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首斬り魔王少女  作者: 有寄之蟻
・本章・
14/17

テンプレ異世界召喚事情…ルート→BAD END

急に明るくなった視界に、魔術師たち三人は思わず立ち上がりました。


今まで周囲を警戒しつつ、どうやってこの異空間から抜け出すかと画策していたのです。


闇に包まれてしばらくした時、魔術師は巨大な魔力が迫ってきた事に気づきました。


それを二人に伝えようとした途端、突然光が溢れたのです。


ふだんから鍛えていた近衛騎士団長が周りを見渡すと、そこは暗闇になる前と同じ広間でした。


しかし、どこにもミツリの姿はありません。


高位神官が彼女の身を案じて、一刻も早く探そうと提案しましたが、魔術師はそれどころではないと叫び返しました。


彼は、魔術具なしでもはっきりと分かる程の、強い魔力を感じていたのです。


魔術師はそれと同じ程強い魔力を、ついさっきまで感じていました。


そう、それは明らかに魔王と同じ魔力でした。


いえ、それ以上かもしれません。


魔王が生き返ったのだ、と魔術師は戦慄しました。


その事を二人に告げると、近衛騎士団長が怪訝な表情をして、玉座の方を指差します。


そこには、首と胴体が分かたれた魔王スキミュラの死体がありました。


ちゃんと死んでるじゃないか、という近衛騎士団長の言葉に、魔術師は激昂しました。


魔力の濃度を測る魔術具を取り出して、ずいとそれを突きつけます。


それを見た二人は驚愕して、納得しました。


その魔術具は、透明な液体の満ちた小さな丸い水晶で、色が濃くなる程濃度が高い事を示します。


魔界の外では透明、魔界に入ると薄紫に変わり、魔王城に着いた時には濃い紫となっていました。


しかし、今の水晶の色は漆黒(・・)


一目見て分かる異常な魔力濃度に、三人は慄きました。


魔王スキミュラは死んだのに、同じような強さの魔力があるという事は、新たな魔王が現れたのではないか、魔術師は考えました。


こんなに早く次の魔王が現れるのかと疑問に思い、しかしそれ以外に思いつく事もなく、三人はとにかくま魔王城を離れる事にしました。


高位神官は、ミツリを見つけてからだ、と何度も主張しましたが、聞きいられませんでした。


魔術師は、国王の命令を受けていて、魔王を倒した後、ミツリを殺すよう言われていました。


彼女の姿がないのなら、死んだものと思ってわざわざ探しにいく必要などなかったからです。


高位神官は、それを聞いて今度こそ憤激しました。


が、近衛騎士団長に気絶させられ、縛られて運ばれてしまいました。


ミツリのいた行きの旅に比べると、遥かに苦労をしながら彼らは魔界を抜け、全速力で王城へと戻りました。


三人は『英雄』として迎えられ、ミツリは魔王と相討ちになった事にされました。


真実を知るのは、国王と宰相と魔術師、それと近衛騎士団長と神官長だけです。


高位神官は、危険分子として神官位を剥奪され、囚人として監禁されてしまいました。


国民は偽りを信じて喜び、『英雄』たちは真実から目を背ける事に決めました。


こうして、人間の国々に平穏という幻想がもたらされました。






これで人間(・・)の物語はおしまいです。


めでたしめでたし?






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