎゃははは」


 彼女たちは門を抜けた。相変わらずあたりはしんとして、人の気配はなかった。


【ドアンナ】「これはチャンスね。さっさと三階に上がっちゃいましょう」


 そういうと、ドアンナは前に進み出た。彼女は、蝋燭の試験のときのように、植木のケヤキを包み込むように手をかざした。

 朝露に濡れてうなだれていたケヤキが、彼女に呼応してピンと立ち上がった。そして、緑色の輝きを放ち始めた。

 ドアンナは、魔法の呪文を唱えた。


【ドアンナ】「生い茂る深緑の魔法(エバーグリーン)


 ケヤキは、みるみるうちに巨大化し、植木鉢を突き破った。それは、地面に根を喰い込ませると、次いで天に向かって爆発的な成長を始めた。

 ドアンナは、そのうちの一本の枝を掴んだ。ケヤキは、あっという間に彼女を三階の高さまで運んだ。

 彼女は、窓から部屋の中に飛び移った。部屋に着地すると同時に、彼女は床に足をすべらせ、すてんと転んで腰を打った。


【ドアンナ】「いった~(×o×;)」


 彼女が腰をさすりながら立ち上がると、手にぬめりとした感触を感じた。見ると、手は真っ赤な液体に濡れていた。

 彼女が顔をあげると、視界に、異変が飛び込んできた。

 それは、ドアンナのベッドの上に横たわる、血まみれの死体だった。

 彼女のルームメイトであるマーガレットが、腹部を直剣に串刺しにされて、血まみれでベッドに横たわっていたのだ。

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