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秘密の恋  作者: 菊花
本編
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29





上手く寝付けないまま朝を迎えた。

夕方から出かける、ということで午前中から奈々が張り切って服を選びにやってくる。

日付が変わった瞬間に告白されたことを報告するとへぇ、やるねーせんせーと奈々は妙に満足気だった。


「じゃ、初デートだ」

「でーと」

「そう。デート。夕方からだからご飯とか?」

「話をするだけだと思うんだけど…?」

「そんなの許さん」

「そんなこと言われてもなぁ」


会えるか、という話しかしていない。

どこか行くのかな?それとも話をするだけ?

朝に電話がかかってきたときもまた夕方ね、としか言っていなかった。


「まあ、ご飯と想定するか」

「別にそこまで気合い入れなくても…?」

「いーのいーの」


まあ、いいや。

好きにさせておこう。




※※※※※※※※※※※※※※※




今、学校終わったよ。着替えに1度家に戻るから、また出る時に連絡するね。



「お、LINEー」

「ちょ、見ないでよ」

「ふふふふ恋人だねぇ」

「やだもう奈々!」

「あーあ私の由姫が先生のものになるなんて」


まったくなにを言っているんだか。


「奈々だって彼氏いるくせに」

「それとこれは別なんですー」

「なにそれ」

「お、また先生からじゃない?」

「…もう家を出るって」

「はっや。ウケる、そんなにがっつかなくても」

「変な言い方しない!ほら奈々」

「えー。一緒に出迎えちゃ駄目ー?」

「だめ!」

「けちー」



なんとか奈々を家から追い出し、先生が来るのを待つ。

ほどなくしてインターホンが鳴った。


「はいっ」

「あっと…遠野です」

「今出ます!」


ドキドキしながら玄関を開ける。


「こんばんは。用意はできてる?」

「はい」

「じゃあ、行こっか」

「えっと…どこに行くんですか…?」

「んー。どこか行きたいとこある?ってももう夕方だから行けるとこも限られちゃうけど」

「とっ特にはっ」

「そう?…門限の話は聞いた?」

「門限っ!?」


ビックリな話が出てきた。

未だかつて門限なんか作られたことはない。


「空貴に9時って言われちゃったんだよね」

「そんな…」

「だから車で来たよ。電車とかよりふたりきりになれるでしょ」

「なっ!?」


ぼっと顔が赤くなる。

今のほんとに先生が言った?

なんかこんなこと言うようなかんじだったっけ!?

信じられない気持ちで隣を歩く先生を見上げ、目が合った。


「えーと…もしかして引いた…?」

「やっ!違くて!なんか意外っていうかっ」

「うーん。今まで言いたくても言えなかっただけだからなぁ」

「そっそうなんですか…?」

「うん…嫌、かな…?」


必死で首を横に振る。

よかった、とほっとした様子で笑った。





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