第40話『弱さの受容――第一の試練完結』
前回のあらすじ
逆転空間の最深部で、アキラは未来の力の片鱗を体験した。攻撃を受けるほど強くなり、弱い攻撃ほど大ダメージを与える。回復魔法がダメージになり、攻撃魔法が回復になる。混乱しながらも、仲間と協力して大量のシャドウウォリアーを撃破した。そして第一段階をクリアしたアキラたちに、クロウは第二段階の開始を告げる――。
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光が収まると、また別の空間にいた。
「ここは……」
今度は真っ暗な空間だ。
足元だけが、淡く光っている。
「暗いな……リーナ、光魔法――」
「もう使ってるわよ」
リーナの【ライト】が発動しているが、周囲の闇は深く、ほとんど照らされていない。
「この闇、普通じゃないわね……」
「魔法が効かない闇か」
ガルドが警戒する。
その時――
ゴゴゴゴゴ……
空間が揺れた。
「また来る……!」
そして――
バシュッ!
前方に、巨大な影が現れた。
「シャドウビースト、Bランク!」
全身が黒い影でできた、獣のような姿。
「Bランクかよ!」
「気をつけて!さっきより強いわ!」
リーナが警告する。
シャドウビーストが咆哮する。
「グオオオオ!!」
その咆哮と共に――
俺の体に、奇妙な感覚が走った。
「うっ……!」
「アキラ!?」
「何か……変だ……」
世界が、歪んで見える。
「これは……」
そして――
シャドウビーストが襲いかかってきた。
「来るぞ!」
ガルドが前に出る。
俺も拳を構えて――
「くらえ!超弱パンチ!」
ポンッ
シャドウビーストを優しく叩く。
すると――
「え?」
シャドウビーストの傷が、治り始めた。
「回復してる!? なんで!?」
「アキラ、攻撃が逆転してるのよ!」
「でもさっきは超弱パンチで大ダメージだったじゃん!」
「今度は違うのよ!攻撃そのものが逆転してる!」
リーナが叫ぶ。
「じゃあ、全力パンチなら――」
俺は全力で殴った。
ドカァン!
シャドウビーストが吹っ飛ぶ。
「効いた!」
「今度は普通に戻ったのね……」
リーナが安堵する。
だが――
その時、シャドウビーストの攻撃が俺に当たった。
ドゴッ!
「痛ッ!」
吹っ飛ばされる。
そして――
【攻撃を受けました】
【パワーアップ:+20%】
「また強くなった!」
だが、さらに――
「あれ?」
周囲の景色が、ぼやけ始めた。
「世界が……歪んでる……?」
「アキラ、どうしたの!?」
リーナが心配そうに声をかける。
「わからない……でも、何か変――」
その瞬間。
時間が、止まった。
「え……?」
周囲の全てが、静止している。
リーナもガルドもエリンも、動かない。
シャドウビーストも、空中で止まっている。
「何だこれ……」
俺だけが、動ける。
「時間が……止まってる……?」
恐怖が込み上げる。
そして――
時間が、逆行し始めた。
「うわああああ!」
周囲の景色が、巻き戻っていく。
シャドウビーストの攻撃が、元に戻っていく。
俺の動きも、逆再生される。
「やめろ!止まれ!」
だが、止まらない。
時間は逆行を続け――
数秒前に戻った。
そして――
時間が、再び動き出した。
「はぁ……はぁ……」
「アキラ!? 大丈夫!?」
リーナが駆け寄る。
「今……時間が……」
「時間が?」
「逆行した……」
「え?」
リーナが困惑する。
「俺だけ……時間が戻った……」
「それって……時間の逆転!?」
「恐らくな」
ガルドが険しい表情を浮かべる。
「これが……マイナスレベルの力……」
俺は震える手を見つめた。
「怖い……この力、怖いよ……」
「アキラ……」
リーナが俺の肩に手を置く。
「大丈夫。私たちがいるから」
「でも……」
その時、シャドウビーストが再び襲いかかってきた。
「くそ、戦闘中だった!」
俺は気を取り直して、シャドウビーストに向かった。
「全力パンチ!」
ドカッ!
シャドウビーストが吹っ飛ぶ。
「よし、効いてる!」
だが――
再び奇妙な感覚が走った。
「また……?」
今度は、距離の感覚が狂い始めた。
「シャドウビーストまで……近い?いや、遠い?」
前に進もうとすると、シャドウビーストが遠ざかる。
後ろに下がると、シャドウビーストが近づいてくる。
「距離が逆転してる!?」
「また逆転!?」
リーナが驚く。
「めちゃくちゃじゃん!」
「落ち着いて!逆算して動いて!」
「逆算って言われても!」
俺は混乱しながら、後ろに下がった。
すると――
シャドウビーストに近づいた。
「よし、これで――」
パンチを放つ。
ドカッ!
「当たった!」
【シャドウビースト(Bランク)にダメージを与えました】
「よし、このまま――」
だが、その時。
シャドウビーストの攻撃が俺に当たった。
ドゴッ!
「痛ッ!」
【攻撃を受けました】
【パワーアップ:+35%】
強くなる感覚と共に――
再び時間が歪んだ。
「またかよ!」
周囲の景色が、スローモーションになる。
リーナの動きが、ゆっくりに見える。
ガルドの剣が、コマ送りのように動く。
「時間が……遅くなってる……」
そして――
俺だけが、普通の速度で動ける。
「これも……時間の逆転……?」
恐怖が増していく。
「こんな力……俺には制御できない……」
その瞬間、時間が元に戻った。
「はぁ……はぁ……」
「アキラ!しっかりして!」
リーナが俺を支える。
「大丈夫……多分……」
「多分じゃないでしょ!」
「でも、本当に大丈夫かわからないし……」
「正直ね……」
リーナが苦笑する。
「みんな、集中攻撃よ!」
リーナの指示で、俺たちは一斉にシャドウビーストに攻撃を仕掛けた。
ガルドの剣、リーナとエリンの魔法、そして俺のパンチ。
連携攻撃で、シャドウビーストを追い詰めていく。
「【ファイアランス】!」
リーナの火魔法が貫く。
「【サンダーストライク】!」
エリンの雷魔法も続く。
「俺も――全力パンチ!」
ドゴォン!
そして――
シャドウビーストが倒れた。
【シャドウビースト(Bランク)を撃破しました】
【レベルが7下がりました】
【レベル748→741】
「やった……!」
俺たちは安堵のため息をついた。
だが――
ゴゴゴゴゴ……
空間が激しく揺れ始めた。
「まだ何かあるの!?」
「もう勘弁してくれ……」
そして――
闇が晴れた。
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気がつくと、また別の空間にいた。
今度は、何もない白い空間。
「ここは……」
「第三段階ね……」
リーナが呟く。
その時――
「よく来たな、逆転者よ」
声が響いた。
「誰だ!?」
前方に、人影が現れた。
それは――
「俺……?」
そこにいたのは、俺だった。
いや、正確には俺に似た人物。
だが、その目には光がない。
「これは……幻影か」
ガルドが呟く。
幻影の俺が口を開いた。
「お前は弱い」
「え……?」
「レベルがなければ、何もできない」
「それは……」
「仲間がいなければ、お前は無力だ」
幻影の言葉が、胸に刺さる。
「逆転の力も、お前を苦しめるだけだ」
「そんなこと……」
「お前は――一人では何者でもない」
その言葉に、俺は言葉を失った。
「アキラ……」
リーナが心配そうに見つめる。
幻影が続ける。
「お前は、仲間に守られてばかりだ」
「それは……」
「影の組織の罠にハマり、死にかけた」
「……」
「リーナに泣きついた」
「……」
「ガルドに助けられた」
「……」
「お前は、弱い」
その言葉が、何度も響く。
「弱い、弱い、弱い――」
「やめろ……」
俺は頭を抱えた。
「言うな……」
だが、幻影は止まらない。
「お前には、何もない」
「やめろ……」
「レベルも、力も、全て他者に依存している」
「やめろって……」
「お前は――」
「やめろおおおお!!」
俺は叫んだ。
そして――
膝をついた。
「俺は……弱い……」
涙が溢れる。
「俺は……一人じゃ何もできない……」
第34話の記憶が蘇る。
影の組織の罠にハマって、死にかけた。
リーナに泣きついた。
みんなに助けられた。
「俺は……弱いんだ……」
そう認めた瞬間――
「アキラ」
リーナが俺の前に立った。
「リーナ……」
「弱くたっていいじゃない」
「え……?」
「私たちがいるんだから」
リーナが微笑む。
「弱さを認められることは、強さよ」
「でも、俺は……」
「アキラ」
今度はガルドが声をかける。
「弱さを知ってる奴が、本当に強くなれるんだ」
「ガルド……」
「俺はそう信じてる」
ガルドが肩を叩く。
「アキラさん!」
エリンが駆け寄る。
「アキラさんは、私たちを守ってくれました!」
「エリン……」
「だから今度は、私たちがアキラさんを守ります!」
エリンが笑顔で言う。
「みんな……」
俺は涙を拭った。
「ありがとう……」
そして――
幻影の俺に向き直った。
「お前の言う通りだ。俺は弱い」
幻影が無言で見つめる。
「一人じゃ何もできない」
「……」
「でも――」
俺は拳を握りしめた。
「でも、仲間がいる」
「……」
「みんながいるから、俺は強くなれる」
「……」
「それが……俺の力だ!」
その瞬間――
バァァン!
幻影が光に包まれた。
そして――
消えた。
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「やった……?」
「ええ。試練をクリアしたのよ」
リーナが微笑む。
その時――
ゴゴゴゴゴ……
空間全体が光り始めた。
「これは……」
前方に、クロウが現れた。
「よくぞ乗り越えた、逆転者よ」
「クロウ……」
「お前は逆転を理解し、弱さを受け入れた」
クロウが近づいてくる。
「第一の試練『力の試練』――合格だ」
その言葉と共に――
バァァン!
俺の胸から、光が放たれた。
「これは……」
光が形を成し、一つの紋章が現れた。
「逆転者の紋章。第一の証だ」
紋章が俺の手の甲に刻まれる。
「これが……」
「この紋章は、お前が試練を乗り越えた証。そして、逆転の力を制御する助けとなるだろう」
「制御……」
「ああ。まだ完璧ではないが、少しずつ制御できるようになる」
クロウが説明する。
「そして――お前が体験した力。攻撃を受けて強くなる力、時間の逆転、距離の逆転」
「あれは……」
「マイナスレベルになった時、お前が得る力の一部だ」
「マイナスレベル……」
「恐れることはない。お前には、仲間がいる」
クロウが微笑む。
「彼らと共に、お前は必ず乗り越えられる」
「……ああ」
俺は頷いた。
「さあ、元の世界に戻れ。第二の試練は、また別の時に」
「第二の試練……」
「ああ。だが今は、ゆっくり休むがいい」
クロウが手を上げる。
光が俺たちを包む。
「じゃあな、逆転者よ。また会おう」
クロウの声が遠ざかっていく。
そして――
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気がつくと、北の塔の部屋にいた。
「戻った……」
「本当に……終わったのね……」
リーナが安堵の表情を浮かべる。
「長い試練だったな」
ガルドが苦笑する。
「はい……でも、やり遂げました!」
エリンが嬉しそうだ。
「ああ。みんなのおかげだ」
俺は笑った。
「よし、じゃあ帰ろう!」
「そうね。今日はゆっくり休みましょう」
「賛成!」
俺たちは北の塔を後にした。
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王都への帰り道。
「しかし、マイナスレベルの力か……」
ガルドが呟く。
「あれ、本当にヤバかったな」
「ええ。時間の逆転なんて、想像もしてなかったわ」
リーナが言う。
「攻撃を受けて強くなるのも、すごいですよね」
エリンが目を輝かせる。
「すごいけど、痛いからな……」
「それもそうですね」
俺たちは笑い合った。
「でも、これで少し前進できたな」
「ああ。第一の試練をクリアした」
「次は第二の試練か」
「どんな試練なんだろうな」
「わからないけど、みんなで乗り越えよう」
「おう!」
俺たちは拳を突き合わせた。
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王都に着くと、既に夕方だった。
「疲れたー」
「本当にね」
「今日は豪華な飯にしよう!」
「賛成!」
俺たちは街の有名なレストランへと向かった。
食事を楽しみながら、今日の出来事を振り返る。
「逆転空間、めちゃくちゃだったな」
「本当に。アキラだけ逆転してるから、見てる方も混乱したわ」
「だろ?俺なんてもっと混乱してたぞ」
「それはそうでしょうね」
リーナが笑う。
「でも、いい経験になった」
「ええ。マイナスレベルの力を少し理解できたし」
「怖かったけどな」
「怖くて当然よ。あんな力、誰も経験したことないんだから」
「まあ、確かに」
「でも、アキラさんなら大丈夫です!」
エリンが励ます。
「ありがとな、エリン」
「私たちも、全力でサポートするからな」
ガルドが力強く言う。
「ああ。よろしく頼むよ」
俺たちは杯を掲げた。
「これからも、一緒に頑張ろう!」
「おー!」
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その夜、宿の部屋で。
俺は手の甲の紋章を見つめていた。
「逆転者の紋章……」
淡く光る紋章。
「第一の証、か」
これから先、どんな試練が待っているのだろう。
どんな力を得ることになるのだろう。
「でも――」
俺は笑った。
「仲間がいるから、大丈夫だ」
リーナ、ガルド、エリン。
みんながいるから、俺は強くなれる。
「よし、明日からも頑張ろう!」
俺はベッドに倒れ込んだ。
疲れが一気に押し寄せてくる。
「おやすみ……」
俺はそのまま眠りについた。
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だが、この時の俺は、まだ知らなかった。
第二の試練が、すぐそこまで迫っていることを――
そして、影の組織の本格的な動きが始まろうとしていることを――
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翌朝。
「おはよう、アキラ」
リーナが声をかけてきた。
「おう、おはよう」
「よく眠れた?」
「ああ、ぐっすりだ」
「それは良かった。さあ、朝食食べてギルドに行きましょう」
「了解!」
俺たちは朝食を済ませ、ギルドへと向かった。
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ギルドに着くと、受付のお姉さんが慌てた様子で近づいてきた。
「アキラさん!大変です!」
「どうしたんですか?」
「緊急の依頼が入りました!」
「緊急の依頼?」
「はい。東の森で、大規模なモンスターの群れが発見されたんです!」
「また!?」
リーナが驚く。
「ええ。しかも、その中にAランクのモンスターが混じっているという情報も……」
「Aランク!?」
「はい。至急、Bランク以上の冒険者に出動を要請しています」
「わかりました。俺たちも行きます」
「お願いします!」
俺たちは急いで準備を整え、東の森へと向かった。
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「また大変なことになったな」
ガルドが呟く。
「ええ。影の組織の仕業かしら」
リーナが険しい表情を浮かべる。
「恐らくな。だが、街を守るためには戦うしかない」
「ああ」
俺は拳を握りしめた。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
俺たちは走り出した。
新たな戦いが、始まろうとしていた。
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## 仲間のレベルアップ
【ガルドのレベルが上がりました】
【レベル85→87】
【リーナのレベルが上がりました】
【レベル52→54】
【エリンのレベルが上がりました】
【レベル16→18】
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## アキラの現在ステータス(第40話終了時点)
- **レベル**: 741
- **HP**: 741,000
- **MP**: 741,000
- **攻撃力**: 741,000
- **防御力**: 741,000
- **魔力**: 741,000
- **敏捷性**: 741,000
- **スキル**: 全スキルLvMAX
- **ギルドランク**: Bランク
- **所持金**: 金貨157枚、銀貨20枚
- **所持アイテム**:
- 謎の水晶(逆転者の証)
- セレスティアの祖父の日記(写し)
- 通信石
- 木剣×61本
- 制御の石板
- Bランクギルドカード
- **逆転者の紋章(第一の証)**【NEW】
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## 次回予告
「東の森で待ち受けていたのは、Aランクの凶悪なモンスター!さらに影の組織の刺客も現れ、アキラたちは絶体絶命の危機に!だが、第一の試練で得た紋章が、アキラに新たな力をもたらす!制御の力が、少しずつ目覚め始める!次回、第41話『東の森の激闘――Aランクの脅威』――レベルを下げて、新たな力を掴め!」




