vs魔王
魔王城を目指して十日目。
様々な魔物を倒しながら、ついにミツリたちは魔王城へと辿り着きました。
魔王城は黒々として禍々しく、いかにも魔王城ですというような建物でした。
その門は大きく開かれていて、まるでミツリたちを誘っているようです。
ミツリたちは、緊張に身を固めながらも門をくぐりました。
魔王城の中でも、色々な魔物が襲ってきました。
しかし、それらを全て斬り捨てて、ミツリは進んでいきました。
やがて、重厚な扉に辿り着き、開いた先には大きな広間と数段の階段、そして黒い玉座にどっしりと座り、高みから彼女たちを見据える魔王がいました。
ミツリたちが近づいていくと、扉は勝手に閉まり、魔王がゆっくりと立ち上がりました。
その顔に、ニヤリとした笑みを浮かべています。
"歓迎するぞ、人間共!俺は魔王スキミュラだ!"
低く威圧するような声で魔王スキミュラは怒鳴りました。
ミツリを庇うように近衛騎士団長が前に立ち、剣を構えます。
右には魔術師が、左には高位神官が立って、それぞれが魔術と神聖術の発動を準備します。
近衛騎士団長が自分の名前と肩書きを叫び、魔王を倒しにきた事を告げました。
それを聞いた魔王スキミュラは大きく笑います。
"矮小で脆弱な人間如きが俺を倒すだと?片腹痛いわ!できるものならやってみろ!"
すると、魔術師が、魔王を倒すために召喚した『勇者』がいると叫びました。
"『勇者』?・・・まさか、その小娘が?"
訝しげな魔王の前に、ミツリは進み出ます。
「初めまして、魔王スキミュラさん。私は『勇者』のミツリといいます。会ったばかりですけど、さよならです」
そして、ミツリは歌うように囁きました。
"死すべき者に憐れみを
仇なす者に死を"
魔王スキミュラの頭が、訝しんだ表情のまま、床に落ちました。
血が勢いよく噴き出し、鉄の臭いが一気に広まります。
不意に、広間は暗闇に包まれました。