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お仕立て バックの補修 6

 怖かったことを途切れ途切れながらすべて話し、ファティマはその言葉にすべて付き添ってくれた。

 簡潔に、でもはっきりと「違う」と言われて、やっと私の心の中に牢屋に閉じ込められて以降出来ていた、自分が魔女じゃないかと思った不安という名の大きな氷の塊が破砕されて行くのを感じた。

 溶けきるまでにはまだ掛かるけど、もう大きすぎて私の手に負えない形じゃない。


 またまた涙でべちょべちょになった顔を手の甲で目元を拭う。

「ファティマ、ありがとう。ちょっと落ち着いた」

 私のいつもの声色に、ファティマもほっとしたように息を吐き、微笑む。

「良かった、いつものリゼです。リゼ、私の肌色、この国の人と違うでしょう」

「?」

 確かに違うけど…村とはいえ、旅人も来る土地柄、いろんな国の人は私は見慣れている。

 どの国の人も等しくお客さんでもあり交渉相手でもあり、仲良くするのは我が衣装屋のモットーだ。もちろん、お金はきっちりもらうけど。

 …多くもらったら良い顧客とサービスもするけど。

「時には、この国の人でないから、と差別されることもありましたが、リゼもリトも私の旅の話や国の話を聞いて、楽しんでくれて、時には助けてもくれて…私はあなたたちと短いけど旅ができて良かった」

 ファティマが自身の胸に手を置き、軽く会釈をする。たぶん感謝の気持ちを表しているのだろう。

「私もファティマにはいっぱいお世話になったし、旅では守ってもらったし、ありがとう!」

 私も座り直して、ファティマにお礼を伝える。

「長居してしまいました。もう私は失礼しますから、リゼは休んでください。また来ますね」

 ファティマはそういうと、また来たときと同じく、音もたてずに扉からスルリと出て去っていってしまった。


 私はベットから降りると、水差しから水をコップに注ぎ、煽った。

 飲み終えて、窓に向かい外を見る。さっきまでの不安はファティマの、お陰で軽減されていた。

 私は今はやりたいことをしよう。そう思うと、町に繰り出したい気分も出てきたが、不安も少し首を持ち上げる。また魔女に捕まるか自分が魔女なのか…話を思い出すだけで、自分がまだグレーな存在な気がしたし、そうでなくとも魔女に会わないか怖かった。

(仕方ない…お姉ちゃんに伝えてカイさんに、ついてきてもらおう)

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