第43話『誤解と葛藤――伝わらない本当の気持ち』
前回のあらすじ
南の遺跡でクロウと再会したアキラたち。第二の試練「心の試練」が始まり、アキラだけが感情逆転の影響を受けることに。嬉しい気持ちが冷たい言葉に、感謝が文句に、心配が無関心な態度に変わってしまう。仲間を傷つける言葉を次々と口にしてしまい、アキラは苦悩する。本当の気持ちが伝わらない中、彼らは遺跡の最深部へと向かっていた――。
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遺跡の奥へと進む俺たちの足取りは、どこか重かった。
「……」
誰も口を開かない。
いや、正確には――俺が何か言うたびに、空気が悪くなるから、みんな黙っているんだ。
(くそ……)
俺は拳を握りしめた。
「前方、開けた場所に出るぞ」
ガルドが先頭で言う。
「わかった」
俺は短く答えた。
(これ以上、余計なこと言わないようにしないと……)
広い部屋に出ると、中央に大きな石碑があった。
「これは……」
リーナが石碑に近づく。
「古代語ね……読めるかしら」
リーナが石碑を調べ始める。
「何て書いてあるんだ?」
俺が尋ねると――
リーナは一瞬、俺を見て、それから石碑に目を戻した。
「……『心を偽る者は、真実を見ることができない』……だそうよ」
「心を偽る……」
「試練のヒントかもしれないわね」
リーナが淡々と答える。
(あれ……いつもならもっと詳しく説明してくれるのに……)
「リーナ?」
「何?」
「いや……その……」
(大丈夫か?って聞きたいのに……)
だが、口を開けば逆の言葉が出る。
だから、俺は黙った。
「……何でもない」
「そう」
リーナは冷たく答えて、先へ進んでいった。
「リーナ……」
その時、エリンが俺の横を通り過ぎた。
「エリン」
「……はい」
エリンが立ち止まる。
だが、俺を見ない。
「あの……その……」
(ごめん、って言いたい。さっきのこと、本当は心配してたんだって伝えたい)
だが――
「お前、もっとしっかりしろよ」
と口が勝手に動いた。
「……はい」
エリンが小さく答えて、去っていった。
「くそ……」
俺は壁を殴りつけた。
「相棒」
ガルドが声をかけてくる。
「……何ですか」
「無理すんな。お前だって辛いだろ」
「……」
(ありがとう、ガルドさん。わかってくれて嬉しい)
だが――
「別に辛くない。一人でも平気だし」
と言ってしまった。
「……そうか」
ガルドが寂しそうに笑う。
「なら、好きにしろ」
そう言って、ガルドも先へ行ってしまった。
「待って……」
俺は手を伸ばした。
だが、届かない。
「くそ……くそ……」
一人取り残された俺は、膝をついた。
「何でだよ……何で俺だけ……」
涙が溢れそうになる。
「本当の気持ちが……伝わらない……」
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しばらくして、俺は立ち上がった。
(泣いてる場合じゃない。試練を乗り越えないと)
仲間たちのいる場所へ向かう。
みんなは次の部屋で休憩していた。
「……」
俺が近づくと、微妙な空気が流れる。
「アキラ」
リーナが口を開いた。
「何?」
「あなた……変わったわね」
「え?」
「前のアキラは、こんなこと言わなかった」
リーナが真剣な顔で言う。
「違う、リーナ。俺は――」
「もういいわ。わかってる。感情が逆転してるんでしょ」
「だったら……」
「でもね、あなたの言葉は、やっぱり傷つくのよ」
リーナが俯く。
「リーナ……」
「逆転してるってわかってても、『使えない』とか『邪魔』とか言われたら……やっぱり悲しいわ」
「ごめん……」
(心から謝りたい。本当にごめん)
だが――
「別に謝ることないけど」
と冷たく言ってしまった。
「……そう」
リーナが顔を上げる。
その目には、諦めのようなものが見えた。
「やっぱり、あなた変わったわ」
「違う!俺は――」
その時――
ゴゴゴゴゴ……
部屋全体が揺れ始めた。
「な、何!?」
「敵よ!」
リーナが叫ぶ。
バシュバシュバシュ!
大量のシャドウウォリアーが出現した。
「うわ、10体以上!?」
「みんな、戦うわよ!」
リーナが魔法を構える。
「【ファイアボール】!」
「【ウィンドカッター】!」
エリンも魔法を放つ。
「俺も行く!」
ガルドが剣を振るう。
「俺も――」
その時、シャドウウォリアーが俺に襲いかかってきた。
「くそ!」
俺はパンチで応戦する。
ドカドカドカ!
「よし、倒した!」
【シャドウウォリアー(Cランク)を撃破しました】
【レベルが4下がりました】
【レベル705→701】
だが――
「アキラ、左!」
リーナが叫ぶ。
左を見ると、別のシャドウウォリアーが迫っていた。
「うわっ!」
ドゴッ!
攻撃を受けて吹っ飛ばされる。
「アキラ!」
エリンが駆け寄ろうとする。
「エリン、危ない!」
ガルドが叫ぶ。
エリンの背後に、シャドウウォリアーが迫っていた。
「エリン!」
俺は慌てて立ち上がった。
(エリン、逃げろ!危ない!)
だが、口から出たのは――
「エリン、別にどうでもいいか」
「え……?」
エリンが振り返る。
その目には、信じられないという表情。
「アキラさん……私のこと……」
「エリン、後ろ!」
ガルドが叫ぶ。
シャドウウォリアーの攻撃が、エリンに向かって――
「させるか!」
俺は全力で走った。
そして――
エリンを突き飛ばして、代わりに攻撃を受けた。
ドゴォン!
「ぐっ……!」
俺は地面に叩きつけられた。
「アキラさん!」
エリンが泣きながら駆け寄る。
「な、何で……さっき『どうでもいい』って……」
「……バカ」
俺は笑った。
「言葉は……逆になるけど……」
「アキラさん……」
「体は……嘘つかない……」
そう言って、俺は立ち上がった。
「俺は……お前らのこと……」
(大切に思ってる、って言いたい)
だが――
「どうでもいいと思ってる」
と言ってしまった。
だが――
「でも、体は正直だから」
そう付け加えた。
「……ありがとうございます」
エリンが涙を拭う。
「よし、反撃だ!」
俺はシャドウウォリアーに向かった。
「くらえ!」
ドゴォン!
【シャドウウォリアー(Cランク)を撃破しました】
【レベルが4下がりました】
【レベル701→697】
「よっしゃ!」
「アキラ!」
リーナが魔法を放つ。
「【ファイアストーム】!」
複数のシャドウウォリアーが焼き払われる。
「ガルドさんも!」
「おう!」
ガルドが剣を振るう。
俺たちの連携で、シャドウウォリアーたちを倒していく。
だが――
バシュバシュバシュ!
さらに敵が増えた。
「まだ来るのかよ!」
「アキラ、右に3体!」
リーナが叫ぶ。
「わかった!」
俺は右に向かった。
その時――
リーナがモンスターに囲まれているのが見えた。
「リーナ!」
(危ない!助けないと!)
だが、口から出たのは――
「リーナ、一人で何とかしろよ」
「え……?」
リーナが驚いた顔をする。
「アキラ……あなた……」
その目には、失望の色が浮かんでいた。
「待って、違う!今行く!」
俺は必死に走った。
そして――
リーナの前に飛び出して、モンスターの攻撃を受けた。
ドゴドゴドゴ!
「うわああ!」
何度も攻撃を受ける。
だが――
「リーナは……渡さない……」
「アキラ……」
リーナが涙目になる。
「【ファイアランス】!」
リーナの魔法が、モンスターたちを貫く。
「やった!」
【シャドウウォリアー(Cランク)を複数撃破しました】
【レベルが12下がりました】
【レベル697→685】
「アキラ、大丈夫!?」
リーナが駆け寄る。
「ああ……なんとか……」
「ありがとう……」
リーナが小さく言う。
「……どういたしまして」
(今度は素直に言えた)
だが――
「別に、お前のためじゃないし」
と付け加えてしまった。
「……わかってるわよ」
リーナが微笑む。
「あなたの本当の気持ち、少しずつわかってきたわ」
「リーナ……」
その時――
ゴゴゴゴゴゴゴ……
さらに大きな揺れが起こった。
「今度は何!?」
そして――
バァァン!
巨大な影が現れた。
「シャドウビースト、Bランク!」
全身が黒い影でできた、獣のような姿。
「Bランクかよ!」
「みんな、気をつけて!」
リーナが警告する。
シャドウビーストが咆哮する。
「グオオオオ!!」
その咆哮だけで、部屋全体が揺れた。
「やばい……めっちゃ強そう……」
「連携よ!アキラ、ガルドさんが前衛!私とエリンが後衛!」
「了解!」
俺とガルドが前に出る。
「行くぞ、相棒!」
「はい!」
(相棒、って呼んでくれた……嬉しい……)
だが――
「別に嬉しくないけど」
と口が勝手に動く。
「……」
ガルドが一瞬、寂しそうな顔をする。
「ガルドさん、違うんです!」
「わかってる。気にするな」
「でも……」
「いいから、戦いに集中しろ」
「……はい」
俺は拳を握りしめた。
(くそ……後で、ちゃんと本当の気持ちを伝えないと……)
シャドウビーストが襲いかかってくる。
「くらえ!」
俺は全力でパンチを叩き込んだ。
ドゴォン!
シャドウビーストがよろめく。
「効いた!」
「続けて!【ファイアボール】!」
リーナの魔法が続く。
「【サンダーボルト】!」
エリンの雷魔法も命中する。
「よし、このまま――」
だが――
シャドウビーストが尻尾を振り回した。
「うわっ!」
俺は吹っ飛ばされた。
「アキラ!」
ガルドが叫ぶ。
「大丈夫です!」
俺は立ち上がった。
「まだまだ!」
再びシャドウビーストに向かう。
だが――
シャドウビーストの攻撃が、今度はガルドに向かった。
「ガルドさん!」
(危ない!避けて!)
だが、口から出たのは――
「ガルドさん、別にどうでもいいけど」
「……」
ガルドが一瞬、動きを止める。
その隙に――
ドゴッ!
シャドウビーストの攻撃がガルドに命中した。
「ガルドさん!」
ガルドが地面に倒れる。
「くそ……俺のせいで……」
(俺が、ガルドさんの動きを止めた……)
涙が溢れそうになる。
「ガルドさん、ごめんなさい!」
「相棒……」
ガルドが苦しそうに笑う。
「お前のせいじゃない……」
「でも……」
「いいから……戦え……」
「……はい」
俺は涙を拭った。
そして――
シャドウビーストに向かって走った。
「お前……許さない……」
全力のパンチを叩き込む。
ドゴォォン!
シャドウビーストが大きくよろめく。
「【ファイアストーム】!」
リーナの最上級魔法が炸裂する。
「【サンダーストライク】!」
エリンの上級魔法も続く。
そして――
「トドメだ!」
俺の最後のパンチが、シャドウビーストを貫いた。
ドゴォォォン!
シャドウビーストが崩れ落ちる。
【シャドウビースト(Bランク)を撃破しました】
【レベルが5下がりました】
【レベル685→680】
「やった……」
俺たちは安堵のため息をついた。
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戦いが終わり、俺はガルドに駆け寄った。
「ガルドさん、大丈夫ですか!?」
「ああ……なんとかな……」
「リーナ、回復を!」
「わかってるわよ!【ヒール】!」
リーナの回復魔法で、ガルドの傷が癒えていく。
「ありがとう……」
ガルドが立ち上がる。
「ガルドさん、本当にすみませんでした……」
(俺のせいで、怪我をさせてしまった……)
だが――
「別に気にしてないけど」
と口が勝手に動く。
「……」
ガルドが俺を見つめる。
「相棒……お前、本当はそう思ってたのか」
「違います!めっちゃ申し訳ないと思ってます!」
「……」
「本当です!信じてください!」
ガルドが深くため息をついた。
「わかってる。お前の目を見ればわかる」
「ガルドさん……」
「お前の本当の気持ちは、言葉じゃなくて行動に出てる」
「……」
「お前は俺を庇った。エリンを守った。リーナを助けた」
ガルドが俺の肩を叩く。
「それが全てだ」
「ガルドさん……ありがとうございます……」
涙が溢れる。
「泣くなよ、相棒」
「すみません……」
その時、リーナが近づいてきた。
「アキラ」
「リーナ……」
「私も、わかってるわ」
「え?」
「あなたがどう思ってるか、もうわかってる」
リーナが微笑む。
「あなたの言葉は逆でも、あなたの行動は嘘をつかない」
「リーナ……」
「だから、気にしないで」
「……ありがとう」
エリンも近づいてくる。
「アキラさん」
「エリン……」
「アキラさんはいつも、私たちのこと守ってくれます」
エリンが笑顔で言う。
「言葉が冷たくても、アキラさんの目は優しいです」
「エリン……」
「それが本当の気持ちです」
「……ありがとう、みんな……」
俺は涙を流した。
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しばらくして、俺たちは先へ進んだ。
「次が、恐らく最後の部屋だ」
ガルドが言う。
「ああ。覚悟を決めよう」
俺は拳を握りしめた。
(まだ感情は逆転したままだけど……)
(でも、みんなは信じてくれてる)
(なら、俺も信じよう。みんなを、そして自分を)
大きな扉の前に立つ。
「行くぞ」
「ええ」
俺たちは扉を開けた。
そして――
最後の試練の間へと、足を踏み入れた。
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## 仲間のレベルアップ
【ガルドのレベルが上がりました】
【レベル90→92】
【リーナのレベルが上がりました】
【レベル57→59】
【エリンのレベルが上がりました】
【レベル20→22】
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## アキラの現在ステータス(第43話終了時点)
- **レベル**: 680
- **HP**: 680,000
- **MP**: 680,000
- **攻撃力**: 680,000
- **防御力**: 680,000
- **魔力**: 680,000
- **敏捷性**: 680,000
- **スキル**: 全スキルLvMAX
- **ギルドランク**: Bランク
- **所持金**: 金貨207枚、銀貨20枚
- **所持アイテム**:
- 謎の水晶(逆転者の証)
- セレスティアの祖父の日記(写し)
- 通信石
- 木剣×61本
- 制御の石板
- Bランクギルドカード
- 逆転者の紋章(第一の証)
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## 次回予告
「最後の試練の間で、アキラを待ち受けていたのは――『感情を偽って生きる自分』の幻影!『お前は本当の気持ちを言えない』『強がって、本音を隠している』――幻影の問いかけが、アキラの心を抉る。北の森での恐怖、弱みを見せられない苦しみ、そして仲間への本当の想い。全てをさらけ出す時が来た!次回、第44話『本当の気持ち――心の試練完結』――レベルを下げて、心を解放しろ!」




