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お仕立て ウエディングドレス その2

「ほうほう、デザイン見たときにもイケてるとは思っていたけど、これだけ手の込んだ刺繍が入るとまた、豪奢! って感じだね~」


 翌日、結婚式当日。

 幼馴染みのサラが宝石もって来てくれた。



 彼女の家は宝石店なんだけど、お金持ちの奥様方があまり考えずに宝石新調するから、お代の足しに古い宝石を換金していて、それをもとに新しいアクセサリーをリメイクしているの。

 古い宝石をかなり買い叩いてるみたいだけど、新しいアクセサリーを譲ってくれたご婦人に優先的に斡旋するから、Win-Win……だと本人は話してるけど……?



 まあ、それはさておき、ウェディングドレスに合わせたいから宝石レンタルさせて! と頼み込み、今日は控え室に来てもらったわけです。

 もちろん、刺繍を施す前にドレス見せてはいたけど、完成品をお披露目するのは初めて。



「なかなかすごいでしょう、サラちゃん。リゼが1人で仕上げたのよ。刺繍の意匠も考えてくれて」


 そのウェディングドレスを着て、ニコニコしたお姉ちゃんが椅子に座って鏡越しに私たちのやり取りに加わる。

 いつもは茶色の長い髪をハーフアップにしているお姉ちゃんだけど、今日は結婚式なので髪を夜会巻きにして、ティアラをつけている。ティアラにはもちろんベールも縫い付けられていて、今はベールは上げていた。

 手には白い光沢のある素材で造られたロンググローブをしている。


「今回の意匠はなかなかの自信作なのよ。刺繍でお守りを服に縫い付ける国があって、その刺繍を参考にして作ったの。ちょっとオリエンタルでしょ?

 サラの結婚式の時にも依頼くれれば仕立てるよ? どう?」


「あー、私は結婚式はしなさそうだからなあ。それよりハンカチに凝ったポイント刺繍をお願いしたいものよ。

 奥様方には名前入りハンカチとかウケ良いから、プラスしてこんな刺繍とか、きれいだしお願いしたいわ」


 サラは刺繍の一部を指で差す。ん? と眉を顰め、指を離し、もう一度さわる。


「どうしたの? なんか汚れでもあった? 式の途中でごはん食べて服汚しても大丈夫な様に、洗濯屋のおばさんから応急汚れとりも借りてきてるよ!」


 思わず汚れとりを取りにいこうかとしたけど、


「あ、何でもない。気のせいみたい。

さあさあ、お姉さんにアクセサリーも合わせてみましょ」


 サラが頭を振り、ウェーブかかった長い髪を揺らした。



 サラは袋から箱を取り出すと、お姉ちゃんの首もと、耳、髪へと順にアクセサリーを飾り付けて行く。

 このアクセサリーもまた見事で……深い青の宝石がレース細工の台座に乗っていて、すごくきれい。

 耳と髪にはシンプルに真珠がついたアクセサリー。これまた上品。

 総額いくらになるかとかは、怖いので考えません。

 思わずほぅっと息が洩れた。


「お姉ちゃん、すごいきれい……」


「ありがとう、リゼ。サラちゃんも、こんなに良いお品貸していただいて」


「花嫁は、青とか、古いものとか、新しいものとか、借りたものを身に付けた方が幸せになれるらしいから……これに全部入ってるからね。

 まさに四粒美味しくてしかもゴージャス!

 お姉さんきれいだから是非結婚後奥様方が集まるときには、うちの宝石を何卒よろしく。

 だって、旦那さん、騎士様なんでしょ?お付き合い広そうだし、うちの宝石店の名が広まるわ」


 さすが幼馴染みながら打算的。だからタダで貸してくれたのか。


「善処いたしますわ」


 お姉ちゃんがにっこり答えると

 コンコン

 扉のノックが部屋に鳴り響いた。

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