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00話 トマト

私は異世界に数々の勇者を召喚してきた

熟練の女神、リザイアよ!!


今日は後輩の女神サケノミコの

異世界召喚を手伝いに来たの!!!!


一般的には

あまり知られてないのだけれど、

異世界召喚には実は結構集中力がいるの。

召喚する際に、異世界転生者に

どんな能力を与えるかをしっかり想像して、

異世界召喚の魔法を使って勇者を呼び出すの。

そしたらなんと勇者にそのスキルが付与されるのよ!


つまり、異世界転生者にどんなスキルを

与えるのかは私たち次第!

私は今までに、スキル「爆弾魔(ボマー)」やスキル「氷の女王」などなど

様々な強力なスキルを勇者達に与えてきたの!!


どう!?凄いでしょ!?


「って私、誰に話してるのかしら」


そう呟くと、私は冷静になる。

だって、今日は、後輩サケノミコが初めての異世界転生を行う日。

女神界を統一する大女神ミカヅチ様から

かなりキツく

女神サケノミコを頼むとお願いされている。

私がしっかりしなくちゃどうするの。

さて、そろそろ時間ね…!

私は後輩である女神、

サケノミコの住んでいる部屋に

呼びにいくことにした。


「ちょっとサケノミコー!早く出てきなさい、今日は異世界転生を行う日でしょ!」


ガチャ。

女神サケノミコがドアを開けてでてくる。

よかった…いたいた…って…

酒臭っ!!!!!

部屋を見ると酒瓶が至る所に転がっている。


「何してんのあんた!」


「うぃ〜なんれすか〜?」


「こんなに飲んで…今日は大事な日でしょうが!」


「うぃ〜だって緊張しちゃって〜

あと、お腹すきました〜」


「我慢しなさい!ってもうこんな時間に!

いくわよ!サケノミコ!」


私はサケノミコを無理やり部屋から連れ出し、勇者を召喚する場所まで案内する。


「ほら、しっかりして!ここで異世界召喚を行うのよ」


「はい〜」


勇者召喚ができるのは一度きり。

つまり、召喚した時点でスキルは

もう一生変更できないのだ。

1つの世界を平和にする為には勿論

魔王と渡り合えるだけの強いスキルが必要。

なので、私は後輩の

女神サケノミコにもう一度注意する。


「いい!貴方が考えてきたスキルをちゃんと反映させるのよ!失敗は許されないからね!」


そういって、私は異世界召喚の呪文を唱えると、

目の前に、紋章が出現し、

神々しい光が辺りを包みだす。


「さぁ!サケノミコ!貴方が考えてきたスキルをイメージするのよ!」


「え〜とぉ〜なんだっけな〜

サンダー…、サンダーボルテックス…?

違うな…もうそんなことよりお腹空いた〜

トマト料理が食べたい〜」


「バカああああああああ何考えてるのよ!

そんなことしたら!」


召喚が成功しました。

これより勇者を召喚します。


ボワーン。


白い煙に巻かれながら勇者が出てきた。


「ゲホゲホ!ここは?」


やってしまった。私は勇者のスキルを

急いで確認する。


ステータス

レベル1

体力 100

防御力 50

攻撃力 50

素早さ 50


うんうん。ステータスには異常はないわ。

問題は…スキルね…。


私はスキルを確認した。


えーと。スキルは…、





スキル:トメィトゥ

スキル効果 トマトを出す。




なによこれええええええ!!

てかトメィトゥってなによ!何いっちょまえにカッコつけてんのよ!!!!

ただのトマトでしょうが!!!!!



私はサケノミコの肩を揺らしながら叫ぶ。


「あんたねええええええええええええ」


「やめてくらはい〜酒がでちゃいますうう

うっ本当にやばい」


ダダダダダッ!!



サケノミコは私を突き飛ばし、

走り去っていった。



「あのバカ後輩!!」


「あ、あのー、貴方は誰ですか?」


あ、忘れていた。

勇者トメィトゥを。

違った、それはスキル名だ。

名前は聞いてなかったんだ。


「えっと…勇者様…お名前は?」


「えっ勇者…?俺は神崎裕太かんざきゆうたですけど…」


名前に神が入っているわ…。

強いスキルがついていれば、

この勇者はカッコ良い勇者へと

成長していたのかもしれない。

しかし、貴方に

今ついているのはトメィトゥよ。

ただのトマト野郎。


「えっと…勇者ユウタ様。貴方はこの世界の平和を守るために勇者として召喚されました」


すると、勇者ユウタは嬉しかったのか

一気に表情が明るくなった。


「俺…!こういう世界憧れてたんです!

やったついに俺も勇者だ!」


うう、心が痛い。


「そ、そ、そ、それは良かったです」


「勇者ってことは何かスキルついてるんですよね?」


やばい。

スキルのことを聞かれた。


「一応…ついています」


嘘は言ってない。


「何がついているんですか?」


えーい。もうやけくそだー。

こうなったら正直に言うしかない。

でも、せめてカッコよく。


「トメィトゥです」


「え…、も、もう一度言ってもらえますか?」


「トメィトゥです」


「トメィトゥ…?」


「はい、トメィトゥです」


「その…トメィトゥのスキル効果は?」



「トマトが出ます」



「ただのトマトじゃねえかあああああああああああああああああああ」




ですよねーーー!!!!!!

私もさっき同じツッコミしましたー!!


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