第63話『Aランク試験!』
前回のあらすじ
パーティランクがAランクに昇格し、仲間たちも個人ランクが上がった。だが、アキラだけは筆記試験が必須! リーナたちの特訓を受け、必死に勉強するアキラ。そしてついに、試験当日を迎える――!
-----
朝日が、王都の街並みを橙色に染めていた。
宿屋の窓から差し込む光が、部屋の中をゆっくりと照らし出す。
「うう……」
アキラは、ベッドの上で何度も寝返りを打っていた。
眠れない。
いや、正確には眠れなかった。
今日は、Aランク昇格試験の日だ。
「緊張する……」
彼が呟くと、ドアをノックする音が聞こえた。
「アキラ、起きてる?」
リーナの声だ。
「あ、起きてる起きてる」
「入るわよ」
ドアが開き、リーナが朝食の載ったトレイを持って入ってくる。
「ほら、朝ごはん。ちゃんと食べないと、頭働かないわよ」
「ありがとう……」
アキラがトレイを受け取る。温かいスープとパン、そして果物。
「緊張してる?」
リーナが隣に座る。
「まあ……ちょっとな」
「ふふっ」
リーナが微笑む。
「大丈夫よ、あんたなら」
「でも、筆記試験……」
「ちゃんと勉強したじゃない。私たちが教えたこと、思い出せば大丈夫」
「……うん」
アキラが小さく頷く。
リーナがアキラの頭をポンと叩いた。
「自信持ちなさい。あんた、本当に頑張ってたもの」
「リーナ……」
「さ、食べて。試験、頑張ってきなさい」
「おう!」
-----
ギルド本部。
朝の光が、石造りの建物を照らし出している。
入口には、試験を受ける冒険者たちが集まっていた。みんな、緊張した面持ちだ。
「よし……」
アキラが深呼吸する。
「頑張れよ、アキラ」
ガルドが肩を叩く。
「筆記はともかく、実技は完璧だ」
「筆記はともかく、って……」
「ガハハ! 冗談だ」
「冗談になってない!」
エリンが駆け寄ってくる。
「アキラさん、頑張ってください!」
「ありがとう、エリン」
セレスティアも微笑んだ。
「応援していますわ、アキラさん」
「みんな……ありがとな」
アキラが笑顔を見せる。
その時、ギルドの扉が開いた。
ギルドマスターが現れ、厳粛な表情で受験者たちを見渡す。
「これより、Aランク昇格試験を開始する。受験者は、試験会場へ」
-----
試験会場――ギルド本部の大広間。
長机が整然と並べられ、その上には問題用紙が伏せて置かれている。
受験者たちが、それぞれの席に着く。
アキラも、指定された席に座った。
心臓が、ドクドクと激しく打っている。
「では――」
ギルドマスターが時計を見る。
「試験を開始する。制限時間は二時間だ」
カチッ。
砂時計がひっくり返される。
「始め」
一斉に、受験者たちが問題用紙をめくった。
アキラも、恐る恐る問題用紙を開く。
「うわ……」
最初に目に飛び込んできたのは、びっしりと書かれた文字。
全二十問。選択式十問、記述式十問。
「……よし」
アキラが鉛筆を握る。
第一問を読む。
**『ゴブリンの弱点について、最も適切なものを選べ』**
選択肢が四つ並んでいる。
(A)光 (B)音 (C)水 (D)火
「えっと……」
アキラが必死に思い出そうとする。
リーナの声が、脳裏に蘇った。
『ゴブリンの弱点は?』
『音よ』
「そうだ、音だ!」
アキラが(B)に丸をつける。
次の問題。
**『エルデガルド大陸北部にそびえる山脈の正式名称を答えよ』**
「これは……」
ガルドの声が聞こえる。
『正式名称は「エルデガルド北部山脈」だ』
「よし!」
アキラが解答欄に書き込む。
一問、また一問と、必死に思い出しながら解いていく。
第五問――薬学の問題。
**『この薬草の効果として正しいものを選べ』**
図が描かれている。ギザギザの葉を持つ、緑色の草。
「これは……」
エリンの優しい声が聞こえる。
『この薬草は、毒消しの効果があります』
「毒消し……!」
アキラが選択肢から(C)毒消しを選ぶ。
第十問――魔法学。
**『属性の相性について、正しい組み合わせを選べ』**
「炎は……氷に弱い……」
セレスティアの声が蘇る。
『炎は氷に弱く、氷は雷に弱く、雷は土に弱く……』
「よし、わかった!」
アキラが解答していく。
選択式十問を終え、次は記述式。
ここからが本番だ。
第十一問。
**『オーガの生態について、詳しく説明せよ』**
「オーガは……再生能力が高く……」
リーナの説明を思い出しながら、一文字一文字、丁寧に書いていく。
汗が、額に浮かんでくる。
時間が、刻々と過ぎていく。
砂時計の砂が、少しずつ落ちていく。
「くっ……」
アキラが必死にペンを走らせる。
そして、最後の問題。
第二十問――記述式の最難関。
**『Aランク冒険者としての心構えについて、あなたの考えを述べよ』**
「心構え……」
アキラがペンを止める。
これは、知識じゃない。
自分の言葉で答えなければならない。
「俺が……Aランク冒険者として……」
彼は、目を閉じる。
これまでの冒険を思い出す。
リーナと出会った日。
ガルドやエリンと仲間になった日。
セレスティアを助けた日。
困っている人たちを助けた日々。
「……そうだ」
アキラが目を開ける。
そして、ペンを走らせ始めた。
**『俺が思うAランク冒険者の心構え――それは、仲間を守り、困っている人を助けること。強さだけじゃない。誰かのために戦える勇気。それが、本当の冒険者だと思う。俺は、そんな冒険者になりたい』**
書き終えた瞬間――
「そこまで!」
ギルドマスターの声が響く。
「筆記試験、終了だ」
試験官たちが、問題用紙を回収していく。
アキラは、椅子にもたれかかった。
「はあ……終わった……」
全身から、力が抜けていく。
-----
試験会場の外。
「お疲れ様!」
リーナたちが駆け寄ってくる。
「どうだった?」
「うう……わかんない……」
アキラがぐったりする。
「でも、全部埋めた……」
「それだけで十分よ」
リーナが笑う。
「さ、お昼食べましょ。午後は実技試験でしょ?」
「ああ……」
アキラが立ち上がる。
「よし、気合入れ直すか!」
-----
午後。
実技試験場――ギルドの訓練場。
広い石畳の空間に、一人の男が立っていた。
「俺が試験官を務める。名はバルトロメオ」
渋い顔つきの中年男性。Aランクの冒険者で、実力は折り紙つきだ。
「模擬戦闘を行う。私を倒してみろ」
「わかりました」
アキラが木剣を抜く。
バルトロメオが大剣を構える。
「では――始め!」
ギルドマスターの合図と共に、バルトロメオが動いた。
速い。
大剣を振るい、アキラに斬りかかる。
「おっと!」
アキラが身をかわす。
風を切る音が、耳をかすめる。
「ほう……避けたか」
バルトロメオが目を細める。
「だが、これはどうだ!」
連続攻撃。
大剣が、何度もアキラを襲う。
だが――
「遅いな」
アキラが全ての攻撃を避けきる。
ステータス515,000。
その速さは、常人の比ではない。
「な……!」
バルトロメオが驚愕する。
「じゃあ、こっちの番!」
アキラが踏み込む。
木剣を振るう――
ドゴォンッ!
「ぐっ!」
バルトロメオが大剣で受け止めるが、その衝撃で後ろに吹き飛ばされる。
そして――
パキィンッ!
「あっ」
木剣が真っ二つに折れた。
「……また折れた」
ギャラリーから、笑い声が聞こえる。
「アキラ、相変わらずね……」
リーナが呆れている。
「うるさい!」
アキラが新しい木剣を取り出す。
「まだまだ!」
再び突っ込む。
木剣を振るう――
バキッ!
また折れる。
「くっ!」
さらに新しい木剣。
バルトロメオは、もはや防戦一方だった。
「こ、この強さ……!」
彼が歯を食いしばる。
「化け物か……!」
だが、アキラの攻撃は容赦ない。
次々と木剣を使って攻撃していく。
一本、また一本と、木剣が折れていく。
「うおおおお!」
最後の一撃。
木剣がバルトロメオの大剣を弾き飛ばした。
ガランッ。
大剣が地面に落ちる。
「……参った」
バルトロメオが両手を上げた。
「認めよう。お前の勝ちだ」
「ありがとうございました!」
アキラが一礼する。
ギャラリーから、拍手が起こった。
「すげえ……」
「あれがアキラ……」
「噂通りの強さだ……」
リーナたちも、誇らしげに笑っている。
-----
夕方。
合否発表の時間。
受験者たちが、緊張した面持ちでギルドマスターの前に並んでいる。
「これより、結果を発表する」
ギルドマスターが名簿を手に取る。
「アキラ」
「は、はい!」
アキラが緊張で声を震わせる。
「筆記試験……60点」
「ぎ、ギリギリ!?」
「合格ラインは60点だ。よくやった」
「やった……!」
アキラがガッツポーズする。
「実技試験……満点」
「おお!」
「総合評価――合格。Aランクへの昇格を認める」
「やったあああああ!」
アキラが飛び上がる。
リーナたちが駆け寄ってくる。
「おめでとう、アキラ!」
「やったな!」
「おめでとうございます!」
「素晴らしいですわ!」
みんなが笑顔で祝福してくれる。
ギルドマスターが、新しいギルドカードを手渡した。
「これが、お前のAランクカードだ」
「ありがとうございます!」
アキラが両手で受け取る。
カードには、『Aランク冒険者 アキラ』と刻まれていた。
「やった……俺、Aランクだ……!」
涙が、溢れそうになる。
「ありがとう、みんな……!」
-----
その夜。
王都の酒場では、盛大な祝賀会が開かれていた。
「乾杯!」
ジョッキが打ち鳴らされ、酒が注がれる。
「ガハハ! よくやったぞ、アキラ!」
ガルドが豪快に笑う。
「筆記60点ギリギリだけどな」
リーナがニヤニヤする。
「それ言うなよ!」
「でも、合格は合格よ」
「おめでとうございます、アキラさん!」
エリンが嬉しそうに笑う。
「本当に、素晴らしい功績ですわ」
セレスティアも微笑む。
「ありがとう、みんな」
アキラが笑顔で答える。
「みんながいたから、合格できた」
「これからも、一緒に頑張りましょうね」
リーナが優しく言った。
「ああ!」
アキラが頷く。
「次は……第四の試練だ」
「エンシェントドラゴン……」
ガルドが真剣な表情になる。
「ああ。でも――」
アキラが拳を握る。
「みんながいれば、絶対に勝てる!」
「その意気よ」
リーナが笑う。
五人のグラスが、再び打ち鳴らされた。
「乾杯!」
夜は更け、宴は続く。
だが、彼らはまだ知らない。
第四の試練が、想像を絶する困難であることを。
そして――
運命の歯車が、静かに回り始めていることを。
-----
## 次回予告
Aランク昇格を果たしたアキラ! だが、休む間もなく、クロウから第四の試練の場所が告げられる! 伝説の龍・エンシェントドラゴンが棲む、灼熱の火山へ――!
**次回、第64話『伝説の龍へ』お楽しみに!**
# 第63話『Aランク試験!』
## 前回のあらすじ
パーティランクがAランクに昇格し、仲間たちも個人ランクが上がった。だが、アキラだけは筆記試験が必須! リーナたちの特訓を受け、必死に勉強するアキラ。そしてついに、試験当日を迎える――!
-----
## 本編
朝日が、王都の街並みを橙色に染めていた。
宿屋の窓から差し込む光が、部屋の中をゆっくりと照らし出す。
「うう……」
アキラは、ベッドの上で何度も寝返りを打っていた。
眠れない。
いや、正確には眠れなかった。
今日は、Aランク昇格試験の日だ。
「緊張する……」
彼が呟くと、ドアをノックする音が聞こえた。
「アキラ、起きてる?」
リーナの声だ。
「あ、起きてる起きてる」
「入るわよ」
ドアが開き、リーナが朝食の載ったトレイを持って入ってくる。
「ほら、朝ごはん。ちゃんと食べないと、頭働かないわよ」
「ありがとう……」
アキラがトレイを受け取る。温かいスープとパン、そして果物。
「緊張してる?」
リーナが隣に座る。
「まあ……ちょっとな」
「ふふっ」
リーナが微笑む。
「大丈夫よ、あんたなら」
「でも、筆記試験……」
「ちゃんと勉強したじゃない。私たちが教えたこと、思い出せば大丈夫」
「……うん」
アキラが小さく頷く。
リーナがアキラの頭をポンと叩いた。
「自信持ちなさい。あんた、本当に頑張ってたもの」
「リーナ……」
「さ、食べて。試験、頑張ってきなさい」
「おう!」
-----
ギルド本部。
朝の光が、石造りの建物を照らし出している。
入口には、試験を受ける冒険者たちが集まっていた。みんな、緊張した面持ちだ。
「よし……」
アキラが深呼吸する。
「頑張れよ、アキラ」
ガルドが肩を叩く。
「筆記はともかく、実技は完璧だ」
「筆記はともかく、って……」
「ガハハ! 冗談だ」
「冗談になってない!」
エリンが駆け寄ってくる。
「アキラさん、頑張ってください!」
「ありがとう、エリン」
セレスティアも微笑んだ。
「応援していますわ、アキラさん」
「みんな……ありがとな」
アキラが笑顔を見せる。
その時、ギルドの扉が開いた。
ギルドマスターが現れ、厳粛な表情で受験者たちを見渡す。
「これより、Aランク昇格試験を開始する。受験者は、試験会場へ」
-----
試験会場――ギルド本部の大広間。
長机が整然と並べられ、その上には問題用紙が伏せて置かれている。
受験者たちが、それぞれの席に着く。
アキラも、指定された席に座った。
心臓が、ドクドクと激しく打っている。
「では――」
ギルドマスターが時計を見る。
「試験を開始する。制限時間は二時間だ」
カチッ。
砂時計がひっくり返される。
「始め」
一斉に、受験者たちが問題用紙をめくった。
アキラも、恐る恐る問題用紙を開く。
「うわ……」
最初に目に飛び込んできたのは、びっしりと書かれた文字。
全二十問。選択式十問、記述式十問。
「……よし」
アキラが鉛筆を握る。
第一問を読む。
**『ゴブリンの弱点について、最も適切なものを選べ』**
選択肢が四つ並んでいる。
(A)光 (B)音 (C)水 (D)火
「えっと……」
アキラが必死に思い出そうとする。
リーナの声が、脳裏に蘇った。
『ゴブリンの弱点は?』
『音よ』
「そうだ、音だ!」
アキラが(B)に丸をつける。
次の問題。
**『エルデガルド大陸北部にそびえる山脈の正式名称を答えよ』**
「これは……」
ガルドの声が聞こえる。
『正式名称は「エルデガルド北部山脈」だ』
「よし!」
アキラが解答欄に書き込む。
一問、また一問と、必死に思い出しながら解いていく。
第五問――薬学の問題。
**『この薬草の効果として正しいものを選べ』**
図が描かれている。ギザギザの葉を持つ、緑色の草。
「これは……」
エリンの優しい声が聞こえる。
『この薬草は、毒消しの効果があります』
「毒消し……!」
アキラが選択肢から(C)毒消しを選ぶ。
第十問――魔法学。
**『属性の相性について、正しい組み合わせを選べ』**
「炎は……氷に弱い……」
セレスティアの声が蘇る。
『炎は氷に弱く、氷は雷に弱く、雷は土に弱く……』
「よし、わかった!」
アキラが解答していく。
選択式十問を終え、次は記述式。
ここからが本番だ。
第十一問。
**『オーガの生態について、詳しく説明せよ』**
「オーガは……再生能力が高く……」
リーナの説明を思い出しながら、一文字一文字、丁寧に書いていく。
汗が、額に浮かんでくる。
時間が、刻々と過ぎていく。
砂時計の砂が、少しずつ落ちていく。
「くっ……」
アキラが必死にペンを走らせる。
そして、最後の問題。
第二十問――記述式の最難関。
**『Aランク冒険者としての心構えについて、あなたの考えを述べよ』**
「心構え……」
アキラがペンを止める。
これは、知識じゃない。
自分の言葉で答えなければならない。
「俺が……Aランク冒険者として……」
彼は、目を閉じる。
これまでの冒険を思い出す。
リーナと出会った日。
ガルドやエリンと仲間になった日。
セレスティアを助けた日。
困っている人たちを助けた日々。
「……そうだ」
アキラが目を開ける。
そして、ペンを走らせ始めた。
**『俺が思うAランク冒険者の心構え――それは、仲間を守り、困っている人を助けること。強さだけじゃない。誰かのために戦える勇気。それが、本当の冒険者だと思う。俺は、そんな冒険者になりたい』**
書き終えた瞬間――
「そこまで!」
ギルドマスターの声が響く。
「筆記試験、終了だ」
試験官たちが、問題用紙を回収していく。
アキラは、椅子にもたれかかった。
「はあ……終わった……」
全身から、力が抜けていく。
-----
試験会場の外。
「お疲れ様!」
リーナたちが駆け寄ってくる。
「どうだった?」
「うう……わかんない……」
アキラがぐったりする。
「でも、全部埋めた……」
「それだけで十分よ」
リーナが笑う。
「さ、お昼食べましょ。午後は実技試験でしょ?」
「ああ……」
アキラが立ち上がる。
「よし、気合入れ直すか!」
-----
午後。
実技試験場――ギルドの訓練場。
広い石畳の空間に、一人の男が立っていた。
「俺が試験官を務める。名はバルトロメオ」
渋い顔つきの中年男性。Aランクの冒険者で、実力は折り紙つきだ。
「模擬戦闘を行う。私を倒してみろ」
「わかりました」
アキラが木剣を抜く。
バルトロメオが大剣を構える。
「では――始め!」
ギルドマスターの合図と共に、バルトロメオが動いた。
速い。
大剣を振るい、アキラに斬りかかる。
「おっと!」
アキラが身をかわす。
風を切る音が、耳をかすめる。
「ほう……避けたか」
バルトロメオが目を細める。
「だが、これはどうだ!」
連続攻撃。
大剣が、何度もアキラを襲う。
だが――
「遅いな」
アキラが全ての攻撃を避けきる。
ステータス515,000。
その速さは、常人の比ではない。
「な……!」
バルトロメオが驚愕する。
「じゃあ、こっちの番!」
アキラが踏み込む。
木剣を振るう――
ドゴォンッ!
「ぐっ!」
バルトロメオが大剣で受け止めるが、その衝撃で後ろに吹き飛ばされる。
そして――
パキィンッ!
「あっ」
木剣が真っ二つに折れた。
「……また折れた」
ギャラリーから、笑い声が聞こえる。
「アキラ、相変わらずね……」
リーナが呆れている。
「うるさい!」
アキラが新しい木剣を取り出す。
「まだまだ!」
再び突っ込む。
木剣を振るう――
バキッ!
また折れる。
「くっ!」
さらに新しい木剣。
バルトロメオは、もはや防戦一方だった。
「こ、この強さ……!」
彼が歯を食いしばる。
「化け物か……!」
だが、アキラの攻撃は容赦ない。
次々と木剣を使って攻撃していく。
一本、また一本と、木剣が折れていく。
「うおおおお!」
最後の一撃。
木剣がバルトロメオの大剣を弾き飛ばした。
ガランッ。
大剣が地面に落ちる。
「……参った」
バルトロメオが両手を上げた。
「認めよう。お前の勝ちだ」
「ありがとうございました!」
アキラが一礼する。
ギャラリーから、拍手が起こった。
「すげえ……」
「あれがアキラ……」
「噂通りの強さだ……」
リーナたちも、誇らしげに笑っている。
-----
夕方。
合否発表の時間。
受験者たちが、緊張した面持ちでギルドマスターの前に並んでいる。
「これより、結果を発表する」
ギルドマスターが名簿を手に取る。
「アキラ」
「は、はい!」
アキラが緊張で声を震わせる。
「筆記試験……60点」
「ぎ、ギリギリ!?」
「合格ラインは60点だ。よくやった」
「やった……!」
アキラがガッツポーズする。
「実技試験……満点」
「おお!」
「総合評価――合格。Aランクへの昇格を認める」
「やったあああああ!」
アキラが飛び上がる。
リーナたちが駆け寄ってくる。
「おめでとう、アキラ!」
「やったな!」
「おめでとうございます!」
「素晴らしいですわ!」
みんなが笑顔で祝福してくれる。
ギルドマスターが、新しいギルドカードを手渡した。
「これが、お前のAランクカードだ」
「ありがとうございます!」
アキラが両手で受け取る。
カードには、『Aランク冒険者 アキラ』と刻まれていた。
「やった……俺、Aランクだ……!」
涙が、溢れそうになる。
「ありがとう、みんな……!」
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その夜。
王都の酒場では、盛大な祝賀会が開かれていた。
「乾杯!」
ジョッキが打ち鳴らされ、酒が注がれる。
「ガハハ! よくやったぞ、アキラ!」
ガルドが豪快に笑う。
「筆記60点ギリギリだけどな」
リーナがニヤニヤする。
「それ言うなよ!」
「でも、合格は合格よ」
「おめでとうございます、アキラさん!」
エリンが嬉しそうに笑う。
「本当に、素晴らしい功績ですわ」
セレスティアも微笑む。
「ありがとう、みんな」
アキラが笑顔で答える。
「みんながいたから、合格できた」
「これからも、一緒に頑張りましょうね」
リーナが優しく言った。
「ああ!」
アキラが頷く。
「次は……第四の試練だ」
「エンシェントドラゴン……」
ガルドが真剣な表情になる。
「ああ。でも――」
アキラが拳を握る。
「みんながいれば、絶対に勝てる!」
「その意気よ」
リーナが笑う。
五人のグラスが、再び打ち鳴らされた。
「乾杯!」
夜は更け、宴は続く。
だが、彼らはまだ知らない。
第四の試練が、想像を絶する困難であることを。
そして――
運命の歯車が、静かに回り始めていることを。
-----
## 次回予告
Aランク昇格を果たしたアキラ! だが、休む間もなく、クロウから第四の試練の場所が告げられる! 伝説の龍・エンシェントドラゴンが棲む、灼熱の火山へ――!




