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お仕立て セレモニードレス 終

 数日後、リトと私は村を後にすることにした。

 体の弱い方々や、数日前に来て、実は魔女の攻撃を受けていた騎士団のお偉いさんは先に村を離れていった。

 そしてどうやら魔女の毒で体力のない人から倒れていったらしい。

 赤ちゃんの具合を悪くさせたのも魔女ってわけか…


 だからといって、村は活気を失ったわけではなく、騎士団の動ける人たちを筆頭に、毒の除染作業やら、毒が薄くて除染がすんだところに開墾を進めるなど作業は着々と進められている。

 逆に技術的なことをする人たちは集まってきているし、人が集まるから町から荷物も運ばれるようになってきた。


 私とリトは仕事を仕上げ、家を片付けた。

 捨てられないものはサラのおうちの一部屋を借りて、置かせてもらったんだけど、

「部屋を貸す代金は…毎月服一着ってとこかな。

 あ、寝巻きと普段着を交互に、ちゃんと季節に沿ったもの作ってよ?」

 頼みに行ったら借用書をさらさら作ってくれました。立派な借用書は拇印を押しています…絶対村に帰ってきて、荷物引き取らないと!

 あと、おうちはサラのおうちに鍵を預け、集まってきた人たちが必要なら使えるように解放してもらうことに。

 人が住まないと、家は荒れるって言うから、使ってもらった方がきっといい。サラのおうちなら、変な人に貸すことはなさそうだし、きっちり掃除させるかお金取りそうだから、その辺りは心配ないと思う。

「リゼ姉、サラさんが町までの馬車回してくれたって」

 生地もなくなって、がらんとしたお針子部屋にいる私に、リトが声をかけてきた。

「うん、今行くね」

 今の最後のお仕事の、セレモニードレスを箱にいれ、包み込む。

 赤ちゃんはまだ町で入院してるけど、持ち直したらしい。

 赤ちゃんが着るセレモニードレスはオーソドックスなものを仕上げた。

 赤ちゃんの前に合わせて着られるように仕立て、紐は少し太めに縫い合わせて作った。

 色は白だけど、ドレスの下の方にベージュ系の刺繍糸で刺繍を施した。

 お守りになるように、またまた健康増進の刺繍と、大きくなりますように、の思いを込めてツワブキの葉と花の刺繍をあしらった。

 そして頭に被る帽子には薄手の生地を折り畳んでから縫い付けた。

 赤ちゃんはレースが肌に当たるとまずいかな、と思ってレースは使えなかったので、生地を使っている。

 セレモニードレスの包みを胸に抱き、お針子部屋を振り返る。

「…行ってきます」

 椅子に座っていたお母さんの姿や、棚に向かって生地を選ぶお姉ちゃんの姿があったお針子部屋。

(また、戻ってくるんだもん。今は王都で修行する…つもりで行くのよ)

 部屋を後にして、後ろ手に静かにお針子部屋の扉を閉めた

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