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第1話《遠い銀河の彼方で》

初めて書いた小説です!

初心者の中の初心者なので、色々とおかしな部分や文法ミスがあると思います。たくさん指摘していただけると幸いです!

 その少年は仰向けに倒れていた。死んだようにぐったりと横たわり、ピクリとも動かない。


 何分経っただろうか。

 深い眠りの奥底で、意識だけが不意に覚醒する。

 弾かれたように目を開いた彼は、視界に飛び込んできた光景に愕然とした。


 そこには、彼が長年親しんできた、透き通るような青みを帯びた空は無かった。


 ただ、毒々しい赤に染まった虚空のみが広がっている。



「ここは……?」



 少年は慌てて体を起こす。周囲を見渡すが、目に映るのは延々と広がる荒野。雑草さえも生えておらず、大小様々な石が無造作に転がっているだけの“死んだ土地”。

 


「ここは一体……?」



 あまりにも殺伐とした光景に頭の処理が追いつかないのか、少年は同じことを繰り返す……




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 一隻の銀河巡航艇が、漆黒の宇宙空間を駆け抜けていく。

 通常では考えられない航路を辿っているのは、損傷を受けたからではなく、船体の損傷を避けるための非常手段であった。

 宇宙艇の後部──動力機関を中心に、船体は色鮮やかなエネルギー波に包まれている。


 必死に逃亡を続ける宇宙艇に次々と浴びせれる光弾。当たれば必殺のそれを、エネルギー波が吸収する。


 直後、宇宙艇の一キロほど後方に巨大な軍艦艇がぬっと姿を現した。

 光弾を浴びせかけていたのはこの宇宙戦艦である。

 サボテンの棘のように艦体から突き出た無数の砲塔。世界政府の所有する最大最強の軍艦艇【スター・クルーザー】である。

 二隻の距離が縮まるにつれて、光弾の命中率も高まっていく。

 直撃弾をくらう度に、宇宙艇は大きく揺れる──




 時は少し(さかのぼ)る。旅客席の窓からスター・クルーザーを発見した(とどろき)ユウトは、隣に座る女子生徒に声をかける。


「なぁ、あれって地球の軍艦艇だよな。それがどうしてこんな宇宙の辺境にいるんだ?」

「私に聞かれても分かる訳ないでしょ!ま、まぁ、考えてやらないこともないけど……?」

「いや、大丈夫だ。健吾に聞くよ」

「──!?」


 ズーン……という音が聞こえてきそうなくらい落ち込む女子生徒。


 名を柳原(やなぎはら)華音(かのん)という。ユウトの幼なじみであり、ユウトに好意的に接してくれる数少ない女子である。クラス委員長という役職のせいもあってか面倒見がよく、責任感も強いので、頼れるお姉さん的な存在だ。


 対してユウトはクラスのムードメーカー。いつも先生に怒られてばかりいる、いわゆる悪餓鬼(がき)である。

 

 相反する性格であるが、二人は何故か仲が良い。

 生来の強気な性格が邪魔をしてなかなか素直になれす、自分の想いを上手く伝えられない華音。

 鈍感なせいで彼女の本意に気付かず、あくまでも幼なじみとして華音と接しているユウト。

 そんな、残念でもどかしい彼らの関係は、学校内でも色々な意味で有名だ。



 しゅんとする華音。しかし後ろの席に意識を向けているユウトはそんな彼女に気付くことなく、華音と同じく幼なじみであり親友でもある剛臣(つよおみ)健吾(けんご)に問い掛ける。


「お前はどう思う?健吾」

「んー、そうだな……仮にも世界政府の宇宙戦艦だ。なんの理由も無くこんな所に来るなんて考えにくいが。てか、まさかこの宇宙艇が目当てとかじゃないよな?俺達、修学旅行に来てるだけだぜ?」


 三人は都内の名門校【ラヴェーヌ学園】に通う高校二年生。

 二年B組に属する彼らは、海の惑星【シーキャット】に向けて絶賛航行中なのだ。


「ま、なんにせよ大丈夫だろう。この宇宙艇は最新のシールド機能を搭載しているようだし、もしもの事があっても安心していいんじゃないか?」


 そう言って己に言い聞かせる。

 大丈夫だ、心配する必要は無いのだ──と。



 しかし彼らの予想は見事に裏切られる事となる。





 ドゴーーン!!

 遠くで爆音が聞こえ、船体が激しく揺れた。窓際の旅客席に座っている生徒達はその衝撃を身をもって思い知らされる。旅客席に座り安全ベルトを着用しているにも関わらず、衝撃はもろに伝わってきた。


 攻撃してきたのは、まさかのスター・クルーザー。


「は!?なんで地球の軍艦艇が俺らを襲うんだよ!」


 ユウトは驚いて声をあげる。


 また直撃弾を浴びたらしく、船体が大きく揺れる。


 まさかの事態に、生徒達は混乱の極みだ。彼らが口々に叫び合う様はまさに阿鼻叫喚。



 そして遂に一発の光弾がシールドを貫通し、動力機関を捉えた。

 一瞬のうちに溶解するエンジン。大小様々な破片が飛び散り、宇宙光に照らされて煌々と輝く。



 腹の底に響くような爆発音とともに、旅客席の電気がフッと消えた。

 生徒達は固唾を呑み、息を殺して黙り込む。


 電気回路のショートするパチパチという乾いた音が、静まり返った旅客席に不気味に響き渡った。


 同時に、天井の非常灯に赤い光が灯る。


 突如鳴り始めるサイレン。旅客席はにわかに騒然となる。


 そのときである。


『旅客席の皆さん、艦長の森脇です。現在軍艦艇の襲撃を受けています。現在修理班が動力機関の復旧に努めておりますので、しばらくお待ち下さい。また、いつでも脱出できるよう、荷物をまとめておいて下さい』


 機内のスピーカーから艦長の報告が届く。


「皆さーん!先生の話をきちんと聞いてください!まずは落ち着いて!立っている人は自分の先に座って!大丈夫です、今頃艦長さんたちが対処してくれているはずですから!」


 クラスの担任である姫神(ひめがみ)(かおる)先生が生徒達に呼び掛ける。


「ど、どうしよう。華音ちゃん!警報が鳴ってるよッ!」

「大丈夫よ。心配ないわ歩花(あゆか)。乗組員の方たちは大ベテランなんだから。今は(かおる)先生の指示に従おう。ね?」

「そ、そうだよね。分かった!」


 不安を増長させるかのような音が響くなか、薫先生と華音の執り成しでなんとか静まるクラスメイト達。


 しかし……


 その刹那、悲壮な叫び声が機内に響き渡った。

読んでいただきありがとうございます。


22世紀の修学旅行は宇宙旅行なんですね……羨ましい。


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