第23話「遺跡の秘宝」
前回のあらすじ
四つの紋章を集め、ついに扉を開いたアキラたち。だが、秘宝を守る伝説級のモンスター「エンシェントゴーレム」が目を覚まし――
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「エンシェントゴーレム…!」
マルクスが震える声で言う。
「伝説級のモンスターです! こんなものが守護者だったなんて…!」
目の前に立ちはだかるゴーレムは、高さ約六メートル。
全身が古代の魔法で強化された石で覆われている。
「でかっ!」
俺が叫ぶ。
ゴゴゴゴゴ…
ゴーレムが一歩踏み出すだけで、地面が揺れる。
「セレスティアさん、学者の皆さんは下がってください!」
ガルドが剣を構える。
「わ、わかりました…!」
セレスティアたちが後退する。
「リーナ、エリン、準備は!?」
「いつでもいけるわ!」
リーナが杖を構える。
「は、はい!」
エリンも剣を握りしめるが、その手が震えている。
「エリン、無理はするなよ」
「で、でも…!」
「お前の役目は、学者たちを守ることだ。俺たちがゴーレムを引きつける」
「…わかりました」
エリンが学者たちの前に立つ。
ドゴォォォン!
ゴーレムが拳を振り下ろしてきた。
「うわああ!」
俺たちは左右に散る。
地面に巨大なクレーターができた。
「やばい、パワーが桁違いだ…!」
「当たり前よ! 伝説級なんだから!」
リーナが魔法を放つ。
「ファイアボール!」
炎の球がゴーレムに直撃する。
ドゴォン!
「効いてる…?」
煙が晴れると、ゴーレムは無傷だった。
「嘘でしょ!?」
「魔法防御も高いのか…!」
ガルドが突進する。
「ならば物理で!」
剣を振り下ろす。
ガキィィィン!
火花が散るが、ゴーレムの装甲には傷一つつかない。
「硬すぎる…!」
「じゃあ俺が!」
俺も剣を振るう。
全力で叩きつける。
バシュッ!
ゴーレムの腕に、小さな亀裂が入った。
「おお、効いた!」
「でも浅い…!」
ゴーレムが反撃してくる。
巨大な拳が俺に迫る。
「やべっ!」
ギリギリで回避。
拳が壁に激突し、壁が崩れた。
「あぶねえ…!」
「アキラ、一撃でも食らったら終わりよ!」
「わかってる!」
戦いは長期戦になっていた。
俺、ガルド、リーナの三人で攻撃を続けるが、ゴーレムのHPはなかなか減らない。
「くそっ、硬すぎる…!」
「このままじゃ、こっちが先に力尽きる…!」
ガルドが息を切らしている。
リーナも魔力を使い果たしそうだ。
「MP、残り少ない…」
「何か弱点はないのか!?」
「弱点…」
俺はゴーレムを観察する。
全身が石の装甲で覆われているが――
「あれ、胸のところに何かある」
ゴーレムの胸部に、光る宝石のようなものが埋め込まれている。
「あれがコアか!?」
「恐らく! でも、あそこに攻撃を当てるのは…!」
ゴーレムは常に動き回っている。
しかも、胸のコアは高い位置にある。
「どうやって届かせる…」
その時、エリンが叫んだ。
「アキラさん! 私が囮になります!」
「エリン!?」
「私がゴーレムの注意を引きます! その隙に、コアを狙ってください!」
「でも危険すぎる!」
「大丈夫です! 逃げるだけなら、できます!」
エリンが飛び出す。
「おい、エリン!」
「こっちです、ゴーレムさん!」
エリンがゴーレムに向かって駆ける。
ゴーレムがエリンに注目する。
「やばい! エリン、逃げろ!」
ゴーレムが拳を振り下ろす。
「きゃあ!」
エリンがギリギリで回避。
でも、足がもつれて転んだ。
「エリン!」
ゴーレムの拳が再び襲い掛かる。
その瞬間――
ガルドが飛び込んだ。
「させるか!」
ガルドがエリンを抱えて跳躍。
拳が地面に激突する。
「ガルドさん…!」
「お前、無茶するな!」
「すみません…!」
「でも、おかげでチャンスができた!」
俺はゴーレムに向かって走る。
ゴーレムの背中側に回り込み――
「リーナ、援護頼む!」
「任せて!」
リーナが魔法を放つ。
「ウィンドブースト!」
風の魔法が俺を押し上げる。
「おおお!」
空中で剣を構える。
ゴーレムの胸のコアが目の前に。
「でやああああ!」
全力で剣を突き刺す。
ズガァァァン!
剣がコアに深々と突き刺さった。
「やった…!」
ゴーレムが動きを止める。
ギシ…ギシ…
全身に亀裂が走る。
「壊れる…!?」
「みんな、伏せて!」
ガァァァン!
ゴーレムが爆発した。
石の破片が飛び散る。
「うわああ!」
爆発が収まると、ゴーレムは完全に崩れていた。
「やった…のか…?」
「ええ、倒したわ」
リーナが立ち上がる。
「みんな、無事か?」
「ああ、なんとか」
ガルドが肩で息をしている。
「エリンは?」
「こ、ここです…」
エリンが瓦礫の陰から顔を出す。
「無事でよかった」
「すみません…囮になるとか言って…」
エリンが涙目になる。
「いや、お前のおかげで勝てた」
俺が笑う。
「本当に?」
「ああ。ありがとうな」
エリンが嬉しそうに笑った。
その時、俺の体が光る。
「あ、経験値…」
光の粒が体に吸い込まれる。
「ステータスオープン」
**桜井アキラ**
- レベル:852
- HP:852,000
- MP:852,000
- 攻撃力:852,000
- 防御力:852,000
- 魔力:852,000
- 敏捷性:852,000
「おお! 10下がった! 伝説級は経験値多いな!」
「喜ぶとこ違うから!!」
リーナのツッコミが炸裂。
「でも、これで秘宝が手に入るな」
ガルドが宝箱を指差す。
セレスティアたちも戻ってきた。
「皆さん、ありがとうございました…!」
セレスティアが感激している。
「ついに、祖父の探していた秘宝に辿り着けました…!」
宝箱をゆっくりと開ける。
中には――
「これは…」
古びた本が入っていた。
「本…?」
「古代魔法の書…!」
マルクスが興奮する。
「これは失われた魔法文明の技術が記された、伝説の書です!」
「すごい…」
セレスティアが本を手に取る。
「祖父は、これを探していたのですね…」
本を開くと、複雑な魔法陣が描かれている。
「この魔法陣…何かの召喚術のようですが…」
エマが古代文字を読む。
「『逆転者を呼び出す儀式』…?」
「逆転者…!?」
俺が反応する。
「それって、俺のこと?」
「恐らく…」
セレスティアが真剣な顔になる。
「この本には、逆転者についての記述があるようです」
「マジか…」
「後でゆっくり読みましょう。今は、ここから脱出するのが先です」
ガルドが言う。
「ああ、そうだな」
遺跡を出ると、外は夕暮れだった。
「長い一日だったな…」
「本当にね…」
リーナが疲れた顔で言う。
「でも、無事に依頼完了だ」
「はい…!」
エリンが笑顔で頷く。
セレスティアが俺たちに頭を下げる。
「本当にありがとうございました。報酬はギルドに振り込んでおきます」
「ありがとうございます」
「それと…」
セレスティアが真剣な顔になる。
「この本に書かれている内容、後日改めてお伝えします」
「わかった」
「特にアキラさんには、知っておいてもらいたいことがあります」
「俺に?」
「ええ。逆転者に関する、重要な情報です」
「…わかった」
俺たちは、夕日を背に街へと戻った。
その夜、ギルドの酒場で。
「お疲れ様ー!」
俺たちは乾杯した。
「今日は本当に大変だったわね」
リーナがビールを飲む。
「ああ、でもいい経験になった」
ガルドが笑う。
「エリン、今日はよく頑張ったな」
「はい…! でも、囮になるとか言って、結局足手まといに…」
「そんなことないぞ」
俺が言う。
「お前のおかげで、勝てたんだ」
「本当ですか…?」
「ああ。これからも一緒に頑張ろうな」
「はい…!」
エリンが嬉しそうに笑った。
「さて、報酬が入ったら何買おうかな」
リーナが目を輝かせる。
「お金に弱いのは相変わらずだな」
「失礼ね! 必要なものを買うだけよ!」
「新しい杖とか?」
「…まあ、そういうのも考えてるけど」
みんなで笑い合う。
平和な時間だ。
でも、俺の頭の片隅には、セレスティアの言葉が引っかかっていた。
『逆転者に関する、重要な情報』
一体、何なんだろう。
「アキラ、考え事?」
リーナが聞いてくる。
「ん? ああ、ちょっとな」
「秘宝のこと?」
「まあね」
「気になるわよね。でも、今日はもう忘れて、楽しみましょ」
「そうだな」
俺はグラスを持ち上げる。
「じゃあ、改めて。今日の成功に乾杯!」
「乾杯!」
グラスが鳴る。
明日からまた、新しい冒険が始まる。
どんな依頼が待っているのか。
そして、逆転者についての真実とは――
それは、また別の話だ。
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## 次回予告
「逆転者についての情報…それは予想外のものだった」
「まさか、そんな…」
「これからどうする、アキラ?」
「決まってるだろ。前に進むだけだ!」
次回、第24話「新たな真実」
逆転者の秘密が明かされる――!?
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**現在のアキラのステータス**
- レベル:852(10減少)
- HP/MP/攻撃力/防御力/魔力/敏捷性:852,000
- ギルドランク:Dランク
- 所持金:金貨42枚、銀貨30枚
**パーティーメンバー**
- アキラ(レベル852)
- リーナ(レベル45・Cランク)
- ガルド(レベル78・Bランク)
- エリン(レベル9・Dランク)




