お仕立て セレモニードレス その2
オーダーを受けたサイズで生地を裁断する。
今回は赤ちゃんの肌に優しいように、柔らかい木綿糸で平織りのものをチョイスした。
いつもならそれなりにスカートとかでジョキジョキ生地を使うけど、新生児の服はとても小さい。
小さいパーツに分けてから、手縫いで合わせる。
そもそもまだ首も座らない赤ちゃんだから脱ぎ着しやすい前合わせの形にした。お母さんにすぐ大きくなるから、とも聞いたし、ぴったりよりは少し幅も取るけど、大きすぎないようにする。
一度縫い合わせてから、机に平置きした形でメジャーではかり直す。
(うん、想定通り。胸元がこれぐらいのサイズだから…)
コンコン
仕立て部屋の扉がノックされる。お姉ちゃんはカイさんと王都に行ってしまったから、いるのはリトだけ。
「はーい」
「リゼ姉、村が大変なことになってるよ」
入ってくるなり、リトがそう言ってきた。
ん?今日は学校帰りに食材の買い出しに行くのでは…?
手元のバックはどうも空みたいで、袋に横じわが見える。
「何?大変って?」
「村の農作物が、突然枯れだしたんだって。それで店が品物なくて出せないから、町に何人か馬や馬車持った人が買い出しに行くんだってさ」
「え!枯れたなら、しばらく収穫できないってこと?
…あれ?一昨日雨降ったよね?」
最近日照りとかはない。枯れてるのなんで?
「良く分からないんだけど、とにかく食材を町に買いに行かないといけないのは確かだよ。
で、リゼ姉、食材調達、サラさんの所に頼めないかな?サラさんの所、馬車あるだろ?
うちは馬とかいないし…」
カイさんが乗ってたのは、カイさんが持ってっちゃったしね。
私は椅子から立ち上がり、壁に掛けておいたストールを肩に羽織る。
「わかったわ、急いでお願いしてくる。今日の食事のぶんは、干しておいた野菜を使いましょ。
リトは用意しておいてくれる?」
最近、カボチャが採れ過ぎて干しておいたのが今回は生かせるわ!




