61 女同士、積もる話があってよ
(前回のあらすじ)
着々と準備を進める10班。アリーシアはかつての級友と談笑しながら飾る花を選ぶ。
会話の中でローナが学園に来ていた事を知り、今朝のナディンの様子について考察を深める。
そこへアレクサンダーが当然のように、アリーシアへ身勝手な課題クレクレを行う。
【悲報】 第1回アレクサンダーざまぁが小規模に留まる。
第1回ざまぁの内容↓
・夜間に課題を届けるというアリーシアの申し出を夜這いだと思い哀れな女だとこき下ろす→勘違いを訂正される
・アリーシア相手にイキっていたらナディンに正論で説教される→ナディン相手にイキっていたらフェリクスとアルバンが現れる
・フェリクスがわざと彼の前でアリーシアと仲良しアピール→指摘したら正論で返され萎縮&手を払いのけられる
(アレクサンダー敗走)
・挙句の果てに、ベティーナに救いを求めに行ったら代わりにエルクから馬鹿にされ、1年生の数名にドン引かれる
→イライラしていたので煽って内心「女はすぐ感情的になる」と嗤っていると、逆にイヤミを言われて怒鳴りつけてしまう
その後は特にこれといったトラブルもなく、立食パーティーへと進んだ。この授業はどの班が優れているとか順位付けを行わず、それぞれ良い点と改善すべき点を班員に伝える事で加点がなされる。だから私達の班で頑張って得をするのは実質ナディン様だけなんだけど、フー様に命運を分けるクジを引かせたから今回はさして気にしていないんだろう。フー様も楽しそうで何よりだった。
「フェリクス様ぁ、こちらのケーキ、いかがです?」
「フェリクス様、俺達の班のも見てください!」
クラスメイトの方々も楽しそうだ。皆打ち解けている。シェヘラザードさんの姿はいつの間にか見えなくなっていて、どこかへ行ったみたいだ。
後片付けまでにしばらく時間がある。今がチャンスだ。
「ナディン様、少し付き合ってください。」
「え?でも今はフェリクス様が」
「断りを入れますから、ね?」
ナディン様は彼女らしくもなく、そのままうなずいた。
「…フー様、アルバン。」
2人が私をぱっと見る。
「職務放棄のつもりはないのですが、ナディン様と少しお花を摘みに行っても良いでしょうか。」
「ああ、構わんぞ。」
「その間は私めにお任せください。」
アルバンがそう言ってくれたので、私はナディン様の手を引いて教室を出た。
渡り廊下から屋上庭園に出て、扉の前を私は背中で塞いだ。
「アリス、何のつもりでよ?靴事件・タルト事件を始めとする入学後の事を根に持っているのなら、王子に言ってさっさと断罪してしまえば良いじゃない。」
「別にそんなつもりはありませんよ。」
「じゃあ何よ、こんな所に連れ出して。」
ナディン様が腕組みをして私を見下ろす。
「昨日の打ち合わせの後、何かあったでしょう?」
「何の事?もしかして昨日、レストランであなたとアルバンを見かけて声を掛けなかった事かしら。そんな事で怒ってるの?」
「へっ?!」
昨日…ステーキをヤケ食いしてたのを見られてた?!
「違ったかしら?それなら良いわ。でも後は心当たりがないわね。」
「…あの、ステーキ食べてたのを見ました?」
「ええ、昼食もかなりの量だったはずなのだけれど、あんな大きなお肉を貪るようにしてたんだからよっぽどお腹が空いてたのかしらと思って、見なかった事にしてあげてよ。」
「ありがとうございます…!」
思わずナディン様に抱き着くと、彼女は身体を一瞬こわばらせた後、軽く私を押した。
「気色悪いわね、私だって気遣いぐらいは出来てよ。」
「じゃあ、『まあっ、昨日大きいステーキを貪ってた大食いが現われてよ!』と思われたのではなかったのですね?」
ナディン様は「バカバカしい」と鼻を鳴らした。こういうのは相変わらずなんだよね。
「…アリスじゃなかったら胃もたれ起こしていないか体調を心配するわよ。でもあなただから特には何とも思っていなくてよ。負担の無い食べ方ぐらい考えられるでしょうし。」
うっ…何とも言えない。ごめんなさい、ナディン様。あなたと私に嘘をつきました。
「じゃあ、どうして今朝はおかしかったんですか?」
「おかしい事でもあったかしら?」
「今朝、とても悲しそうでした。」
「はあ?」
ナディン様はすっとぼけているつもりだろうけど、目が一瞬泳いだんだよなぁ…。
「どうか、聞かせてくれませんか。アルバンはともかく、フー様はちょっとした事にも目ざとく気付かれる方なので、あまり心配をさせたくないんです。」
「…。」
「それに、ナディン様は昔から毅然とした態度を崩さない方です。そんなあなたにとって表に出してしまう程悲しい事ってよっぽどの事だと思います。力にはなれないかもしれませんが、私は話す相手もいらっしゃいませんし情報が拡散する事もないので良ければ話してほしいんです。」
ナディン様は目を伏せて、くるりと背を向けた。
「…私はとてつもなく小さな事で悩んでいてよ。」
「ヒールを履いて足を捻ったとか、ドレスの裾を踏んでこけたとか、そんな事でも私は笑いませ」
「昔の事を蒸し返さないでくれるかしら?!」
ナディン様がばっと振り返った。あちゃー…。
「…ローナが、ベティーナに本気で好意を寄せていてよ。」
「それ、全く小さな事じゃないでしょう!」
「小さな事よ。演技かもしれないもの。演技だと思っているからこそ、心が痛んだ私の弱さをひしひしと感じて悩んでいてよ。」
そんな…。
「『ベティーナ可愛い』と言っていたのよ。」
「うわぁ…」
えっ、だってローナ様ってベティーナには近づきたくないって立場を取っていらっしゃったんだよね?昨日、そうナディン様が仰ってたもの。
「確かに私は可愛げのない女だわ。でも、私からこの男性にも劣らない堂々とした態度を取ったら何が残って?実力では既にアリスに負けて、容姿では他に上がいるじゃない。」
「…ナディン様、お辛いですよね。私も…分かります。」
ナディン様は私と同じ事で悩んでいるのだ、きっと。
「ローナは女性馴れしているの。だから私との婚約が今まで上手くいっていたように思えたのは、ローナがそんな私を物珍しがって受け入れていたからでよ。私は家のためを考えて婚約者にはしっかりしてほしいという建前でローナに構ってきたのだけれど、本当は彼に対する愛情表現がそれぐらいしかなかったからでよ。」
「…。」
「アリスも知ってるでしょう、私が相手に素直に好意を伝えられないんだって。1年生の最初の半年以外は、アリスと仲良くしたかったからああいう事をしてきてよ。」
何かそれは分かります。嫌がらせが急に幼稚になったなぁと思いました。
「…溺れるぐらいローナが好きだという事を言ったのは、アリスが初めてかもしれないわね。周りからは『好色と婚約させられて大変でしょう』と言われているんだから。」
「でもローナ様は最終的にナディン様が1番という結論に戻ってこられるじゃないですか。」
「あら、それは知ってるのね。今まで私に見せつけるように女性を口説いてきたのに、ベティーナに対してだけはコソコソしていて気味が悪いわ。」
「そういえば昨日、偵察にしては洗脳じみているというような事を仰っていましたね。」
※47「三重奏」参照
ナディン様はうなずいた。
「…昨日のディナーだって基本上の空でよ。デートの時はいつも鬱陶しいぐらい私に話しかけるか他の女性を口説くかなんだもの。それらを一切しない彼なんておかしいわ。」
「ええ、そうですね…」
もしかして、と思って私はクララ様のお話を思い出した。
「ナディン様、今日はローナ様が学園にいらしているそうですがもうお会いになりました?」
「えっ?」
ナディン様は目を見開いた。
「なぜその話を…」
「今朝、クララ様が敷地内でローナ様のお姿を見かけしたそうなんですよ。」
「そ、そうなの…で、クララは何て?」
「特には。式典の時に来賓席付近にいらしていなかった事は不思議に思われていましたが。」
ナディン様は唇を噛んだ。
「…ベティーナといちゃついていてよ。」
「えっ?!」
そういえば…式典の際にベティーナの姿が見当たらなかったかも。殿下はいらしたんだけどね。
「私があなた達を迎えに上がる前の事だからクララはその時校門近くに並んでいたはず…だからローナは早くからこの学園に来ていたのね、私にも会わずに…いえ、そんな事は良いわね。私は彼を見た時クリストフ殿下から派遣されたんだと思って、一緒に行こうと声を掛けようとしてよ。」
「それで…」
ナディン様からぎり、と音がした。歯を食いしばっているのだろう。
「ローナ、普段の浮気に対するお仕置きが物足りなくなったのなら拷問一式を試してあげてよ。」
ふ、不穏過ぎる!ザウアー家の情報網は王都周辺の裏社会にも関与してるらしいし…そういう器具を集めたお部屋があっても何らおかしくはないんだよねぇ…だからなおさら怖い。
「アリスも殿下とベティーナ双方を締め上げたらどうかしら?」
「い、いえ、私は…」
そこまでは…。
「コケにされて悔しくなくて?」
「…良いんです、私は。私が殿下の気持ちに気付かなかった事が問題で、私にも非は」
「なくてよ!」
ナディン様…。
「…私はそんなに強くないんです。」
「強い・弱いの問題じゃなくてよ。ナメられてはダメなの。ベティーナはあなたの妹で、殿下はあなたより年下じゃない!」
「…年増なんですよ、私は。もう何も女の武器は無いんです。ナディン様の場合はお相手が年上だから良いですけど、私の場合は男性側が年下なんです。」
「だから何よ!あなたとベティーナはそんなに変わらないじゃない!いいえ…むしろアリスの方が綺麗でよ!」
えっ…。
ナディン様が私の髪を撫でた。
「ベティーナは男受けに走り過ぎていてつまらなくてよ。でもアリス、あなたは…自分で自分のスタイルを貫いているじゃない。私、あなたのそういう所が好きでよ。ベティーナを選ぶのは単純だけど数年後には色褪せている美しさ。でも、アリスはどの時代にも囚われない綺麗なものを持っていてよ。」
「ナディン様…」
「見えないだけで、あなたを評価できる殿方は絶対いるはずでよ。女の武器を持っていないだなんて絶対ない。」
私は…女として終わっているのに。
「私の事、まだ女性として見てくださる方がいらっしゃるでしょうか。」
「ええ、もちろんよ。フェリクス様だけじゃないでしょうね。」
「フー様のあれは違います。彼は…私を姉として慕っているのを恋と間違えているだけ」
「アリス、もう怖がる事なんてなくてよ。殿下を気遣う事なんてないのに。」
ナディン様がおかしそうに笑う。
「でも…」
「さっきだって…姉だと思って慕っているだけなら、本気でアリスのために怒って殿下から庇うなんて事しないでしょうに。」
「…。」
「ハルトは私やエルクのためにそんな事をしてくれた事なんてなくてよ。ローナが他の女といちゃついていても私に文句混じりの報告をするだけで、ローナに何か言う事なんてしないもの。エルクの婚約者に対しても彼の失敗をエルクに報告するだけでフォローなんてしないわ。」
そう、なんだ…。
「だからアリスは、フェリクス様にとって特別な存在でよ。」
ナディン様が優しく微笑んだ。
厳格さの塊であるような彼女がこんな顔を見せてしまう程に、ローナ様とベッティの一件は辛かったんだろう。
「…ナディン様、そう言ってくださってありがとうございます。」
「フン、少しはしっかりしてもらわないと張り合いがなくってよ。ただでさえワガママ殿下抜きでの接待で緊張感が薄れているのに、あなたまで丸くまってるんじゃないわよ。」
「…ナディン様みたいに私も強くなりたいですけど、難しそうですね。」
「あら、神様はそんなアリスだからこそフェリクス様とアルバンを与えてくださってよ?」
神様が…。
そんな事は考えもしなかった。
「弱みを見せられず気晴らしも得意でない私に、神様がアリスを与えてくださったみたいにね。だから少しは私もあなたを大事にしようとは思っていてよ。」
「そっか、だから…!」
「魔導学院に行ったならアシルに会ったでしょ?最初に神様が私にくださったのがアシル、そして私は次の段階へ進むためにアリスが与えられたのだと思っていてよ。」
アシル様も言っていた通り、昔はナディン様のライバルが彼女と同等の実力を持つアシル様だったんだ。そして私がその関係を崩しにきたのか。
「競争する以外に私は共生という事を学んでよ。アシルとの関係で私が学べなかったもの…いいえ、出会ったのがアリスでなければ絶対に学べなかったものだわ。でもアリス、あなたは私との出会いでは変わらなかった。だから私はあなたに片利の関係でよ。それに抗うべく今はちょっと優しくしてあげているんだから、しゃきっとなさいね?」
私は変わらないんだ…。
いや、お父様がせっかく王都に馴染めるようこの学園に入れてくださったのに変われなかったから、殿下を取り上げられたんだ。神様が与えるだけで済むわけがない、もちろん取り上げる事もされるはずだ。だとしたらこれは天罰。
「もう、そんな顔をしないでほしいわね…ああもう、ほら!」
ナディン様が両腕を広げた。
「えっ?」
「特別サービスでよ!お礼として今度食事に誘ってくれたらそれでチャラにしてあげてよ。」
「…ぎゅっとして良いんですか?」
「そういう事よ。言葉にしたら変態じみるからやめてちょうだい。」
では、遠慮なく…あっ、本当に変態じみてるな私。
ナディン様を抱きしめると、香水の大人びた刺激が鼻を貫いた。でもそれがナディン様らしくて、何だか逆に落ち着いてしまう。
「良い場所、気合いを入れて探さなきゃですね。」
「ええ、そうしてちょうだい。私、王都の店はあらかた回ってるからそういうのにうるさくてよ。」
「うふふ、頑張りますね。」
ナディン様の胸はとても温かかった。
「…落ち着きました、ありがとうございます。」
私が離れると、ナディン様はフンと鼻を鳴らした。
「アリスがすっきりしたなら戻るわよ。」
「私で良ければ、ナディン様もぎゅっとしません?」
「いいえ、私はあなたがここに連れ出してくれたおかげで既に落ち着けていてよ。」
それなら良かった。私はドアノブに手を掛けた。
「ところでアリス、変な事を聞くけど今ブラジャーはしていて?」
「へっ?」
「さっき背中に腕を回した時、そういった感触が薄かったから単純に気になっただけよ。今日は着けてようがいまいが勝手だけど、明日は体育の授業があるからしっかりした物を着けてきなさいよ。」
「…はい。」
そっか、今はアルバンのせいで…。
「何を照れていて?」
「…ナディン様、秘密ですよ。」
「ええ、そんな事を私に聞くような人なんていないでしょうけど。」
その後2人で調理室に戻り、時間を過ごした。
ちゃんと各班の長所と改善点を資料にまとめないといけないから、他の班も見て回った。その間に10班のテーブルが変な設定のついたホストクラブ化する事件が起きたけど、メディ先生が「あら楽しそうですね」と見逃していたので良しとしよう。
「いらっしゃいませ、お嬢様!」
「10番テーブル、マカロン追加でございまぁーっす!」
「ぃよっ、待ってました!」
アルバンと悪ノリした男子生徒が暗躍しているな、絶対。
「熱いから気を付けて。」
「はいっ…!けほけほっ、すみません、気管に入っちゃいました。」
「ふふっ、そう慌てなくても私は待っているからゆっくりで良い。」
「はいっ!」
フー様はフー様で、別次元なんだよね。まぶしいせいで、ちょっと優しい事を言うだけなのに神々しさがある。
そんなこんなで後片付けを終えた頃に予鈴が鳴る。
「次は統治言語学の時間ですわ。」
教室移動は、ナディン様の案内というより人の波に乗って行くと着いてしまった。フー様の周りには男女問わずクラスメイトが信者のように付き従っている。さっきの実習でフー様が赴いた先々の班で、それはそれは絶大な人気を集めていたみたいだ。
「アリス、魔導学院でもこんな感じだったの?」
「えっと…プチ信仰が起こっていましたね。」
「そうでしょうね。」
ナディン様はスッと目を細めた。
「ナディン殿、私達はどこの席だ?」
「ああ、中央の1番後ろですわ。」
フー様の声にすぐナディン様が対応する。
「ふむ、てっきり1番前かと思っていたのだが。」
「後ろにいくにつれ高くなるので、1番低い場所にフェリクス様を座らせるなんて出来ませんよ。」
「それに、あの席が1番見えましてよ!」
「なるほど、全体を見渡しやすいように配慮してくれたのか。」
取り巻きの皆さんのおかげで、ナディン様の役が取られている。でもナディン様はさして気にしてはいないだろう。
1番後ろの席に座ると、その前の席にずら~っと一軍・二軍のご令嬢たちが掛けてフー様に話しかけ続けた。すごいなぁ…陽キャ。
「フェリクス様っ、もし運が良ければ授業中に梁をご覧になってくださいませ。この教室、実は妖精がこっそり授業を聴きに来ているという噂があるのですよ。」
「なるほど、随分と勉強熱心な妖精だな。」
「その姿を見た人には幸せが訪れるそうなんです!実際に姿を見た先輩の中には試験で良い成績が取れたり、告白が成功したりした人もいたそうで。」
「それは良いことだな。」
フー様がすっと梁を見て目を細め、また戻した。
「もしかして見えました?」
「…見えたら良かったんだがな。」
「あ~、残念でしたわね。」
ご令嬢たちが他に何と言葉を掛ければ良いか頭をフル回転させ始める。
「まあ、見えなかったという事は、私達が既に幸せだという事なのだろう。」
「そうですわね!」
「素敵!」
フー様は神対応すぎる。
ナディン様はその間、我関せずという感じでフー様の机の備品や資料を確認している。
それもそのはず…。
『偶然に試験や告白が上手くいっただけで、こじつけだわ。梁の上に小妖精がボタンや生徒の落とし物を溜め込んでるだけじゃない。』
そう、収集癖のある小妖精が梁の上に倉庫を作っているのだ。
少し魔道に造詣のある人なら出入りしている様子を見かけたに違いないし、小妖精に運気を上げるような力は無い。よって、その噂はガセなのだ。
当然ナディン様も噂がガセネタである事を知っていて、見えなかったフリをしているというだけ。フー様も分かっていて、ああいう対応をしただけなのだ。当然ながら見えない人も約半分ほどいるので夢は壊しちゃいけない。
『物語として美しくないわ!まだ口伝のおとぎ話の方が上手いもの。プロットを考えたのは誰かしら、お姉さんがお説教よ!』
私達にしか見えていないであろうシェヘラザードさんがキッと梁を睨むと、3つ程の光の塊が「怖いよ」「上位精霊…ごめんなさい」「逃げなきゃ」と、さあ~っと外に逃げて行った。
可哀想に…せっせと落とし物を集めているだけだったのに追い出されちゃった。何なら私の靴に入っていた画鋲もせっせと集めていた、無害な子達だったのに。
フー様が「そう当たってやるな」と言いたげに彼女の方を見ると、シェヘラザードさんはどこかへ行ってしまった。




