第60話『脱出作戦』
前回のあらすじ
地下牢でシャドウウルフと激闘を繰り広げたリーナたち。絶体絶命のピンチに、アキラとガルドが駆けつけて何とか勝利! セレスティアの家族を無事救出することに成功するが、地下牢にはまだ多くの囚人たちが――。全員を連れての脱出作戦が、今始まる!
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地下牢の空気が、重く澱んでいた。
松明の炎が揺れ、その光が無数の檻を照らし出している。中には、絶望的な表情を浮かべた人々が囚われていた。老人、若者、子供――様々な年齢、様々な境遇の人々が。
「こんなに……」
エリンが息を呑む。
ざっと数えて、三十人以上はいるだろう。
「全員、助けるぞ」
アキラが力強く言った。
「でも、どうやって……」
セレスティアが不安そうに呟く。
「この人数を連れて、組織の拠点から脱出するなんて……」
「確かに、簡単じゃないわね」
リーナが地図を取り出して確認する。
「正面玄関は当然警戒されてる。裏口も、もう気づかれてるはず……」
「じゃあ、どうすんの?」
アキラが首を傾げる。
ガルドが顎に手を当てて考え込んだ。
「……窓から出るか?」
「ここ、地下だぞ」
「あ、そうだった」
一瞬の沈黙。
「いやいやいや、ガルド、お前らしくないだろ!」
アキラがツッコむ。
「うるさい! 疲れてるんだ!」
「まあまあ」
リーナが二人を制する。
「とにかく、何か方法を……」
その時、セレスティアの父親が口を開いた。
「あの……一つ、方法があるかもしれません」
「え?」
全員が振り返る。
父親――名をエドワードという――が立ち上がった。
「この城には、古い地下水路があるんです。かつて、水を引くために使われていた……」
「地下水路……?」
「ええ。今はもう使われていませんが、城の外に続いているはずです」
リーナの目が輝いた。
「それよ! それを使えば!」
「でも……」
エドワードが眉をひそめる。
「水路の入口は、この地下牢の最奥部にあります。そこまで行くには……」
彼が指差す先には、奥へと続く薄暗い廊下があった。
「組織の戦闘員が、何人も詰めているでしょう……」
「なら、突破するだけだ」
ガルドが大剣を肩に担ぐ。
「俺とアキラで道を切り開く」
「よっしゃ! 任せろ!」
アキラが木剣を抜く。
リーナが立ち上がる。
「私たちは、囚人の人たちを誘導するわ。エリン、セレスティア、手伝って」
「はい!」
「わかりましたわ!」
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檻の鍵を次々と開けていく。
「皆さん、大丈夫ですか!?」
エリンが優しく声をかけると、囚人たちが恐る恐る檻から出てくる。
「あなたたちは……?」
老人が震える声で尋ねる。
「冒険者です。皆さんを助けに来ました」
リーナが答える。
「た、助けに……?」
「本当なのか……?」
人々の目に、希望の光が灯り始める。
「ええ、本当です。さあ、皆さん、こちらへ!」
セレスティアが手招きする。
三十人以上の囚人たちが、ゆっくりと集まってきた。中には怪我をしている者、衰弱している者もいる。
「大丈夫、私が治癒魔法を」
エリンが杖を掲げ、柔らかな光を放つ。
「ヒール」
光が囚人たちを包み込み、傷が癒えていく。
「ありがとう……ありがとう……」
涙を流す人々。
アキラは、その光景を見て小さく笑った。
「よし、じゃあ行くぞ!」
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廊下の奥へと進む。
アキラとガルドが先頭を歩き、その後ろに囚人たち、最後尾をリーナたちが固める。
松明の光だけが頼りの薄暗い廊下。足音が、不気味に反響する。
「静かだな……」
ガルドが呟く。
「逆に怖いんだけど」
アキラが周囲を警戒する。
その時――
「そこまでだ!」
前方から声が響いた。
廊下の先に、十人以上の黒服の戦闘員が立ちはだかっている。
「やっぱり来たか」
ガルドが大剣を構える。
「囚人たちを逃がすわけにはいかん! 全員捕らえろ!」
戦闘員たちが一斉に襲いかかってくる。
「させるか!」
アキラが飛び出す。
木剣を振るい、一人目を吹き飛ばす――
バキッ!
「あっ」
木剣が折れた。
「早い!」
「うるさい!」
アキラが新しい木剣を取り出し、二人目、三人目と次々に薙ぎ払っていく。
ガルドも大剣を振るい、敵を斬り伏せていく。
「ぐああっ!」
戦闘員たちが次々と倒れていくが――
「まだ来る!」
廊下の奥から、さらに増援が現れた。
「きりがないな!」
ガルドが舌打ちする。
「リーナ! 囚人たちを先に!」
「わかった!」
リーナが囚人たちを急かす。
「早く、先へ!」
人々が走り出す。だが、怪我をしている者、老人、子供――動きは遅い。
「くっ……」
アキラが歯噛みする。
このままでは、追いつかれる――
その時、
「アキラさん!」
エリンが叫んだ。
「私に任せて!」
「え?」
エリンが杖を高く掲げる。
「光よ、道を照らせ――ライトバリア!」
杖の先端から眩い光が放たれ、廊下全体を照らし出した。あまりの眩しさに、戦闘員たちが目を覆う。
「ぐっ……目が!」
「今です!」
「ナイス、エリン!」
アキラが笑う。
その隙に、全員が廊下を駆け抜ける。
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さらに奥へ。
「見えた!」
エドワードが指差す先に、古びた鉄格子の扉があった。
「あれが、水路への入口です!」
「よし!」
アキラが駆け寄る。
だが、扉には巨大な錠前がかかっていた。
「開かない……!」
「どうする!?」
ガルドが焦る。
その時、リーナが前に出た。
「私に任せて」
杖を扉に向ける。
「アイスランス!」
氷の槍が錠前に突き刺さり――
パリンッ!
錠前が砕け散った。
「よっしゃ!」
アキラが扉を押し開ける。
ギィィィ……
古びた扉が、重い音を立てて開いていく。
その先には、暗い水路が口を開けていた。水の流れる音が、かすかに聞こえる。
「ここを通れば……外に……」
セレスティアが呟く。
「さあ、皆さん、早く!」
エリンが囚人たちを誘導する。
人々が次々と水路へと入っていく。
だが――
「逃がすか!」
背後から、戦闘員たちの声が響いた。
「まずい!」
ガルドが振り返る。
廊下の向こうから、大量の戦闘員が押し寄せてくる。その数、二十人以上。
「多すぎる……!」
「アキラ、ガルド! 時間を稼いで!」
リーナが叫ぶ。
「わかった!」
二人が廊下に踏みとどまる。
「お前ら、先に行け!」
ガルドが叫ぶ。
「でも……!」
「いいから! 俺たちは後から行く!」
アキラが笑顔を見せた。
「大丈夫、なんとかなるって!」
「……わかったわ」
リーナが最後の囚人たちを水路へと送り込む。
「絶対に、追いついてきなさいよ」
「おう!」
リーナたちが水路へと消えていく。
残されたのは、アキラとガルドだけ。
「さて……」
ガルドが大剣を構える。
「派手にやるか」
「おう!」
アキラが木剣を構えた。
二十人以上の戦闘員が、一斉に襲いかかってくる。
「うおおおおお!」
アキラが突っ込む。
木剣を振るい、一人、また一人と吹き飛ばしていく。
――折れる。
新しい木剣を抜く。
――また折れる。
さらに新しい木剣。
「どんだけ折れるんだよ!」
「自分でツッコむな!」
ガルドが隣で敵を斬り伏せながら叫ぶ。
だが、敵の数は減らない。
次から次へと、増援が現れる。
「きりがねえ……!」
アキラが息を切らす。
「アキラ、そろそろ撤退だ!」
「わかった!」
二人が水路へと飛び込む。
「追え!」
戦闘員たちも後を追おうとした――が、
「させない!」
アキラが最後の力を振り絞り、水路の入口の天井を木剣で叩いた。
ゴゴゴゴゴ……
天井が崩れ始める。
「やべっ!」
アキラが慌てて奥へと走る。
ガラガラガラ……!
入口が瓦礫で塞がれた。
「ふう……間に合った……」
アキラがその場に座り込む。
「お前、無茶しすぎだ……」
ガルドも息を切らしながら笑った。
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水路を進むこと数分。
前方に光が見えてきた。
「外だ!」
囚人たちの歓声が上がる。
水路の出口から、外の景色が見える。雪が降り積もる山脈の風景。
「やった……!」
セレスティアが涙を流す。
「本当に……脱出できた……」
人々が次々と外へと出ていく。
冷たい空気が肺を満たすが、それは自由の空気だった。
「みんな、無事か!?」
アキラとガルドが最後に出てくる。
「アキラ!」
リーナが駆け寄る。
「無事だったのね……!」
「おう、なんとかな」
アキラがケラケラ笑う。
囚人たちが、深々と頭を下げた。
「ありがとうございました……」
「本当に……命の恩人です……」
涙を流す人々。
アキラは照れくさそうに頭を掻いた。
「いやいや、気にすんなって」
セレスティアが家族と抱き合っている。
「良かった……本当に良かった……」
その光景を見て、アキラは満足そうに笑った。
「よし、じゃあ帰るか!」
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だが、その時――
「よくやったな、逆転者」
低い声が、響いた。
全員が振り返る。
そこには――
黒いコートを纏った男が立っていた。金色の髪、鋭い眼光。その存在感は、圧倒的だった。
「誰……!?」
リーナが警戒する。
男は、冷たく笑った。
「俺の名はゼクス。影の組織の――」
彼がそこで言葉を切る。
「まあ、肩書きはどうでもいい」
ゼクスがゆっくりと歩み寄ってくる。
「お前たちには、いい働きをしてもらった。囚人たちを逃がすとは……なかなかやるじゃないか」
「何が言いたい……」
ガルドが大剣を構える。
「だが」
ゼクスの目が、冷徹に光った。
「ここまでだ」
次の瞬間――
世界が、止まった。
「え……?」
アキラの動きが、止まる。
リーナも、ガルドも、エリンも、セレスティアも――全員の動きが、完全に停止した。
時間が、止まっている。
ゼクスだけが、その静止した世界の中で動いていた。
「時間停止……便利な能力だろう?」
彼がアキラの前に立つ。
「お前が逆転者か。面白い……だが、まだまだ弱い」
ゼクスが手を伸ばし、アキラの額に触れる。
「もっと強くなれ。そして、マイナスレベルに到達しろ。その時――」
彼が不敵に笑う。
「俺が、お前の全てを奪ってやる」
そして、時間が動き出した。
「――!」
アキラが息を呑む。
だが、目の前には誰もいなかった。
ゼクスの姿は、消えていた。
「な、何だ……今の……」
アキラが震える声で呟く。
「アキラ、どうしたの?」
リーナが心配そうに尋ねる。
「いや……何でもない……」
だが、アキラの背中には、冷たい汗が流れていた。
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## 次回予告
囚人たちの救出に成功したアキラたち。だが、現れたゼクスの圧倒的な力に、アキラは恐怖を覚える。これから、どんな運命が待ち受けているのか――!?
**次回、第61話『仲間との絆』お楽しみに!**
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## アキラの現在ステータス
- **レベル**: 515(-23)
- **全ステータス**: 515,000
- **ギルドランク**: Bランク
- **所持金**: 金貨167枚、銀貨15枚
- **木剣**: 97本(-10本)
- **仲間**: リーナ、ガルド、エリン、セレスティア




