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お仕立て フォックステール その1

注)フォックステールは、おしり部分を特に強調するパニエのような下着のことです。

 今日は公爵夫人に仕立てた舞踏会のドレスを引き渡しに行く日だが、アンダーウェアの仕立てを今日中出来上がりで頼みたいから、と商会経由で話を受けて、私は服をバックに詰め支度をする。

 こないだの夜に公爵夫人が話していたことの続きなのだろう…少し気は重かったけど、誘いには乗ることにした。

 …いいえ、貴族の誘いを断る庶民なんていないような気がするけど。

 

「あら、リゼ、ずいぶんな大荷物ね」


 玄関に向かう私にお姉ちゃんが声をかけてきた。

「あ、お姉ちゃん。今日は仕立てた服をお届けしたあと、公爵夫人からのお誘いで、泊まらせて貰うことになって…」


 話をしているや否や、お姉ちゃんが目の前まで近づいてきた。


「え!ユーディト様と!?」

「お、お姉ちゃん近い…」

「いつの間にユーディト様とお近づきになったの?リゼ。

 ユーディト様、舞踏会の剣とも言われるのだけど、あの凛としたお姿に舞踏会に参加される貴族のご令嬢も皆様憧れて取り巻きなどもいるらしいのよ。

 でもだからと言っても貴族であることを鼻に掛けず庶民の騎士団関係の奥さまの取りまとめもしていただいて…判断力はあるし、どんないざこざも収めるし…」


 お姉ちゃんのお話止まらないー!!


「は、話長…そして二つ名多すぎない?公爵夫人」


 思わずポツリと呟くも、お姉ちゃんの耳には入ってなさそうな感じ。

 お姉ちゃんの話を適当に流しながら、玄関に向かうと、


「行ってきます!」


 切り上げて行こうとしたら、お姉ちゃんに大きな声で呼び止められた。


「ちょっと待って。髪、たわみが出てるわ」


 銀色の、こないだリトから返してもらった髪止めにお姉ちゃんが手を伸ばす。髪止めを外して手櫛で整え、ぱちんと髪止めを付けてくれた。


「はい、大丈夫。行ってらっしゃい」

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