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首斬り魔王少女  作者: 有寄之蟻
・本章・
5/17

ミツリの心境

ミツリは、自分が人々から疎まれている事に、薄々気がついていました。


自分の髪と眼は黒い色。


黒は魔の象徴。


召喚された時の国王たちの混乱を目にして、まずは外見で忌避される事を知りました。


自分の持つ【首斬り】の能力。


初めて魔物を殺した時の、周りの反応はとても分かりやすいものでした。


驚き、目を疑い、そして最後にはミツリに対する恐怖の表情。


ミツリ自身、この能力は恐れられて当然だと思いました。


そして、常に保たれた無表情と冷えた視線。


人々は、彼女には感情が無いのでは、などと言う人までいましたが、しかし、実際ミツリの内心は違っていました。


召喚された時、彼女は自分の部屋で寝るために電気を消そうとしていました。


すると、突然視界が白くなり、次の瞬間には冷えた石の床に立ち、見知らぬ男たちに囲まれていたのです。


ミツリはただただ意味が分からず、現状を把握するために、男たちを観察するのに一生懸命でした。


国王に魔王を倒せと言われた時は、部屋の寒さに空気を読むべきかどうか迷った末、結局寒さの解決を優先させたのです。


二度目の言葉の時には、自分が典型的な異世界召喚をされたのだと納得し、しかし自分は魔王を倒す力なんぞない、でも断れる雰囲気ではないし、じゃあどうする、とひたすら悩み、ふと自分が【首斬り】の能力を得ている事に気づいて、これで頑張るしかない、とめちゃくちゃに悩んだ末に了承したのでした。


【首斬り】を初めて使った時も、魔物の首が落ち、血が噴き出した瞬間に、口を押さえて悲鳴を飲み込みました。


動物が目の前で死ぬなど、ましてやその首が飛ぶところなど人生で一度もなかった彼女です。


漂った生臭い血の臭いも、血を噴き出す赤黒い肉の断面も、周囲の人々の驚愕も、全てが怖くて気持ち悪く感じました。


後々(あとあと)、魔物を殺す事も、血の臭いも、平らな首の切断面にも慣れ、何とも思わなくなった事は事実でしたが、ミツリは決して平然としていた訳ではなかったのです。

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