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お仕立て バックの補修 3

(あなたは誰?お母さんじゃない…)

 お母さんの顔に別の顔が張り付いたような感覚が、違和感しか与えなかった。

 唐突に視界が切り替わり、目の前にはここ最近毎朝見ている天井が見えた。お母さんの姿はどこにもなく、消え去った。

 じっとり汗ばむ体を起こすと、足音がして今度は視界にお姉ちゃんが入ってきた。

「リゼ、起き上がらない方が良いわ。急にあなた倒れたのよ?」

「お姉ちゃん!」

 見知ったお姉ちゃんの姿に張っていた肩が緩んだ。近くまで来てくれたお姉ちゃんに寄りかかると、お姉ちゃんは私を胸で抱き止めてくれる。

「大丈夫よ、大丈夫。ここではリゼを守ってあげられますからね」

 何度も繰り返しながら私の髪を撫でてくれて、私は安心しつつも徐々に感情が高まり涙が出てきた。

「うわぁーん」

 ついにはお姉ちゃんの前で涙が止まらず、いつ以来かの大号泣をしてしまったのでした。


 私が泣く間、お姉ちゃんは私の背中を擦ったり軽くとんとん叩いたりしてくれたお陰で、ようやく落ち着きを取り戻した。

 かなりの涙が出てぐちゃぐちゃになった顔を上げる。うー、鼻水も出てしまう…

「落ち着いたみたいね、リゼ。急に倒れてしまったから驚いたわ。

 お医者さんにも見てもらったけど、体に異常はないそうよ」

 お姉ちゃんが私に大判のタオルを渡してくれた。涙と鼻水垂れそうな顔を見せたくなくて、タオルに顔を埋める。…さっきまでお姉ちゃんの胸借りててびちょびちょにしたのも、恥ずかしくて見られない状態なんだけど。

「さあ、何か飲み物用意してくるわ。リゼはもう少し横になってなさい」

「はい」

 お姉ちゃんの言葉に返事をすると、私はあらかた顔を拭いたタオルから離れて、もう一度横になった。

 さっきの夢を見そうで、目を瞑る気にはなれなかった。


 リムが部屋を出ると、リトとファティマがいた。リムが部屋から出てきた様子を見て、リトが心配そうに近づく。

 リムは大丈夫とばかりに笑かけると、廊下を歩き出す。

「大丈夫よ、リト。リゼは目を覚まして落ち着いたところ。

 カイもクルトも話していたけど、リゼはかなりショックな出来事を受けたそうだから、今はゆっくり療養させてあげないと。

 ファティマさんもありがとう。リゼが倒れて頭を打ったりしなかったのはあなたのお陰だわ。

 私はリゼのお世話するから、リトはファティマさんのおもてなしお願いね」

 リムはリトの背に軽く掌をあて、リゼの部屋から離れていった。

 

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