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お仕立て フォックステール その14

 私はあんな戦争の夢も見、マッサージまでも受けたのでなんか変な夢見るんじゃないかと思ったんだけど…まーったく、夢は見ませんでした。

 むしろ朝顔に光が当たり、眩しさで目が覚めるまでぐっすりだったと言う…


 起きてベットで一人だったので、いつの間にか侍女さんがたぶん運んでくれた自分の服をバックから出し着る。

 …一応、生成りのワンピーススカートではお邪魔する場としては相応しくないだろうと思い、お姉ちゃんの結婚式の時に用意をした、白のシャツと藍色のジム・スリップをチョイスしてある。

 スカート部分をボックスプリーツにしてあるから、かっちりした場所に着ていける、私の万能服です。

 着替えて、お屋敷の廊下をうろうろしていたら、どこからか侍女さんがいらっしゃって、連行されたのは食堂。そこには先客が二人。


「おはよう、リゼ。良く寝ていたみたいだね」


 ユーディト様はクルトさんと話していたのだけど、私に気づくと、すぐ来てくれた…って、


「顔近!ユーディト様、近すぎです」


 頬を擦り寄せようとしてきたので、どこに触れるかちょっと考えてからユーディト様の腕の辺りを押し、私は体を捻らせる。


「おはよう、昨日はずいぶん楽しんでいたんだね」


 クルトさんが朗らかな様子でティーポットに入った飲み物を持ってきてくれると、私に差し出してくれた。

 くるっとユーディト様が私の後ろに来ると、テーブルまで軽く押していき、椅子に座るように促される。

 そんな私の前に、クルトさんはカップを置いてくれた。ティーソーサーに乗せられたカップからは湯気と共に紅茶の香りが立ち上る。


「おや、クルト。昨晩仲間に入りたかったかい?」


 隣の椅子に座りながら、肘をテーブルにつけ顎を支えたユーディト様がクルトさんを見上げながら話す。


「いや、仲間に入るよりも、私はユーディトにもう少し構ってもらいたいだけだよ」


 クルトさんはユーディト様にも同じようにカップに紅茶を入れ、ユーディト様の前に置く。

 ユーディト様の手がテーブルに肘をついた状態から下ろされ、ソーサー近くのクルト様の手に触れる。

 クルトさんは、その手の上にそっと手を置く。それはあまりにもゆっくり、優しくて、お茶を入れる様子とは明らかに違っていた。

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