お仕立て フォックステール その4
注)フォックステールは、おしり部分を特に強調するパニエのような下着のことです。
口を開こうとしたとき、
「失礼します。お着替えをお持ちいたしました」
侍女の声がした。そちらを振り返ると、ちゃぽん、と音がした。水がまたバスタブに落ちたのだろう。
「こちらに置かせていただきます。それと、リゼさんのメジャーもこちらに置かせて頂きますね」
「あ、はい。ありがとうございます」
侍女さんが私の服を乾かすために、服を持っていった際、一緒になってしまったメジャーを持ってきてくれて、藤の籠に入れようとしてくれていたが、
「どれ、そろそろ採寸を頼もうか。」
公爵夫人は手招きして、腕をバスタブの外に伸ばし手のひらを天井に向けた。侍女さんはその手の動きで悟ったのか、メジャーを籠に入れるのを止めて、歩いてくると公爵夫人の手のひらに置く。
公爵夫人は私に向き直ると、メジャーを差し出した。
受けとるや否や、公爵夫人はバスタブから立ち上がる。
白い、彫刻を見ているようなきめの細かい肌から湯気が立ち上ぼった。
胸元の双房から腰に掛けて、切られたような跡があるが、それすらも彫刻のひとつではないかと思えたほど、白い。
思わず魅入ったが、肌から立つ湯気が消えたとき、夫人が全裸であることにたちまち意識が戻る。
「ちょっと、下着くらい着てください!」
「下着だろう?裸で採寸するんじゃないのか?」
「フォックステールは下着の上に着る、服をきれいに見せるための補正下着みたいなものです。だから、どっちかといったら私のために下着を着て下さい」
あまりにまじまじ見てはいけないと思い私が顔を背けると、公爵夫人はバスタブから外に出た。侍女さんがテキパキ動く服の音がする間、私は顔を背けたままだった。




