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お仕立て セレモニードレス その9

 テーブルに並べられた料理を前に、よだれが出そうだった。

生ハムは厚めにカットされ、金属の串に通されている。添えられているのはハニーマスタードソース。

 甘辛とか、想像しただけでよだれが…


「リゼ姉、熱いから気を付けてよ」

 リトが大きめのカップに入ったカボチャポタージュを運んできた。

 湯気がほかほかのところに、甘い香りが混じる。

 あああ!飲み干したいけど、絶対口の中をやけどするやつ!

 ぐっと拳を握りしめる。

 ん?なんで私こんなに熱入って料理見ちゃってるんでしょうか?やっぱり町まで行ってきたのは疲れたのかな…?

 リトがテーブルに着き、二人だけの夕食の挨拶をした。

「「いただきます」」

 スープにスプーンを入れる。

 絶対火傷しそうだから飲みたい気持ちを押さえて、スプーンでくるくる回しながらリトに話しかける。

「そういえば、町に行く途中で今お仕立ての依頼を受けてるお客様に会ったの。

赤ちゃんが具合悪くなってしまったそうで、町で診てもらっているのよ」

「小さい子じゃ大変そうだな。でも普通はあまり小さいうちは病気もらわないんじゃなかったっけ?

友達に生まれたばかりの妹がいるやつがいて、そんな話してたけど」

 リトはパンを小さくちぎり、串焼きと食べている。

「そうなんだ…結構大変みたい。お見舞いをしてから帰ってきたんだけど、赤ちゃんの腕に管が付いたりしてたし」

「あ、点滴ってやつ?」

「そうかな?私は良く分からないんだけど」

 ただの娘、学校は行ったけど本読めるぐらいまでしか勉強してないからなあ、私。

 サラやリトに比べたら明らかに落ちこぼれですよ。

 スプーンにスープを掬い、息を吹き掛けてから飲む。

「おいしい…」

お腹に染み渡る感じ。夜道寒かったし。

 じーん、ときてしまうのだが、ここで一気飲みすると明らかにやけどするので、掬う量を増やしながら飲み、話を続ける。


「無事に赤ちゃん元気になってもらいたいよね」

「リゼ姉、そのために服作ってんだろ?元気になるように願掛けたら良いじゃん」

「願掛け?」

「え?もしかして気づいてなかったの?」

リトが目を丸くして私を見つめる。

「俺が小さい頃風邪引いて、熱と咳がひどかったとき咳落ち着くように願掛けたから!ってタオル縫ってくれたじゃないか。

あれ、地味に良く効いて、俺今でも咳が良く出るときは使ってるんだよ」

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