閑話休題 王都への旅 1
「ちゃんと契約書通り洋服送ってよー!待ってるからね!」
サラの大声に苦笑いし、私は大きく手を振った。町に残るサラに背を向け、少し前で立ち止まってくれたリトとファティマに小走りで追い付く。
「行きましょう、あまり遅くなると次の町に着けないから」
ファティマが弓を持ち直し私に声をかけてきたので、頷き返して街道を進み出す。
ファティマは旅をして色々な国を行き来している人だそうだ。
王都から来てるから戻ることになるんだけど、王都から別の国に行こうかと考えていたらしく、私たちの護衛を請け負ってくれたんだって。
「ねえ、ファティマが今まで来た国で一番寒かった国はどこなの?」
リトはファティマに興味津々で良く色々聞いている。私たち姉弟は村から出たことがなかったから、全く他の地域を知らない。
だから色々興味があるのはわかっているんだけど。
「そうですね、国だとヴェリエでしょうか。やはり寒い時期には海が凍りますから、」
「海が凍る…海って塩水で浸された低地なんだろう?
塩水が凍るのか?」
あああ…リトが食いついているのを聞いてると過保護な姉である私はビミョーな気分です!
しかも…
「塩水は確かに凍るためにはずっと低い温度まで下がらないといけないのですが、海だと真水が流れ込むためただの水より少し下がるくらいで凍るそうです」
は、博識…なんですって、私はちんぷんかんぷんだよ?
話を聞きながら、全然私は理解できてないけど、ファティマのお話は詳しいし、色々知識があるんだなって、あまり学のない私でも分かった。
それに褐色の肌を覆う民族衣装なのか、お洋服も気になります。
上着が生地がすごく薄いんだよね…レースではなくて、生地が薄い。そして長い。靴のところまでは来ていそう。
スリットが左右に入り動きやすくは作られているみたい。上着の下はズボンになってて動きやすそう。
じーっと服を見てしまったからか、気づけばファティマが不安げな顔で見ていた。
あわてて目の前で手を振る。
「私お針子でして。ファティマのお洋服がすごく気になったの。上着の素材、絹だよね?綺麗だなーって思って…」
あ…ごめん、恥ずかしくなっちゃったみたいで、ファティマ顔を赤くして頬っぺた覆っちゃった…




