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お仕立て パフスリーブのドレス 終

 見知っている制服とはいえ、見知らぬ男の人がこの牢屋みたいな部屋にはいってきたので、思わず身を強ばらせた。壁に背を付けていたが、背中を離しすぐ動けるように中腰になる。


 体躯で男の人だとは分かるが…

 あまりにもきれいな顔に思わず釘付けになる。金色の髪が光もない石部屋の中、光って見える。

「すまなかったね。カイの義妹だとわかっていたから、もう少し丁重にしたかったんだけど、君が魔女から解放される場に居合わせたのが別の団の騎士達でね。

 君が魔女ではない、と申し立てて認められるまで時間がかかってしまったんだ」

 ゆっくりと歩いてくる。

 私の様子を見て、手を伸ばしても触れない位置で止まり、目線の高さを合わせてきた。

 男性が座る様子で腰に剣は帯びてないな、と気づき少し安堵する。


 口からふぅっと息が漏れた。ずっと知らずに張ってたらしい。

(とりあえず大丈夫そう)

「私が魔女?」

「そう。魔女の乗り物を郊外で発見した。

 見つかった魔女はこちらが今まで認識していない魔法を使ってきて応戦してね。そのとき君が魔女の傍にいた

 最後に魔女は逃げたけど、気をうしなった君だけが魔女が作った檻の中に取り残されたので、魔女の疑いありと我々は…というよりも魔女と対峙した騎士団側が判断せざるえなかったんだ」

 私は魔女に捕まっていた…?気を失った間に…

 ふと寝ている間に嗅いでいた匂いのことを思い出した。あの匂い…

 頭の中にイズミさんが浮かんだ。まさか、と思い頭を振る。


「こんなところに長くいて、疲れがたまっているだろう?何か思い出したら話してほしいが、今は休んでほしい。

 君の姉弟達と過ごせるように手配も済んだから、体をまずは癒してくれ」

 男性は少し近づくと私の手を取り、腕につけられた手錠の鍵穴に鍵を差し込み、外す。滑り落ちないように、鎖は男性の手にあるまま、手錠が外れた。静かに床に鎖が置かれた。

 なんだろう、全く乱雑な様子がない。むしろ落ち着いた雰囲気過ぎて、場所とのちぐはぐさを感じた。

 男性はそのまま私の手を繋いだまま軽く引く。

「そうだった。君がここに捕らわれていたことは他言無用で頼みたい。…話されると、カイの仕事に障りが出そうだからね。

毎日奥さんとの惚気話を聞いている方が私としても気分的に気楽だよ。

 名乗り遅れたね。騎士団長のクルトだ」

 少しだけ話が気安さを帯びた。それは暗くなった石室から光が点るところに向かったからかもしれないけど。

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