第14話《胸に秘めた決意》
前回の後書きで序章が終わるとか言っておきながらもう1話だけ伸ばすことをお許しください……
疾風怒濤の逃亡劇を繰り広げたエドワード一行は、無事にエレボス鉱山を脱出した。
彼らは、王宮に帰還すると真っ先に王の間へ赴いた。
「何事だエドワード。そのように取り乱すなどお前らしくもない。一体何が起きた?」
「落ち着いてなどいられません!先の地震で、エレボス鉱山の実戦訓練場に奈落へと通じる巨大な穴が発生しました!」
「なに?巨大な穴、とな?」
「はい。その穴へ落ちた我々は、奈落の底で洞窟を発見しました。洞窟を抜けると、そこには大広間が」
「ほう、興味深い。続けよ」
「はっ。我々が広間へ入った途端に洞窟は封鎖され、五十を超える魔法陣が発動しました。召喚されたのは第二等級の異形達。引き返すことも叶わず、我々は戦闘を開始しました。しかし勝機が見えてきた頃、広間の中央に巨大な転移魔法陣が現れ、ユウトが……不運なことに転移を……」
その言葉に、王だけで無くその場に居合わせた全ての人間がどよめく。
「そ、そんな!……ユウトが……嘘……」
悲壮な叫びが王の間にこだまする。
声の主は王女レベッカ。続けて何かを言おうとするが、正体不明の衝動が喉からせり上がってきて二の句が継げない。打ちひしがれたように目を落として黙り込む彼女の全身は小刻みに震え、必死に涙を堪えているように見える。
エドワードは魂が裂けるかのような痛みを感じた。
己が二十五年前に誓ったあの決意は一体何だったのか。
ユウトは死んでいない、転移しただけだと自分に言い聞かせて……やれる事は全てやったと自己満足に浸って……俺はなんて卑怯な人間なんだ。
王女はユウトの事をこんなににも想っているというのに……
「レベッカ王女。ユウトはこの私が、いや俺が命を懸けて必ず救い出します。お任せ下さい」
これ以上ないくらいの誠意を込めて彼はそう宣言する。
「……分かりました。エドワード、貴方にすべてを託します」
レベッカはそれだけ言うと、自分の部屋に戻ると言い残して去っていった。
広間が不気味なほど静まり返るなか、程なくして王が沈黙を破る。
「エドワード、彼の事はお前に任せたぞ。我が娘の願いでもある。必ず救い出し、王国に連れて戻れ」
「御意。必ずや」
「うむ。下がってよいぞ。生徒達諸君も今日は疲れたであろう。今晩は各自の回復に専念し、ゆるりと休まれよ。」
「「「「「ありがとうございます、陛下」」」」」
一行は深く一礼し、各自部屋へと戻っていった。
私は絶対にユウトを救う。あいつが傷ついた時は私が癒すって約束したんだから。あいつってば、私がいないとすぐに馬鹿な事をするしね。それまでは生き延びて、ユウト!
俺の相棒はやっぱあいつじゃないと務まんねぇぜ。必ず助けてやるから待ってろよ、ユウト。絶対に死ぬんじゃねぇぞ?
生徒を危険な目に合わせるなんて教師失格です。必ずあなたは救い出しますよ、轟君。待っていてくださいね!
俺は間違っていない。俺は悪くない。あいつは存在するべきじゃなかったんだ。王女までたぶらかしやがって、いい気味だ。必ず見つけ出して今度は殺してやるよ。おおっと、あいつには苦しみながら死んでもらおう。目の前で王女を殺すか?くくく……次合う時を楽しみにしてるぜぇ?轟ィ!
思惑は違えど、クラスメイト達はユウトを捜す決心を胸に刻み込むのであった。
おまけ。主要人物達の現在のステータスです。
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名前:轟ユウト
性別:男
年齢:16歳
職業:研究者
魔力:50
筋力:150
体力:150
俊敏:300
通常スキル:言語理解
特殊スキル:学習【分析】【+動作模倣】
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名前:剛臣健吾
性別:男
年齢:17歳
職業:拳闘士
魔力:500
筋力:500
体力:500
俊敏:300
通常スキル:不屈の闘志・剛力【+部分強化】・身体強化【+金剛】・打撃強化【+防御不可】・物理耐性【+衝撃緩和】・知覚速度2倍【+4倍】・魔力感知【+隠蔽不可】・言語理解・念話【+思念伝達】
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名前:柳川華音
性別:女
年齢:17歳
職業:予言者
魔力:800
筋力:200
体力:200
敏捷:300
通常スキル:未来予知・魔力増幅【+瞬間倍増】・魔力耐性【+全属性耐性】・魔力感知・聖属性適性・言語理解・念話【+思念伝達】
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名前:エドワード・アルフォード
性別:40歳
職業:テオドレド王国騎士団長
魔力:2000
筋力:1000
体力:1000
敏捷:1500
通常スキル:覚醒・不屈の心・覇気・ド根性【+全ステータス上昇】・剛力【+部分強化】【+全体強化】・身体強化【+金剛】・魔力増幅【+瞬間倍増】【+時間延長】・物理耐性【+衝撃緩和】・魔力耐性【+全属性耐性】・聖属性適性・言語理解・念話【+思念伝達】
特殊スキル:守護者【回復・防御魔法適性】・【+消費魔力半減】・【+無詠唱】・【+最大展開可能】・【天の加護】・【肩代わり】
読んでいただきありがとうございます。
今度こそ序章が終わりました!!
次回をお楽しみに!