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巨大ゴーレム

久しぶりに投稿です。お待たせしました。


ざっくりあらすじ


ジェド、フェリス、ヤックはエルフの病気を治すための素材が賢者の木にあると精霊に聞いてやってきていた。

賢者の木には賢者の作ったゴーレムが彷徨いており、ゴーレムは日本語で番号管理がなされていた。もしかして、賢者は日本人なのか?

 

『前方からゴーレムが四体! 固まってやってくるぜ!』


 賢者の木の内部を進んでいると、ヤックがゴーレムの気配を捉えた。


「ヤック、迂回して進むことはできそうか?」


『あー、ここなら回り道があるぞ! ちょっと遠くなるけどな』


「戦闘が避けられるならいいよ」


『わかった。じゃあ、ここから引き返して左な!』


 ゴーレムが大量にいると考えられる以上、戦闘をしている場合ではない。


 だから俺達がとった作戦は、斥候役であり案内役であるヤックが相手の気配を先に捉え戦闘をできるだけ避けるという方法だ。


「……それにしても、回り道をすると完璧に帰り道がわからなくなるわね」


「それについては、ヤックを頼りにするしかないよ」


『おう! ちょっとずつ思い出してきたからな! 俺に任せろ!』


 俺とフェリスがそんな会話をしていると、ポーチから顔を出しているヤックが勇ましく言う。


「……とか言って、さっきも行き止まりだったじゃないか」


『あ、あれはちょっと間違えただけだ!』


 順調に進んではいるようだが、こうしてちょくちょく間違えることがあるので怪しいものだ。


 大樹の樹液を採取したはいいが、帰り道がわからなくなって彷徨うとか嫌だぞ?


 一応はマーキングを各地にしているから最悪な事態にはならなさそうだけど、酷く心配だ。


 そんな事を思いながら、俺達はヤックの指示する通りに道を進んでいく。


『次は真っ直ぐだが、このまま進むとゴーレムが二体いるぞ。どうする?』


「迂回は?」


『さすがにここは迂回したら前に進めないな』


 どうやら更に奥に進むには、この道を避けては通れないようだ。


「二体くらいなら大丈夫だよ。ここは殲滅して進もう」


『左の角からゴーレムが二体出てくるぜ!』


 ヤックの言葉をフェリスに伝えると、ほどなくして騎士ゴーレムが二体出てくる。


 それほど広くない通路なので武装は変わらずに剣のようだ。


 角から出てきた奥のゴーレムの目を、フェリスの矢が射抜く。


 大きなダメージはないが、目に攻撃を受けたせいか一体のゴーレムの動きが止まる。


 もう片方のゴーレムは、隣のゴーレムが攻撃を受けたことを認識し射出された方角を見る。


 そして、侵入者の俺達を確認するなり一人剣を構えて走ってきた。


 それはちょうどゴーレム二体が一直線になる間合い。


 そのタイミングで俺は腕を突き出して、魔法言語を唱える。


「【ラッド・ラジエーション】ッ!」


 裂帛の声と共に光が生み出され、そこから光線が発射される。


 光線は走ってきたゴーレムの上半身を貫通し、奥にいるゴーレムも同様に貫いた。


 走っていたゴーレムは上半身が吹き飛んでからも少し歩いたが、胸部分にあるエルドラ鉱石による魔力供給がなくなったせいか膝から崩れ落ちる。


 奥にいるゴーレムも倒れ伏しているが、しっかりエルドラ鉱石の破壊を確認できていないので安心はできない。


 俺は注意深く剣を構えて奥にいるゴーレムの下に向かう。


 そしてエルドラ鉱石が綺麗に破壊されているのを確認し、息を吐く。


「こっちも問題ないよ」


「なら、良かったわ」


 この戦法は何度かやっているので、皆も慣れたものだ。


 幸いなことに俺達は魔法が使えるので、その気になれば一瞬でゴーレムを葬ることもできる。


 だが、威力や範囲を押さえなければ、賢者の木事態を傷付けることになるし、遠くにいるゴーレムを呼び込むことだってあるかもしれない。もちろん、魔力を温存したいという理由もある。


 だから、俺達は範囲を絞りつつ、効果的に高威力が出せる魔法を使うようにしている。


「それじゃあ、進みましょう」


「そうだな」






 ◆   ◆   ◆




 それからも俺達は、ヤックの道案内で大樹の奥へと進んだ。


 ヤックによると、大樹の樹液は最上部にあるものがもっとも新鮮らしく、昔それらしいものを飲み比べたことがあるのだそうだ。


 具体的にどうやって樹液をとるのかという疑問はあったが、ヤックの主である賢者が生活していた部屋では新鮮な樹液が飲めたらしいので、最終目標地点を賢者の部屋に設定することに。


 そんな訳で俺達は最上階に登り、ようやく賢者の部屋まであとちょっと、という位置まで来ていた。


『もうすぐだぜ! ここを真っ直ぐに進んでいけば大広間があって、その先には賢者の部屋に繋がる螺旋階段があるぜ!』


「……その前にある大広間ってのが凄く気になるんだけど……最初の入り口みたいにランスを構えたゴーレムとかいないよな?」


『……それは俺も保障できねえ。第一、俺がいた時はゴーレムがうろついていたりしなかったからな』


 ゴーレムの情報に関しては本当に頼りにならないのが残念だ。


 それにしても嫌な予感がする。


 通路内にこれだけのゴーレムを配置させていた賢者だぞ。最終防衛ラインである自分の部屋へと至る場所に置かない訳がないと思うのだが。


 とりあえず俺はヤックの情報をフェリスに伝える。


「何もいないといいわね」


「……絶対いるよ」


「まあ、そうかもしれないわね」


「最初の広間のようにランスを持ったゴーレム一体だけだといいな」


「広間を埋め尽くすくらいいるかもしれないわね」


 俺の呟いた希望をフェリスがバッサリと切り捨てる。


『フェリスの言う通り、広間を埋め尽くすくらいとかもあり得るよな! 通路内にあれだけゴーレムがいたんだし! でも、俺としてはやっぱりデカいゴーレムの方がいいな!』


 戦闘をしないヤックが呑気なことを言う。


 どちらもロクでもない想像なのだが、ありえそうなのが怖いところだ。


 俺は広間に厄介なゴーレムがいないことを祈りつつ、道を真っ直ぐに進む。


 すると、そこには最初の大広間を彷彿させるような広大な空間があった。


 その中央に位置するのは、俺達が遠目から見上げるくらいに巨大な一体のゴーレムだった。


 ベースは今までと同じ人型で、騎士のような姿をしたゴーレム。だが、それらの装備のディティールと重厚感が格段に違っていた。


 恐らく核となっているエルドラ鉱石は胸元に埋め込まれているのだろう。


 特に上半身の部分は他の部分よりも頑強そうに見えるし。


 そして何よりの問題はデカいことだ。軽く二十メートル以上はあるだろう。


 そんな巨大なゴーレムが同じく、巨大な剣を地面に突き刺しているのである。


 もう、近付く前からこいつは危険だということが容易に想像できた。


「……で、でかいわね」


「こんなにデカいゴーレムがいるなんて……」


 フェリスもここまでのは想像すらしていなかったのか、その大きさを見て呆然としている。


『……これはまたでけぇゴーレムがいるな。それに今までのゴーレムよりもかなり強そうだな』


「お前、本当に知らなかったのか? いくら何でもこんなにデカいゴーレムがいて知らなかったはないだろ!?」


『だから、ゴーレム達は俺が住んでた頃はいなかったんだよ!』


「近付いたらまた動き出すわよね?」


「だろうね」


 奥へ至る道を塞ぐように立っている様子からして、きっと近付けば侵入者たる俺達を排除するであろう。


「ヤック、今のうちに隠れておいて。多分戦いになるから」


『おう、わかった! また攻撃されるのはこりごりだからな!』


 フェリスがそう言って、ポーチにいるヤックを下ろす。


 すると全速力で走って出入り口に隠れた。


 これでヤックの安全は問題ないか。仮に何かあったとしても、この広間に繋がる入り口は複数あるので、勝手にそこに退避するであろう。


 俺は改めて巨大ゴーレムを観察する。


「本当にデカいなー。今までのゴーレムみたいに魔法一発で倒れないかな?」


「倒れそうに見える?」


 倒れそうに見えないから困っているのだ。


 最低でも中級魔法程度の威力は必要そうだな。


「あれじゃあ矢は意味がなさそうね。私の援護は精霊魔法だけになりそうだわ」


「わかった」


 と言った感じで、俺達は作戦を立てていく。


 実際に戦闘が始まった時に役に立つのかはわからないものの、それでも話をすることで不安は和らぎ、俺達心には若干の余裕のようなものが生まれた。


 それだけでも作戦会議を行った効果はあったのかもしれない。


「それじゃあ準備はいい?」


「ええ。皆を救うためにゴーレムなんてさっさとやっつけるわ!」


 俺の言葉にフェリスが拳を握りながら言う。


 準備万端のフェリスの様子を見て、俺は唱える。


「【イグニ・フレア】」




エルフ編の終わりまでは、早いペースで更新できるかと思います。

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