表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/52

新しい制服

 なっちゃんとこーたは、きっと両思いなんじゃないかなって思う。

 

 …

 

 そのことを考えるといつも胸がチクッとする。

 

 わたしだって、見た目はそっくりなのにな…。

 

 こーた…。

 なっちゃんじゃなくてわたしをみてよ…

 

 …

 

 

 そんなわたしは、一人恋の一方通行中だ。

 

 

 

 

 わたしの隣で、ふんふんと鼻歌を歌いながらなっちゃんは、中学の制服を着て入学式に向けての再確認中。

 

 …そんな、着なくても寸法測ってつくったんだから大丈夫でしょ?と思うのはわたしだけ?

 

「なっちゃん、入学楽しみ?」

 とわたしが漫画を置いて聞くと、

「そりゃ、新しい出会いがあるかもしれないから楽しみだよー」

 とニッコリした。

 

 …え?

 新しい出会い⁉︎

 

 こーたと両思いなのに⁉︎

 

 え?

 それとも…、双子のわたしなんかよりもっといい友達との出会い⁉︎

 ってこと…⁉︎

 

 …

 

 えと…。

 わたしってば…、バカらしい。

 

 なんて質問してるんだろう。

 

 はぁ…

 

 そうだよね、なっちゃんは双子だからわたしといつも一緒にいてくれてたけど、ほんとはもっと他の子と仲良くしたかったよね…。

 

 わたしがぼっちにならないようになっちゃんは、いつもわたしのそばにいてくれてたんだ。

 

 

 少しなっちゃん離れしなきゃだな…。

 

 

 そしてついに入学式

 

 なっちゃんは、事前に制服を試着していたから準備がスムーズだった。

 

 でも…でもわたしは…アタフタアタフタ…

 

 支度を終えて先に外で待ってるよーとなっちゃんの声が聞こえた。

 

 はーいと返事をしてわたしも早く出なきゃ…って思ったんだけど、そとから…

 

「おー、いいじゃーん」

 と功太の声が聞こえた。

 

「こーたも似合ってるよ」

 となっちゃんの声もした。

 

 …あーあ。

 そうだよね…。そうなるよね…。

 

 黄色い声が心にチクチクと刺さりまくる。

 

 ゔっ…

 聞きたくないのにきこえてくる…

 

 でもさ…、なっちゃんよりもわたしが先に功太に制服姿みて欲しかったな…。

 

 少ししょんぼりしながら、

「二人ともお待たせ」

 というと、なっちゃんがわたしをみて、

「いいね〜、じゃ行こっか!」

 と声をかけてくれた。

 

 功太は………功太は、わたしの姿をじっと見たかと思うと、

「相変わらずおせ〜よ」

 といった。

 そしてまたなっちゃんが、

「じゃ、行こっ!」

 といい歩き出した。

 

 二人の後ろ姿をみて改めて思う。

 

 …お似合いだなぁって。

 

「ほら、おいてくよ〜」

 明るくなっちゃんが振り向いてわたしに笑いかけてくれた。

 

 功太は、振り向きもしないで手で早くこーいってジェスチャーをした。

 

 振り向きもしてくれないんだ…。

 なっちゃんみたいにいいじゃんって言って欲しかったな…。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ