お仕立て フォックステール その5
注)フォックステールは、おしり部分を特に強調するパニエのような下着のことです。
「これで採寸は終わりました」
下着を着た状態で最初は採寸したのだけど、ヴォルフラムから舞踏会のドレスの下に、フルレングスパンツを履くと聞いていたことを思い出し、最終的には公爵夫人には服を着たまま採寸をしてもらったのでした。
「ふむ、フォックステールは服の上にはくのか」
「裸である必要性全然ないんですよ…」
対して私はバスローブにヘアキャップです。普段バスローブなんて着ないから、何だか袂部分が心許なくて、頻繁に気にしてしまいます。
「では部屋に軽食を運ばせ、語らいながら休もうか。今日は色々話すこともあるからな」
侍女さんに何やら依頼をしだしたので、私は籐の籠の中に入っていたお洋服を持って、大急ぎで端っこで着替えたのでした。
浴室から案内されたのは、聞いたところに依ると客間。一階の庭に面したお部屋です。
残念ながら外はもう暗くて、室内は明るいから余計に外は良く見えません。
料理が盛られたテーブルとソファーがある部屋と、ベットが見える部屋とが続きになっていて、…とりあえず色々高そうな調度品は見ないようにしておきます。
壊したら弁償できない。
調度品は見ないようにしたけど、代わりに目を釘付けにしたのはテーブルの上にある料理。
アフタヌーンティーの時に用いられるような三段建てのケーキスタンドに、サンドイッチが盛られた皿、そしてカットフルーツの皿。
カットフルーツなんて、飾り切りを施されたり、フルーツで小皿を作りその上にまた別のフルーツが乗っていたりして、見事。
「お、美味しそう…」
「シェフのサンドイッチが特に秀逸だ。私は卵とフルーツが好物だから、いつも入れてくれる」
ささっとユーディト様はソファーに座ると、卵サンドを頬張る。卵フィリングがいっぱい入っているので、口から零れそうになりながらも頬張る様子に、ぐうっ、と私のお腹がなった。
その様子を見て、口が落ち着いたユーディト様は手を素早く拭くと、自分が座るソファーの隣をポンポン叩く。
このお誘い、断れません!
ソファーに座り、目の前のお皿に盛り付けられたフルーツのお皿に目が釘付けになる。
「くだもの…これどうやって食べるんだろ?なんか見た目赤い花みたいだけど…」
「ああ、これは向いて食べる。中の白い部分が可食部だ。ナイフで切り込みを入れてもらっているから、そこから割るといい。
私はどうも見た目があまり好きではなくてな…ランブータンというそうだ」
「赤くて花というか、ポンポンみたいでかわいいと思いますけど?」
私は教えてもらった果物を手に取ると、確かに切り込みが入っている。その部分を開くように指先に力を込めると、乳白色の白い果肉が出てきて、思わず真珠みたいだと思ってしまった。




