第20話「事件の真相と新たな脅威」
前回のあらすじ
街を襲ったモンスターの群れを、必死の戦いで撃退したアキラたち。だが、アキラのレベルは872まで下がってしまった。そして、この事件の裏には何者かの陰謀が隠されているようで――
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「痛った…」
戦いが終わった後、俺は全身の痛みを感じていた。
「当たり前でしょ。あんな無茶な戦い方してたら、そうなるわよ」
リーナが呆れた顔で言う。
「でも、みんな助かったからいいじゃん」
「そういう問題じゃないの!もっと計画的に戦いなさいって何度言えば…」
リーナのお説教が始まった。
「はいはい、次から気をつけます」
「聞いてないでしょ!?」
リーナの声が一オクターブ上がる。
「アキラさん、リーナさんを怒らせないほうがいいですよ…」
エリンが小声で忠告してくれる。
「大丈夫大丈夫!リーナはいつものことだから!」
「いつものことって何よ!?」
リーナが激怒した。
「みんな、落ち着け」
ガルドが仲裁に入る。
「今は、ギルドに戻って報告するのが先だ」
「そうですね…」
リーナがため息をついた。
俺たちは疲れた体を引きずりながら、ギルドへと向かった。
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ギルドに到着すると、セリアが待っていた。
「お帰り。無事で何よりだ」
「はい!なんとか全部倒しました!」
俺は元気よく報告した。
「そうか…ご苦労だった」
セリアは少し考え込むような表情を浮かべている。
「ギルドマスター、何か気になることでも?」
リーナが聞く。
「ああ…実は、今回の事件、不可解な点が多い」
「不可解な点?」
「そうだ。街の中に、これだけ大量のモンスターが突然現れるなんて、普通はあり得ない」
セリアは腕を組んだ。
「街には結界が張られている。モンスターは本来、入ってこられないはずなんだ」
「じゃあ、どうして…」
「誰かが意図的に結界を破壊したとしか考えられない」
セリアの言葉に、俺たちは息を飲んだ。
「つまり…これは事故じゃなくて、誰かの仕業ってことですか?」
エリンが不安そうに聞く。
「その可能性が高い。警備兵が現場を調査している」
「一体誰が、何のために…」
リーナが呟く。
その時、ギルドの扉が開いた。
黒いローブを着た男が入ってくる。
「!」
俺はその男を見て驚いた。
遺跡で会った、あの男だ。
「久しぶりだな、桜井アキラ」
男は俺を見て、不気味に笑った。
「あんた…!」
ガルドが警戒して剣に手をかける。
「安心しろ。今日は戦いに来たわけではない」
男はゆっくりとセリアに近づいた。
「ギルドマスター、お久しぶりです」
「…クロウ。まさか、お前が来るとはな」
セリアは鋭い目で男を見つめた。
「クロウ?」
俺は首を傾げた。
「こいつの名前、そういうのか」
「ああ。元Sランク冒険者だ」
セリアが答える。
「元、ですか?」
「今は…闇の研究者と呼ばれている」
リーナが警戒した表情で言う。
「闇の研究者…なんか怖い…」
エリンが俺の後ろに隠れる。
「ふふ、怖がらなくてもいい。私は君たちに危害を加えるつもりはない」
クロウは笑った。
「それで、何の用だ?」
セリアが冷たい声で聞く。
「今回の事件について、情報を提供しに来た」
「情報?」
「ああ。今回の襲撃を仕組んだのは、『影の組織』だ」
クロウの言葉に、セリアの表情が変わった。
「影の組織…まさか、あの…」
「そうだ。彼らが動き出した」
「一体、影の組織って何なんですか?」
俺は聞いた。
「この世界の裏で暗躍する組織だ。目的は…世界の秩序を破壊すること」
クロウが説明する。
「秩序を破壊って…何のために?」
「それは、彼らにしかわからない。だが、今回の街への襲撃は、その第一歩に過ぎない」
「第一歩…じゃあ、まだ何かあるってことですか?」
エリンが不安そうに聞く。
「ああ。彼らの真の目的は、もっと別のところにある」
クロウは俺を見た。
「そして、彼らは君に興味を持っている、桜井アキラ」
「俺に?なんで?」
「逆転者だからだ。レベルが逆に進む者。彼らは、その力を利用しようとしている」
「利用…?」
「そうだ。君がレベル0を超え、マイナスの領域に入った時、彼らは君を捕らえようとするだろう」
クロウの言葉に、リーナが怒りの表情を浮かべた。
「ふざけないで!アキラを捕まえさせるわけないでしょ!」
「ふふ、頼もしい仲間がいるようだな」
クロウは笑った。
「安心しろ。私は君たちの味方だ」
「味方…?信じられないわ」
リーナが警戒を解かない。
「無理もない。だが、私は影の組織を止めたいと思っている。だからこそ、こうして情報を提供しているのだ」
クロウはそう言うと、俺に小さな石を手渡した。
「これは通信石だ。何かあれば、これで私に連絡しろ」
「あ、ありがとう…」
俺は石を受け取った。
「それじゃあ、私はこれで失礼する。気をつけろよ、桜井アキラ。影の組織は、既に動き出している」
クロウはそう言うと、姿を消した。
転移魔法か何かだろう。
「…厄介なことになったな」
セリアが呟く。
「ギルドマスター、どうします?」
リーナが聞く。
「今はまだ、情報が少なすぎる。まずは警戒を強化するしかない」
セリアは俺たちを見た。
「お前たちも気をつけろ。特に、アキラ」
「はい!」
俺は元気よく返事をした。
「って、なんで俺だけ特別扱いなんですか?」
「あなた、自覚がないの!?逆転者って言われてるのよ!?」
リーナが叫ぶ。
「ああ、そういえばそうだったな」
「『そういえば』じゃないのよ!もっと自覚を持ちなさい!」
「はーい」
俺は適当に返事をした。
「聞いてないでしょ!?」
リーナの怒りが爆発する。
「まあまあ、落ち着けって」
「落ち着いてられないわよ!あなた、狙われてるのよ!?」
「大丈夫大丈夫!俺、強いから!」
「レベル下がってるのよ!?どこが強いのよ!?」
「えー、でも872もあるじゃん」
「もう!話にならない!」
リーナが頭を抱えた。
「リーナさん、落ち着いて…」
エリンが慰めようとする。
「エリン…私、もうダメかも…」
「大丈夫ですよ…」
エリンが優しくリーナの背中をさする。
「アキラ、お前は本当に…」
ガルドが呆れた顔をしている。
「何ですか?」
「いや…何でもない」
ガルドはため息をついた。
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その夜。
俺たちはギルドの食堂で食事をしていた。
「それにしても、影の組織か…」
俺は肉を食べながら呟いた。
「なんか、すごい名前だよな」
「すごいって…そういう問題じゃないでしょ」
リーナがツッコむ。
「でも、格好良くない?影の組織って」
「格好いいとか言ってる場合じゃないのよ!あなた、狙われてるのよ!?」
「大丈夫だって!俺には最強の仲間がいるんだから!」
俺はみんなを見渡した。
「…まあ、それは嬉しいけど…」
リーナが少し照れた表情を浮かべる。
「私たち、絶対にアキラさんを守ります!」
エリンが力強く言った。
「ああ。お前を狙う者がいるなら、容赦はしない」
ガルドも頷く。
「みんな…ありがとな」
俺は笑顔で言った。
「でも、大丈夫だって!影の組織が来たら、まとめてぶっ飛ばしてやるから!」
「だから、そのノリが心配なのよ…」
リーナがため息をついた。
「ところで、影の組織って何人くらいいるんだろうな?」
「知らないわよ!っていうか、そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ!?」
「いや、気になるじゃん」
「気にならないわよ!」
リーナが叫ぶ。
「まあまあ、落ち着けって」
「落ち着けないわよ!あなたが天然すぎるのよ!」
「天然じゃないって!俺、ちゃんと考えてるから!」
「どこが!?全然考えてないじゃない!」
リーナの怒りが止まらない。
「リーナさん、落ち着いて…」
エリンが再び慰めようとする。
「エリン…ごめんね…」
「大丈夫ですよ…慣れてます…」
エリンが優しく微笑む。
「って、慣れてるって何!?」
リーナが叫んだ。
俺たちは笑いながら食事を続けた。
影の組織。
確かに危険かもしれない。
でも、俺には最強の仲間がいる。
だから、大丈夫だ。
何が来ても、絶対に負けない。
そう心に誓った。
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## ステータス
**桜井アキラ**
- レベル:872(変動なし)
- HP:872,000
- MP:872,000
- 攻撃力:872,000
- 防御力:872,000
- 魔力:872,000
- 敏捷性:872,000
- スキル:全スキルLvMAX
**新アイテム**
- 通信石(クロウから受け取った)
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## 次回予告
影の組織の存在が明らかになり、アキラは狙われることに。
だが、アキラは相変わらずのんきで、リーナのツッコミが止まらない!
そして、新たな章が始まる――
次回、第21話「ランクアップ試験への道」




