お仕立て セレモニードレス その7
ガタガタガタガタ
暗い中を馬車が進む。辺りは真っ暗で、夜空に星が瞬いているのだけがくっきりわかる。
今日はまだ、月が出てないらしくて辺りは暗いままだ。
「いやー、帰りは快適ねえ」
伸びながらサラが言う。サラのスカートの上、ひざもとにはさっき私が縫ったバスタオルがある。
「さ、寒くない?結構夜冷えてるよ?」
私はガタガタしながら手足を縮ませる。
お医者様のマリウスさんと別れたあと、私はサラに馬車に押し込まれ村に帰るところだ。
「そんなに冷えてませんよ?風邪でもひきましたかい?」
馬車を運転するお兄さんまで首を捻って私を見る。
えー、寒いの私だけ?
早く帰ってリトにお願いしていたカボチャ食べたい!リトの事だから、きっとスープでも作ってくれてる!
あ、でもグラタンでもいいかも…
思わず頭の中にカボチャで作られたスープから、グラタン、ニョッキまでイメージしてしまいよだれが出そうになる。
「お、おおーい!まだ馬だめか?」
ゆっくり馬車が止まり、私の頭の中から食べ物が霧散して消えた。辺りを見渡すと、暗いけど人がいる。
さっき赤ちゃんのお母さんとあったところだと思い出した。
ひょいっとサラが馬車から降りる。
「サラ?」
「お嬢さん?」
なにやらしばらく話していると、サラはしゃがみこみ、馬にバスタオルを掛けてあげてから戻ってきた。
サラは馬車に乗り込む。
「さてと、先いこう。村に帰ったら、また町にとんぼ返りしないといけないからさ。
さっきの赤ちゃんの様子も気になるし。お父さんの方にも話しとかないとね」
あ、そうか。…赤ちゃんが元気になるのかはまだわからないのだ。
点滴された赤ちゃんの様子を思い出すだけでも痛々しい。
視線を感じ、顔をあげるとサラが私の顔を見てる。と思ったら、いきなりほっぺたをむにゅーっ!と引っ張る。
「ひ、ひひゃい!」
「なにしんみりしてんのよ。私の考えが当たったら、赤ちゃんは元気になるし、あんたはめちゃくちゃ忙しくなるわよ」
月が姿を表し明るくなった頃。
ガタガタしながら馬車は村に入った。
サラはまた、馬車に突っ伏している。…さっきまでピンピンしていたのに変なの。




