ダイトという男
俺は結城大斗。高校三年生だ。
自分で言うのもなんだが、ただの高校生ではない。
中学2年の時に高校生用のテストを予想するソフトを作った。どの教科も何個かの質問に答えるだけで高確率の予想をする。
これをマルチ商法(より儲かる)システムを使って150万ソフト売った。
その資金を使ってパワーストーン、化粧品、アロマオイルを使った法律すれすれの商売をして、千葉で二番目の金持ちになった。
しかし俺は死んだ。乗っていたタクシーの運ちゃんが居眠りして対向車にぶつかって死んだのだ。俺の貯めた金は大人になった時の為、ここからが楽しい人生という時にだ。
もう全てが終わったと思ったら白い光に包まれて、真っ白い場所で目を覚ました。
そして性格が良い事だけが取り柄のような青年が神を名乗って俺の第二の人生のスタートを勝手に決めようとしている。ふざけるな。こいつは絶対に馬鹿だ。
「いいわけねぇだろ。どんだけ馬鹿なんだ?てめぇ」
俺がそう言うと。神はキョトンとして話が飲み込めていない様子だ。だが構わないで話を続ける。
「まずそんな異世界みたいな場所に俺が何故行かなければいけないのか言っていない。人類を救う的な事言ってたけど、目的と方法がはっきりしていないのに活躍なんかできるかボケ。」
神はアタフタしながらたまに「あっ、」とか言いながら話を聞いている。
「で?ここにいられる制限時間は?」
こいつがこんな大雑把な説明で早く送り出さないといけないのは、伝えられる事への制限や制限時間があるのだろう。その限界まで情報を引き出してやる。
神は涙目になりながら恐る恐る口を開く。
「いえっ、、、特に制限時間はありません。。。」
俺は呆れながら聞く。
「俺に伝えられる情報の制限は?」
「ありません。。。」
今まで地球でピンチの時に神頼みしていたのが馬鹿みたいに思えてきた。何か事情があるから転移させるはずなのに、そいつが何の作戦も立てていないなんて。
まぁ、いい。どうあがいても俺は地球には戻れないだろうし、この第二の人生を謳歌するしかない。
それから俺はこの天界で神を相手に一週間も次の世界の情報を引き出し続けた。




