閑話休題 廃墟にて3
ファティマの笑い声が響き、嘲りを受けたと感じたのかイズミの声が響き渡った。
「黙れ!」
その声を契機にファティマは走りだす。
一瞬遅れて、ファティマの後を氷が追いかけていく。
ファティマは瓦礫の少ない、道のような場所を走り抜け、廃墟に来るまで乗ってきた馬の所まで戻った。素早く、馬に飛び乗る。
途中墜落しながらも氷は引き続きファティマを追いかけてきた。
馬を走らせながら走りながら蛇行し、やがて廃墟から離れた十数本だけ残った林に入り込む。
と、馬の上に上がると、木の枝に捕まり上部に移動した。
下の方では馬は走り去る。
光る様子から、氷が馬を追いかけてる様子を認めると、ファティマは矢筒の中から、矢を一本、確認してからつがえた。
矢羽の近くには黒く、書かれたような×印の跡がある。
林の外には黒い大きな影が閃いた。
ギリッと力一杯矢を弾くと放つ!
辺りが一瞬静まり返った気がした。
その影に矢が突き刺さるのを認めると、ファティマは動きにくい樹の上を避けるように、枝を伝いながら、降りて行く。
がしゃん、と金属音が鳴り響き、ファティマが振り替えると地面から機械が出てくる姿が見えた。
「魔女のお出ましか…」
馬がなく機動力に落ち目を感じて、ファティマの背中を冷たい汗が伝ったのだった。




