閑話休題 廃墟にて2
イズミに対峙するようにファティマも弓をつがえた。
弦がギリギリと音をならす。
「あなたたちの目的は知りませんが、リゼの力が驚異なことは、作って貰った私にもわかります」
早鐘のように心臓が脈打つのを焚き付けないよう、ファティマは低く声を出す。
矢が急いて飛び出さぬように、指先に力を込める。
「だからって、その力を搾取するようなやり方は正しいとは思えない!」
思わず怒りを吐露した瞬間に矢が飛び出す。タイミングを誤ったと感じ、ファティマは舌打ちをすると、視線をイズミから外して走り出した。
視界の端には矢を避けて空に飛ぶ黒い影と、ファティマを目掛けて追撃をしてくる氷の刃が見えた。
(場所が悪い!)
身を隠す場所が、瓦礫の中では見つけにくい。リゼの力が身を守ってくれてはいるが、いかほどの影響力を持っているのか、ファティマにはまだ明らかではなかった。
瓦礫の中で少し壁が残っている箇所を見つけ、そこに回り込むや否や、ブーツに仕込んだ大きめのナイフを取り出す。。
ずぼずぼずぼ
いくつか氷の刃だろう、壁に刺さったのがわかった。
風が上から動いてくるのを感じて、身を横に転じると、今いたところの地面に氷が突き刺さる。
向きを変えて来た刃二本はナイフで地面に叩きつけた。
頭上ではコウモリが旋回している。先程と同じ声がコウモリから響いた。
「俺はあの方が必要だと言うなら、ただ手に入れる、それだけだ」
コウモリの声を聞き、ファティマは弾けるように笑い声を上げた。
そして、ナイフの切り先ををコウモリに向ける。
「…畜生は所詮畜生。自らの考えはない、と言うことか」




