お仕立て フォックステール その2
注)フォックステールは、おしり部分を特に強調するパニエのような下着のことです。
夕方にかけて、私とヴォルフラムは一緒に商会を出た。ヴォルフラムと一緒に仕立てあげた服を届けるためだ。
大きな箱に入った服を持ち、ヴォルフラムが私の隣を歩く。
「じゃあ、リゼにあとはお任せするわ。よかったわー、下着作るけど、クルトの視線が怖くて怖くて…」
全然怖そうに見えない…笑みが口に浮かぶ辺り、むしろ私に押し付けられて役得、とか思ってない?と突っ込み入れたくもあったが、今から体力消耗するのも勿体なくて、短く息を吐いた。
「作り上げて終わりにしちゃいますね」
「ゆっくりでいいわよ。急ぎじゃないらしいし」
早く私は終わらせてしまいたいのですよ…
納品は滞りなく終わり、公爵夫人の部屋にあったトルソーに舞踏会のドレスが飾られた。
それが終わると、私はヴォルフラムと別れ、公爵邸の一室に案内された。少し一息入れられると思いきや、部屋の扉がどんどん叩かれ、慌てて開けると、侍女と思わしき若い女性が息を切らせながら扉の前に立ってた。
「お休みのところ申し訳ありません。
あの、奥様から入浴を共にしてほしい、と…」
「お風呂?え、私が…?」
「はい、奥さまからのお言付けでして。服を脱いでいるから一緒に採寸をしてしまってほしい、とのことで…」
「えー……わかりました、行きます」
休もうとしていたところで横やりが入ったので舌打ちしたい気持ちになったが、なんとか収めてメジャーを持ち、侍女の後ろについて行く。
先ほどの納品したときの部屋を過ぎ、何部屋か先にいったところに案内され、部屋にはいると、その中の部屋に入るよう促される。
思わず足を止めてしまうが、この館の主は公爵夫人だ。
どうにでもなれ!、と足を踏み出す。
「失礼しま…ぶはっ!何するんですか!」
「何って、リゼこそどうして服を着たままなんだ?私は一緒に入浴しよう、と誘ったはずだぞ?」
バスタブから水鉄砲を打ってきた公爵夫人がキョトンとした表情をしていた。




