第48話『ユイの過去』
前回のあらすじ
再び現れたユイは、Aランクモンスター3体と交戦。攻撃を受けるたびに強化され、圧倒的な力でモンスターを殲滅した。これが本物のマイナスレベルの力――「この力は素晴らしい…でも、孤独よ」。そう言い残し、ユイは再び森の奥へと消えていった――
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ユイが消えてから、俺たちは30分ほど歩いていた。
「…………なあ、リーナ」
「何?」
「ユイって、どうしてあんなに孤独そうなんだろうな」
俺が呟く。
「さあ…………でも、マイナスレベルの力を持ってるって、きっと大変なのよ」
「大変…………か」
「ええ。あれだけの力があれば、周りから恐れられるでしょうし…………」
リーナが悲しそうに言う。
「でも、ユイは『無理やりマイナスレベルにされた』って言ってたよな」
「ええ。それも気になるわね」
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その時――
「…………また、いたの」
背後から声がした。
「うわあ!?」
俺が振り返ると、そこにはユイが立っていた。
「ユイ!? いつの間に!?」
「…………さっきから、ずっと後をついてきてた」
「え、マジで!?」
「ええ。あなたたち、私のことを話してたでしょ?」
ユイが無表情で言う。
「あ、ああ…………ごめん、盗み聞きするつもりは――」
「いいの」
ユイが手を振る。
「どうせ、みんな私のことを怖がる。話題にされるのは慣れてる」
「怖がってないって! 俺たちは――」
「本当に?」
ユイが俺を見つめる。
「…………じゃあ、聞かせて」
「え?」
「私の過去を」
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ユイがゆっくりと座り込む。
「私は…………3年前まで、普通の冒険者だった」
「普通の…………?」
「ええ。Cランクの冒険者。レベルは35くらいだったかしら」
ユイが空を見上げる。
「仲間もいた。4人パーティーで、毎日楽しく冒険してた」
「仲間…………」
エリンが呟く。
「そう。私には…………大切な仲間がいた」
ユイの目が少しだけ、温かくなる。
「リーダーは、明るくて前向きな男の子。魔法使いは、ツッコミ役の女の子。戦士は、頼れる兄貴分」
「…………それって、俺たちみたいだな」
俺が呟く。
「ええ。だから…………あなたたちを見てると、昔を思い出す」
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ユイが立ち上がる。
「でも、ある日…………全てが変わった」
「ある日…………?」
「ええ。私たちは、いつものように依頼を受けて、森に行った」
ユイが森の奥を見つめる。
「Bランクのモンスター討伐依頼。いつもより少し難しいけど、4人なら大丈夫だと思ってた」
「でも…………」
「でも、違った」
ユイの声が震える。
「それは…………罠だった」
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「罠…………?」
リーナが尋ねる。
「ええ。依頼書は偽物。私たちを誘い出すための罠」
ユイが拳を握る。
「森の奥で、私たちを待っていたのは…………影の組織」
「影の組織!?」
俺が叫ぶ。
「そう。黒いローブを着た人たちが、突然現れた」
ユイが震えながら言う。
「私たちは必死に戦った。でも…………相手は強すぎた」
「それで…………」
「仲間が…………一人、また一人と倒されていった」
ユイの目から、涙が一筋流れる。
「私は…………何もできなかった。ただ見ているだけで…………」
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「そして…………私だけが、生き残った」
ユイが俯く。
「影の組織の人が言った。『この子は適性がある。連れて行け』って」
「適性…………?」
「ええ。逆転者になる適性」
ユイが俺を見つめる。
「影の組織は…………逆転者を人工的に作ろうとしてる」
「人工的に…………!?」
リーナが驚く。
「そう。彼らは、逆転者の力を研究してる」
ユイが続ける。
「そして、冒険者を拉致して…………無理やり逆転者にしようとしてる」
「そんな…………」
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「私は、組織のアジトに連れて行かれた」
ユイが淡々と語る。
「そこで、実験が始まった」
「実験…………」
「ええ。彼らは、私を何度も何度も戦わせた」
ユイが震える。
「レベルを下げるために。レベル0になるまで」
「レベル0に…………」
「そう。そして、ついに私はレベル0になった」
ユイが拳を握る。
「でも、彼らは止めなかった」
「え…………」
「さらに経験値を与え続けた。レベル0を超えて…………マイナスレベルへ」
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「マイナスレベルになった瞬間…………世界が変わった」
ユイが空を見上げる。
「攻撃を受けると強くなる。ダメージが回復になる。時間を巻き戻せる」
「それが…………マイナスレベルの力」
「ええ。最初は…………嬉しかった」
ユイが微かに笑う。
「こんなに強くなれるなんて。仲間の仇を討てるって」
「でも…………」
「でも、違った」
ユイの笑顔が消える。
「力を使うたびに…………心が壊れていく感覚があった」
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「心が…………壊れる?」
俺が尋ねる。
「ええ。マイナスレベルは…………人を変える」
ユイが俯く。
「最初は、仲間を思い出してた。でも、だんだん…………何も感じなくなっていった」
「何も…………」
「喜びも、悲しみも、怒りも…………全部、薄れていった」
ユイが涙を流す。
「今の私は…………もう、昔の私じゃない」
「ユイ…………」
エリンが泣きそうになる。
「私は…………感情が薄れて、心が冷たくなって…………孤独になった」
ユイが俺を見つめる。
「だから、言ったでしょ? マイナスレベルは孤独だって」
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「でも…………!」
俺が叫ぶ。
「それは、ユイが無理やりマイナスレベルにされたからだろ!?」
「え…………」
「俺は違う! 自分の意志で、マイナスレベルを目指す!」
俺が拳を握る。
「だから、ユイみたいにはならない!」
「本当に…………そう思う?」
ユイが悲しそうに微笑む。
「マイナスレベルになれば…………きっとあなたも、心が壊れる」
「壊れない!」
俺が強く言う。
「だって、俺には仲間がいるから!」
「仲間…………」
「そうだ! リーナも、ガルドも、エリンも! みんな一緒にいてくれる!」
俺がみんなを見る。
「当たり前でしょ」
リーナが微笑む。
「お前は一人じゃない、相棒」
ガルドが頷く。
「アキラさん、信じてます」
エリンが笑顔を見せる。
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「…………そう」
ユイが涙を流す。
「羨ましいわ…………あなたには、仲間がいる」
「ユイも――」
「私には、もういない」
ユイが俯く。
「仲間は…………もう、いない」
「…………」
俺は何も言えなかった。
「だから、私は孤独。誰も信じられない」
ユイがゆっくりと立ち上がる。
「でも、あなたは違う。あなたには仲間がいる」
「ユイ…………」
「だから…………お願い」
ユイが俺を見つめる。
「私みたいにならないで」
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「ユイ、待ってくれ!」
俺が叫ぶ。
「俺たちが、ユイの仲間になる!」
「え…………」
ユイが驚く。
「だから、一人じゃないって! ユイも俺たちの仲間だ!」
「でも…………私は――」
「関係ない! ユイは悪くない! 悪いのは影の組織だ!」
俺が強く言う。
「アキラ…………」
ユイが涙を流す。
「ありがとう…………でも、ダメ」
「何で!?」
「私が一緒にいると…………あなたたちが狙われる」
ユイが悲しそうに笑う。
「影の組織は…………まだ私を追ってる」
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「追ってる…………?」
リーナが尋ねる。
「ええ。私は…………実験体No.7」
ユイが呟く。
「組織にとって、私は貴重なサンプル」
「サンプル…………」
「そう。だから、いつか必ず迎えに来る」
ユイが空を見上げる。
「そして、その時…………あなたたちが巻き込まれる」
「巻き込まれても――」
「ダメ」
ユイが強く言う。
「私は…………もう、大切な人を失いたくない」
「ユイ…………」
「だから…………さようなら」
ユイがそう言い、再び森の奥へと消えていく。
「待って! ユイ!」
俺が追いかけようとするが――
ユイの姿は、もう見えなかった。
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「…………行っちゃった」
エリンが呟く。
「ええ…………」
リーナが悲しそうに言う。
「影の組織…………許せねえな」
ガルドが拳を握る。
「ああ…………ユイを、あんな目に遭わせるなんて」
俺も拳を握る。
「でも、ユイは言ってた。『いつか必ず迎えに来る』って」
リーナが考え込む。
「ってことは…………」
「ああ。また会える可能性がある」
俺が頷く。
「その時は…………絶対に助ける」
「そうね。でも、今の私たちじゃ…………まだ力不足ね」
リーナが悔しそうに言う。
「だったら、強くなるしかないな」
ガルドが大剣を構え直す。
「ああ! 強くなって、ユイを助ける!」
俺が叫ぶ。
「そして、影の組織を倒す!」
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「でも、アキラ」
リーナが真剣な顔で言う。
「ユイの話を聞いて…………まだマイナスレベルを目指すの?」
「…………ああ」
俺は即答する。
「だって、ユイは無理やりマイナスレベルにされたんだろ?」
「ええ」
「俺は違う。自分の意志で、マイナスレベルになる」
俺が拳を握る。
「だから、ユイみたいに心が壊れたりしない」
「…………本当に?」
「ああ。それに――」
俺がみんなを見る。
「お前たちがいるから」
「アキラ…………」
リーナが微笑む。
「そうだな。お前には俺たちがいる」
ガルドが肩を叩く。
「アキラさん、私たちがついてます」
エリンが笑顔を見せる。
「ありがとう、みんな」
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「さて、と。第三の試練に行くか」
俺が立ち上がる。
「ええ。でも、アキラ」
「ん?」
「ユイのこと…………忘れないでね」
リーナが言う。
「ああ。絶対に忘れない」
俺が頷く。
「そして、いつか必ず助ける」
「ええ」
「よっしゃ、行くぞ!」
「おーう!」
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俺たちは再び、魔物の森の最深部を目指して歩き出す。
ユイの過去を知って、俺の決意は固まった。
影の組織を倒す。
ユイを救う。
そして、マイナスレベルになっても…………心を失わない。
「絶対に、仲間と一緒に進む」
心の中で呟く。
「待ってろよ、ユイ。いつか必ず…………お前を救う」
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その時――
**ガサッ**
茂みが揺れる。
「ん? また魔物か?」
俺が構える。
しかし、茂みから現れたのは――
**黒いローブを着た人影**だった。
「…………影の組織!?」
リーナが叫ぶ。
「チッ、見つかったか」
黒いローブの男が舌打ちする。
「お前ら…………実験体No.7と接触したな」
「実験体No.7…………ユイのことか!」
俺が叫ぶ。
「ああ。あいつは我々の貴重なサンプルだ」
男が不敵に笑う。
「そして、お前も…………逆転者だな」
「何…………!?」
「フフフ…………これは好都合だ。二人まとめて回収できる」
男が指を鳴らす。
すると――
**ザッ、ザッ、ザッ**
周囲から、次々と黒いローブの人影が現れる。
「うわ、めっちゃいる!」
「10人…………いや、20人以上!?」
リーナが青ざめる。
「さあ、大人しく来てもらおうか」
男が不敵に笑う。
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**次回予告**
ユイの過去を知り、決意を新たにしたアキラたち。しかし、突然現れた影の組織に包囲される! 狙いはアキラとユイ――絶体絶命の危機が訪れる!
**次回、第49話『影の組織襲来』**
アキラたちは、この危機を乗り越えられるのか――!?
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## 【桜井アキラ・現在のステータス】
- **レベル**: 680
- **全ステータス**: 680,000
- **ギルドランク**: Bランク
- **所持金**: 金貨237枚、銀貨20枚
- **所持アイテム**:
- 謎の水晶(逆転者の証)
- セレスティアの祖父の日記(写し)
- 通信石
- 木剣×161本
- 制御の石板
- Bランクギルドカード
- 逆転者の紋章(第一の証)
- 逆転者の紋章(第二の証)
- 回復薬×20
- 解毒薬×10
- 食料(一週間分)




