第46話『魔物の森へ――第三の試練への道』
前回のあらすじ
第三の試練「運命の試練」を受けるため、魔物の森の最深部を目指すことになったアキラたち。出発前、ギルドで情報収集をしていると影の組織の構成員と遭遇。しかし相手はなぜか戦わず逃走。不穏な空気を感じながらも、アキラたちは魔物の森へと向かう――
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「うわあああ、木が多い!」
魔物の森に到着して早々、俺は叫んでいた。
「…………当たり前でしょ、森なんだから」
リーナが即座にツッコミを入れてくる。
「いやいや、でもさ! これ普通の森じゃないぞ! 木がめっちゃデカいし、なんか光ってる草とかあるし!」
「それが魔物の森の特徴よ。魔力が濃い場所だから、植物も普通じゃないの」
リーナが冷静に説明してくれる。
確かに、目の前に広がる森は普通じゃなかった。木々は高さ30メートル以上ありそうだし、青白く光る苔が地面を覆っている。空気も何となく重い感じがする。
「アキラさん、大丈夫ですか?」
エリンが心配そうに俺を見上げてくる。
「おう、大丈夫大丈夫! むしろワクワクしてきたぞ!」
「相変わらずだな、相棒」
ガルドが苦笑しながら大剣を構え直す。
「さて、と。第三の試練は魔物の森の最深部にあるらしいが…………どうやって行くんだ?」
「クロウさんが言ってたでしょ。森の奥に進んでいけば、試練の場所に自然と導かれるって」
リーナが地図を確認しながら言う。
「つまり、ひたすら奥に行けばいいってことか! 簡単じゃん!」
「簡単じゃないわよ! 魔物の森にはBランクやAランクの魔物がウヨウヨいるのよ!?」
「よっしゃ、レベル下がるチャンスだな!」
「だから、その考え方をやめなさいって何度言えば…………」
リーナが頭を抱える。
「まあまあ、リーナさん。アキラさんらしいじゃないですか」
エリンがクスクス笑いながらフォローしてくれる。
「らしいけど…………ああもう、とにかく行くわよ! みんな、警戒しながら進んで!」
「おーう!」
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森の中を30分ほど歩いただろうか。
予想通り、魔物がちょこちょこ現れた。
「ガルドさん、右からです!」
「おう!」
ガルドが大剣を振るい、Cランクの魔物・シャドウウルフを一刀両断する。
「エリン、左!」
「はい! 『炎よ、敵を焼き尽くせ――ファイアボール!』」
エリンの魔法が、襲い掛かってきたシャドウウルフを吹き飛ばす。
「よっしゃ、俺も――」
「アキラは待機! あなたが出ると木剣が折れて面倒なことになるから!」
「えええ!? 俺も戦いたいんだけど!」
「ダメ!」
リーナに即座に却下される。
くっ、確かに最近、木剣を折りすぎてる気がする。現在の所持数は161本。まだまだ余裕だけど、無駄遣いは良くないよな。
「ちぇー」
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さらに1時間ほど歩くと、森の雰囲気が変わってきた。
「…………なんか、空気が重くなってきたな」
ガルドが警戒しながら呟く。
「ええ。魔力の濃度が上がってる。おそらく、最深部に近づいてるわ」
リーナが杖を構えながら周囲を見渡す。
「ってことは、もうすぐ試練の場所か!」
「そうね。でも、その前に――」
リーナが何か言いかけた瞬間。
**ガアアアアアアアッ!!**
耳をつんざくような咆哮が森中に響き渡った。
「うわあああ!? なんだ今の!?」
「まずい…………これは――」
リーナの顔が青ざめる。
次の瞬間、目の前の茂みが爆発するように吹き飛び、巨大な影が現れた。
「――フェンリル!?」
リーナが叫ぶ。
目の前に現れたのは、全長5メートルはある巨大な狼だった。黒い毛並みに、赤く光る瞳。口からは鋭い牙が覗いている。
「**フェンリル(Aランク)**か…………厄介だな」
ガルドが大剣を構えながら汗を流す。
「Aランク!? マジで!?」
「ええ! Aランクの中でも上位の魔物よ! みんな、気を引き締めて――」
**ガアアアッ!!**
フェンリルが咆哮し、俺たちに向かって突進してくる。
「うわあ、速い!」
「エリン、下がれ! ガルド、頼む!」
「おう!」
ガルドが大剣を振り上げ、フェンリルの突進を受け止める。
**ガキィィィン!!**
金属音が響き、ガルドが後ろに数メートル吹き飛ばされる。
「ガルドさん!」
「大丈夫だ…………が、こいつ、かなり強いぞ!」
「リーナさん、魔法を!」
「分かってる! 『氷よ、敵を貫け――アイスランス!』」
リーナの氷の槍がフェンリルに向かって飛ぶ。
しかし、フェンリルは軽々と避け、さらに俺たちに迫ってくる。
「ちょ、マジで速い!」
「アキラさん、危ない!」
エリンが俺を押し倒し、フェンリルの爪が俺の頭上を掠める。
「うおお、危なかった! サンキュー、エリン!」
「いえ…………でも、これ、どうするんですか?」
「うーん、俺が戦えば倒せると思うけど――」
「ダメ! 木剣じゃAランクは無理よ!」
リーナが叫ぶ。
くそ、確かにそうだ。Aランクの魔物を木剣で倒すのは流石に厳しい。
「どうする…………逃げるか?」
「逃げられるかしら、この速さで!」
リーナが焦りながら叫ぶ。
フェンリルが再び咆哮し、今度はエリンに向かって飛びかかる。
「エリン!」
「きゃあ!」
まずい――
俺がエリンを庇おうと動いた瞬間。
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**シュッ**
何かが一瞬、視界を横切った。
次の瞬間――
**ドガァァァン!!**
フェンリルが地面に叩きつけられ、巨大なクレーターができる。
「え…………?」
俺たちは全員、呆然とその光景を見つめる。
フェンリルは…………動かない。
一撃で、倒された。
「な、何が…………?」
リーナが震える声で呟く。
そして、フェンリルの傍に、一人の少女が立っていた。
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少女は、15歳くらいだろうか。
長い黒髪に、白いワンピース。
そして、何より印象的だったのは――その虚ろな目だった。
少女はゆっくりと俺たちの方を向き、無表情でこう言った。
「…………邪魔だった」
「え、ええっと…………」
俺が何か言おうとした瞬間、リーナが俺の服を引っ張る。
「アキラ、あの子のステータス…………見て」
「え?」
俺は少女のステータスを確認する。
そして――
**――レベル:-50**
「…………え?」
俺の目を疑った。
マイナス…………レベル?
「まさか…………もう一人の、逆転者…………?」
リーナが震える声で呟く。
少女は無表情のまま、こちらを見つめる。
「…………私はユイ。あなたたちは、邪魔」
「え、ちょ、待って! 俺たち別に――」
「…………消えて」
ユイがそう言った瞬間、俺の体が浮き上がった。
「うわああ!?」
「アキラ!」
リーナたちが叫ぶ。
俺は数メートル吹き飛ばされ、木に激突する。
「いてて…………マジか、今の」
「アキラさん、大丈夫ですか!?」
エリンが駆け寄ってくる。
「ああ、大丈夫――」
俺が立ち上がろうとした瞬間、ユイが目の前に現れた。
「速っ!?」
「…………あなたも、逆転者」
ユイが俺を見つめる。
「え、あ、ああ…………そうだけど――」
「…………ふふ」
ユイが初めて、微かに笑った。
でも、その笑顔は――どこか悲しそうで、虚ろだった。
「…………私はもう、あなたと同じ側じゃない」
「え?」
「…………さようなら」
ユイがそう言い、森の奥へと消えていく。
「あ、待って――」
俺が追いかけようとするが、リーナが止める。
「待って、アキラ! あの子、危険よ!」
「でも…………」
「レベル-50…………マイナスレベルなのよ? しかも、あの力…………」
リーナが震えながら呟く。
俺は、ユイが消えた方向を見つめる。
「…………もう一人の、逆転者」
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その後、俺たちは一旦、森の入口近くまで戻り、休憩することにした。
「いやー、まさか本当にマイナスレベルの人がいるとは思わなかったな」
「ええ…………信じられない。しかも、あの力…………」
リーナが青い顔で呟く。
「一瞬でAランクのフェンリルを倒したぞ。あれは尋常じゃない」
ガルドも深刻な顔をしている。
「でも、あの子…………なんか悲しそうだったな」
「悲しそう…………?」
リーナが俺を見る。
「ああ。目が虚ろで、笑顔も悲しそうで…………何かあったんじゃないかな」
「…………そうね。確かに、普通の冒険者には見えなかった」
リーナが腕を組む。
「ユイ、か…………覚えておこう」
ガルドが呟く。
「ところで、第三の試練はどうする?」
エリンが尋ねる。
「そうだな…………まだ諦めるわけにはいかない。行くぞ」
「ええ。でも、今度はもっと警戒しましょう。ユイがまた現れるかもしれないし、他にも強い魔物がいるかもしれない」
「了解!」
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俺たちは再び、魔物の森の最深部を目指して歩き出す。
ユイ――もう一人の逆転者。
マイナスレベル-50。
あの力は、一体何なんだろう。
そして、「もう同じ側じゃない」って、どういう意味だ?
「…………気になるな」
俺は心の中で呟く。
でも、今は第三の試練に集中しないと。
俺たちは、未知なる試練へと向かって、魔物の森の奥深くへと進んでいく――
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**次回予告**
もう一人の逆転者・ユイとの出会いに衝撃を受けるアキラたち。だが、第三の試練はすぐそこまで迫っていた。魔物の森の最深部で、アキラを待ち受けるものとは――?
次回、第47話『マイナスレベルの力』
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【桜井アキラ・現在のステータス】
- **レベル**: 680
- **全ステータス**: 680,000
- **ギルドランク**: Bランク
- **所持金**: 金貨237枚、銀貨20枚
- **所持アイテム**:
- 謎の水晶(逆転者の証)
- セレスティアの祖父の日記(写し)
- 通信石
- 木剣×161本
- 制御の石板
- Bランクギルドカード
- 逆転者の紋章(第一の証)
- 逆転者の紋章(第二の証)
- 回復薬×20
- 解毒薬×10
- 食料(一週間分)




