第65話『ゼクス襲来・圧倒的敗北』
前回のあらすじ
クロウの転移魔法で焔獄山へと送られたアキラたち。灼熱の火山を登り、頂上でエンシェントドラゴンと激闘を繰り広げる! 全員の連携で何とか勝利し、第四の証――背中の紋章を獲得。だが、王都には不穏な影が迫っていた――!
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転移魔法の光が消え、アキラたちは王都の入口に戻ってきた。
「ふう……やっと戻った」
アキラが伸びをする。
「疲れたわね……」
リーナも肩を回す。
だが――
「あれ?」
エリンが首を傾げる。
「何か……様子がおかしくないですか?」
確かに、街が静かすぎた。
いつもなら賑やかな大通りに、人影がない。店は閉まり、窓のカーテンは閉じられている。
「妙だな……」
ガルドが警戒する。
その時――
「助けて――!」
遠くから悲鳴が聞こえた。
「!」
全員が走り出す。
角を曲がると――
黒い服を着た男たちが、街の人々を襲っていた。
「影の組織……!」
リーナが叫ぶ。
「なんで王都に!?」
「おい、お前ら!」
アキラが木剣を抜く。
「市民に何してんだ!」
黒服の男たちが振り返る。
「逆転者……!」
「ちょうどいい、お前を待っていた」
男たちが武器を構える。
「リーナ、市民を避難させて!」
「わかった!」
リーナとエリン、セレスティアが市民の誘導に向かう。
「俺とガルドで時間を稼ぐ!」
「おう!」
二人が黒服の男たちに突っ込む。
「せいやっ!」
アキラの木剣が一人を吹き飛ばす。
バキッ!
「あっ」
木剣が折れた。
「また!?」
「気にしてる暇はない!」
新しい木剣を抜いて次々と薙ぎ払う。
ガルドも大剣で敵を斬り伏せていく。
「何人いるんだ!」
「わからん! だが、きりがない!」
次から次へと、黒服の男たちが現れる。
「くそっ……」
アキラが息を切らす。
その時――
ゴオオオオオ!
空から、巨大な影が降りてきた。
「なっ……!」
シャドウドラゴン。
全身が黒い霧で覆われた、影の龍だった。
「シャドウドラゴンが……五体!?」
ガルドが驚愕する。
「嘘だろ……」
アキラが呆然とする。
一体だけでもAランク相当の強敵。それが五体同時。
「ギャアアアアア!」
ドラゴンたちが一斉に襲いかかってくる。
「やべっ!」
アキラが横に跳ぶ。
ドラゴンの爪が地面を抉る。
「ファイアボルト!」
リーナが炎を放つ。
一体のドラゴンに命中するが――
「効いてない!?」
影の魔物は、魔法も物理攻撃も半減する。
「くっ……厄介ね!」
「アイスランス!」
セレスティアも氷魔法を放つが、やはりダメージは軽微だ。
「このままじゃ……!」
エリンが回復魔法を展開するが、追いつかない。
アキラは必死に戦い続ける。
木剣を振るい、一体のドラゴンの首に叩き込む。
ズガッ!
バキッ!
木剣が折れる。
だが、ドラゴンは怯んだだけだ。
「まだ倒れない……!」
新しい木剣を抜く。
もう一撃。
さらにもう一撃。
何度も何度も叩き込んで――
ようやく一体目が霧散した。
「はあ……はあ……」
息が上がる。
「まだ……四体……」
その時、ガルドが吹き飛ばされた。
「ガルド!」
「ぐっ……大丈夫だ……」
ガルドが立ち上がるが、肩から血が流れている。
「みんな……限界……」
リーナも魔力を使い果たしかけている。
エリンとセレスティアも、もう杖を構える力が残っていない。
「くそっ……」
アキラが拳を握る。
「このままじゃ……」
その時――
世界が、止まった。
「え……?」
アキラの動きが、止まる。
リーナも、ガルドも、エリンも、セレスティアも――全員の動きが、完全に停止した。
時間が、止まっている。
「また……この感覚……」
ゆっくりと、一人の男が歩いてくる。
金色の髪、黒いコート、鋭い眼光。
ゼクスだ。
「よく戻ってきたな、逆転者」
ゼクスがアキラの前に立つ。
「エンシェントドラゴンを倒したそうだな。感心した」
アキラは動けない。
声も出せない。
「だが――」
ゼクスがアキラの頬に手を伸ばす。
「まだ弱い」
その指が、アキラの頬を撫でる。
冷たい。
「レベル400か。確かに強い。だが、俺には遠く及ばない」
ゼクスが笑う。
「マイナスレベルに到達してから来い。その時――」
彼が不敵に笑う。
「お前の全てを、奪ってやる」
そして、時間が動き出した。
「――!」
アキラが息を呑む。
目の前には、誰もいなかった。
ゼクスの姿は、消えていた。
「な、何だ……今の……」
体が震える。
恐怖。
圧倒的な力の差を、見せつけられた。
「アキラ!」
リーナが駆け寄る。
「大丈夫!?」
「あ、ああ……」
だが、その時――
ドゴォンッ!
残りのシャドウドラゴンが襲いかかってきた。
「うわっ!」
アキラが吹き飛ばされる。
地面に叩きつけられ、激痛が走る。
「ぐっ……」
「アキラ!」
エリンが回復魔法を放つ。
「ヒール!」
傷が癒えるが、ドラゴンの攻撃は止まらない。
「くそっ……」
アキラが立ち上がる。
木剣を構え、再び突っ込む。
「うおおおお!」
ドラゴンに木剣を叩き込む。
一体、また一体と、必死に戦い続ける。
木剣が折れる。
新しい木剣を抜く。
また折れる。
さらに新しい木剣。
「はあ……はあ……」
ようやく、四体目のドラゴンを倒した。
残り一体。
「まだ……終わらない……」
アキラが踏み出そうとしたとき――
膝が崩れた。
「あ……」
力が、入らない。
「アキラ!」
リーナが支える。
「もう無理よ……休んで……」
「でも……」
「私たちに任せて」
ガルドが前に出る。
「お前は休め」
「ガルド……」
「行くぞ、リーナ、エリン、セレスティア!」
「ええ!」
四人が最後のシャドウドラゴンに立ち向かう。
ガルドの大剣、リーナの炎、セレスティアの氷、エリンの光――
全ての力を結集して、ドラゴンに叩き込む。
「ギャアアアアア!」
ドラゴンが悲鳴を上げて消えた。
「やった……」
全員が、その場に崩れ落ちた。
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戦いが終わり、王都には静寂が戻っていた。
市民たちは避難し、無事だった。
だが――
「くそっ……」
アキラが拳を握りしめる。
「俺は……何もできなかった……」
ゼクスの圧倒的な力。
時間を止める能力。
「まだ弱い」
あの言葉が、まだ耳に残っている。
「アキラ……」
リーナが隣に座る。
「気にしないで。あなたは十分頑張ったわ」
「でも……」
「ゼクスは強い。でも、あなたももっと強くなれる」
リーナがアキラの手を握る。
「マイナスレベルに到達すれば……あなたは真の逆転者になる」
「マイナスレベル……」
アキラが呟く。
「そうだ……」
彼が立ち上がる。
「俺、レベルをもっと下げる」
「え?」
「マイナスレベルに到達して、ゼクスを倒す!」
その目には、強い決意が宿っていた。
「よし……」
ガルドが立ち上がる。
「なら、俺たちも協力する」
「私も!」
エリンが頷く。
「私もお手伝いしますわ」
セレスティアも微笑む。
「みんな……」
アキラが笑顔を見せた。
「ありがとう。じゃあ――」
彼が木剣を構える。
「レベルを下げる旅に出よう!」
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翌日。
アキラたちは、王都を出発した。
目的地は、モンスターが大量に出現するという『魔境の森』。
「ここなら、たくさんのモンスターと戦える」
リーナが地図を確認する。
「レベルを一気に下げるには最適ね」
「よし、行くぞ!」
アキラが森に踏み入る。
だが、彼はまだ知らない。
レベル400から、レベル0までの道のりが――
想像以上に過酷であることを。
そして――
レベルが下がるにつれて、自分が弱くなっていくという、当たり前の事実を。
「さて、最初の敵は……」
森の奥から、Bランクのモンスターが現れた。
「よっしゃ! 来い!」
アキラが木剣を構える。
こうして、レベルを下げる旅が始まった。
果たして、アキラは無事にマイナスレベルに到達できるのか――!?
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## 次回予告
レベルを下げるため、魔境の森で戦い続けるアキラたち! だが、レベルが下がるにつれて、アキラの強さも失われていく……!? レベル200代の苦悩が、今始まる!
**次回、第66話『レベル200代の苦悩』お楽しみに!**
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## アキラの現在ステータス
- **レベル**: 300(-100)
- **全ステータス**: 300,000
- **ギルドランク**: Aランク
- **パーティランク**: Aランク
- **所持金**: 金貨197枚、銀貨35枚
- **木剣**: 37本(-20本)
- **仲間**: リーナ(Aランク)、ガルド(Aランク上位)、エリン(Bランク)、セレスティア(Bランク)




