淫猥なる双子神
淫靡なる地獄。幼体の喘ぎ。重く曇る声は豪雷。
ここはアルクトゥールス。淫猥なる双子神のソドム的地獄にして淫蕩寝屋。
遠い遠い昔にあった出来事のせい。
あるいはその遠い遠い昔の出来事とは違う運命を辿りつつも、不運には変わらなかった運命線での出来事のせい。
双子の異形は己が兄と弟相手に淫らに耽溺していた。
神々に交わりも快楽も不必要。
しかし、彼らは故郷の星アルクトゥールスに封印される以前にその神格を穢されてしまい、快楽を貪りただ相手を孕ませることに執着する下等生物の性を埋め込まれてしまった。
故に弟は兄を求めて、己の六本足の間を駆ける腐臭を放つ薄緑の外套膜を節操なく広げ、下半身に生えている悲鳴を上げる十本近い触手で自分の数倍大きなサイズの兄に絡み付いた。
「g'atnn! ajyb`kn'pgh puhu'n'glluaih……?」
双子の弟、ロイガーはその爬虫類に似た顔に着いたナナカマドのように赤い6つの目を異次元の色彩のように興奮しながら輝かせ、ヒアデス星団で最も最低で卑猥な言葉で兄の触手を濡らした。
「kk'gynrr'd……ighnah'jm'd. jnv'stn'da!」
兄ツァールの言葉に一瞬、興奮しすぎて体が透明になりかけるロイガー。口をだらしなく開けては自分のより数倍巨大で逞しいその細長くアルデバランのように熱された肉触手を咥えた。
「h'h'astar!! oh'aaa! glxt'ggt!?」
「ia……pojp'gn'ntw'cf'dgv'gsnqy……♡」
なんて淫猥で獣欲に溺れる最低なことだろう。
ツァールは自身と同種族とは思えない惚けた怪物を見て、触手に熱を帯びさせながら、劣情を覚えながら、そう思った。
そして、二人のプレイは過激化していき、どんどんと臓物の奥へ、精神体のイドの外膜へと、その侵犯する触手と魔術を伸ばしていく。
風の神々にして、結界をすり抜ける属性を持っている二柱からすれば肉体なども、無意味。快楽の根源に直にその汚れた手でお互いに愛撫し合い、髄に干渉することで両者に加虐的で、扇情的な光景を幻視させている。
「a'aaa'ss! g'mp'ma'pmapt'!!」
「g'ejm'gan'n! dfeagig'gs'……aaaagaa!!」
二匹は重なり合い愛を言祝ぎ、星間を揺るがす咆哮と共に果てた。
あぁ、なんて下劣で混沌で淫靡なのだ。
人間には理解できない冒涜的なエロチズムがそこには膜の如く覆っていた。
両者の発熱は二百度に上り、蒸気とともに岩を焼いた。
のそりとツァールの方が起き上がり、ニヤリと顎門を開いた。
淫猥なる双子神の愛語りは続く。