第19話「緊急依頼!街を襲う影」
前回のあらすじ
ケイブベア討伐を無事に完了したアキラたち。エリンの成長を見守りながら、仲間との絆を深めていく。だが、アキラのレベルは890まで下がっていた。そんな中、ギルドに緊急の依頼が舞い込む――
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「うめえ!」
俺は肉にかぶりついた。
打ち上げの食事中、ギルドの食堂は相変わらず賑やかだ。
「アキラさん、食べ方が汚いです…」
エリンが呆れた顔で言う。
「いいじゃん、美味いんだから!な、ガルド?」
「…まあ、気持ちはわかる」
ガルドも豪快に肉を食べている。
「男性陣は本当に…」
リーナがため息をついた。
そんな平和な時間を過ごしていると、突然ギルドの扉が勢いよく開いた。
「大変だ!誰か助けてくれ!」
一人の男性が血相を変えて飛び込んできた。
ギルド内がざわつく。
「どうしたんだ?」
冒険者の一人が声をかける。
「街の西区に…モンスターの群れが!」
「なんだと!?」
ギルドマスターのセリアが立ち上がる。
「詳しく説明しろ」
「はい!街の西区に、突然モンスターの群れが現れたんです!オーク、ゴブリン、ワイバーンまで…もう、住民が逃げ惑っています!」
男性の言葉に、ギルド内が騒然となった。
「街の中にモンスターだと?」
「どうして警備兵は止めなかったんだ?」
「数が多すぎて、防ぎきれなかったらしい!」
セリアが鋭い目で冒険者たちを見渡す。
「緊急依頼を発令する。Dランク以上の冒険者は、直ちに西区へ向かえ!報酬は後日、討伐数に応じて支払う!」
「了解!」
冒険者たちが一斉に立ち上がる。
「俺たちも行くぞ!」
ガルドが剣を掴む。
「はい!」
俺も立ち上がった。
「ちょっと待って!私たちはまだEランクよ!?」
リーナが慌てて言う。
「いいじゃん、困ってる人がいるんだから助けないと!」
「そういう問題じゃないのよ!Dランク以上って言ってたでしょ!?」
「でも、人手が足りないんだろ?」
俺はセリアを見た。
セリアは少し考えてから、頷いた。
「…いいだろう。ただし、無理はするな。逃げることも選択肢に入れておけ」
「わかりました!」
「エリンは…」
リーナがエリンを見る。
「私も行きます!」
エリンが真剣な表情で言った。
「でも、危険よ?」
「それでも…困ってる人を助けたいです。それが冒険者でしょ?」
エリンの目には、強い決意が宿っていた。
「…わかったわ。でも、絶対に無茶はしないこと」
「はい!」
俺たちはギルドを飛び出した。
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西区に到着すると、そこは地獄絵図だった。
建物が壊され、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑っている。
そして、街の中を暴れ回るモンスターたち。
「うわあ…これは酷い…」
エリンが青ざめる。
「エリンは俺の近くにいろ!離れるなよ!」
「はい!」
「リーナ、魔法で援護頼む!ガルドさんは前線で!」
「了解だ」
ガルドが剣を構える。
「任せて!」
リーナが杖を構えた。
「よし、行くぞ!」
俺たちは戦場へと飛び込んだ。
目の前には、5匹のオークが暴れている。
「おらああ!」
俺は剣を振るい、オークに斬りかかる。
だが。
「え?」
剣がオークの皮膚で止まった。
「いやいやいや、何で!?」
俺は慌てて剣を引く。
オークが俺に襲いかかってきた。
「うわああ!」
俺は咄嗟に避ける。
「アキラ!何やってるの!?」
リーナが叫ぶ。
「いや、何か斬れなくて…」
「レベルが下がってるからよ!ちゃんと考えて戦いなさい!」
「あ、そっか!」
俺はようやく理解した。
レベルが下がってる=攻撃力も下がってる。
だから、今までみたいに一撃で倒せないんだ。
「じゃあ、何回も斬ればいいのか!」
「そういう問題じゃないのよ!」
リーナがツッコむ。
「ファイアボール!」
リーナの魔法がオークを直撃する。
ガルドも次々とオークを斬り倒していく。
「俺も負けてられない!」
俺は剣を何度も振るった。
3回、4回、5回…
ようやくオークが倒れる。
「やった!」
**【経験値を獲得しました】**
おお、経験値だ!
「アキラさん、後ろ!」
エリンの声が聞こえた。
振り返ると、ゴブリンが3匹、俺に襲いかかってくる。
「うおお!」
俺は剣を振り回した。
ゴブリンの一匹を斬り飛ばす。
残り2匹。
「アイスボルト!」
リーナの魔法がゴブリンを凍らせる。
「サンキュー、リーナ!」
俺は凍ったゴブリンを剣で叩き割った。
「ちょっと、私の氷魔法を台無しにしないで…」
リーナが呆れている。
「いいじゃん、倒せたんだから!」
「そういう問題じゃないのよ…」
**【経験値を獲得しました】**
またレベルが下がったな。
でも、今は気にしてる場合じゃない。
「みんな、まだモンスターがいるぞ!」
ガルドが叫ぶ。
見ると、街の奥から新たなモンスターが現れていた。
ワイバーンだ。
「うわ、マジか…」
「あれは…Bランクモンスターよ!」
リーナが叫ぶ。
「やばいな…」
俺は剣を構えた。
ワイバーンが咆哮を上げる。
そして、空から炎を吐き出した。
「逃げろ!」
ガルドが叫ぶ。
俺たちは咄嗟に避けた。
炎が地面を焼き焦がす。
「くそ、こいつ強いぞ!」
「アキラ、無茶しないで!」
リーナが心配そうに叫ぶ。
「大丈夫、俺にはいい考えがある!」
「その『いい考え』が一番怖いのよ!」
リーナがツッコむ。
俺はワイバーンを見上げた。
よし、あいつに飛びついて、剣を突き刺せばいいんだ!
「行くぞ!」
俺は地面を蹴って、ワイバーンに飛びかかった。
「ちょっと、何やってるの!?」
リーナの声が遠くなる。
俺はワイバーンの背中に飛び乗った。
「よっしゃ!」
剣をワイバーンの背中に突き刺す。
「ギャアアア!」
ワイバーンが暴れる。
「うわああ!振り落とされる!」
俺は必死にワイバーンにしがみついた。
「アキラ、馬鹿!降りなさい!」
リーナが下から叫んでいる。
「もうちょっと…!」
俺は剣をさらに深く突き刺した。
「ギャ…ギャアアア…」
ワイバーンが力尽きて、地面に落ちていく。
「うわああああ!」
俺はワイバーンから飛び降りた。
地面に着地…
「痛ってええええ!」
尻もちをついた。
「アキラ!」
エリンが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか!?」
「ああ、平気平気…って、痛い…」
俺は腰をさすりながら立ち上がった。
「もう…本当に無茶苦茶なんだから…」
リーナが呆れた顔で俺を見ている。
「でも、倒せたじゃん!」
「結果オーライじゃないのよ!もっと慎重に戦いなさい!」
「はーい」
俺は素直に返事をした。
「それにしても、まだモンスターがいるな」
ガルドが周囲を見渡す。
確かに、まだ街の中にモンスターが暴れている。
「よし、続きだ!」
「ちょっと、少しは休憩したら?」
「大丈夫!俺は元気だから!」
俺は再び戦場へと飛び込んだ。
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それから数時間。
俺たちは必死にモンスターと戦い続けた。
オーク、ゴブリン、ケイブベア…
次々と倒していく。
「はあ…はあ…」
エリンが疲れた顔をしている。
「エリン、大丈夫か?」
「はい…まだ、頑張れます…」
エリンは必死に剣を握りしめている。
「無理するなよ?」
「大丈夫です…みんなが戦ってるのに、私だけ休んでられません…」
エリンの目には、強い意志が宿っていた。
「…わかった。でも、危なくなったらすぐ言えよ?」
「はい!」
俺たちは再び戦いに戻った。
そして、ついに。
最後のモンスターを倒した。
「やった…終わった…」
リーナがその場に座り込む。
「お疲れ様…」
エリンもヘトヘトだ。
「ふう…何とか終わったな」
ガルドも疲れた顔をしている。
俺は周囲を見渡した。
街は無茶苦茶になっているが、住民は無事のようだ。
「よかった…みんな助かったみたいだな」
「ええ…本当に…」
リーナが安堵の表情を浮かべた。
そして。
**【経験値を獲得しました】**
**レベル887→872**
一気に15も下がった。
「うおお!すげえ下がった!」
「喜んでる場合じゃないでしょ!」
リーナが叫ぶ。
「でも、これで俺、もっと強くなるじゃん!」
「だから、レベルが下がったら弱くなるの!いい加減理解して!」
「え、そうなの?」
「今更何言ってるのよ!」
リーナが頭を抱えた。
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## ステータス
**桜井アキラ**
- レベル:872(890→872、18減少)
- HP:872,000
- MP:872,000
- 攻撃力:872,000
- 防御力:872,000
- 魔力:872,000
- 敏捷性:872,000
- スキル:全スキルLvMAX
**ギルドカード討伐記録更新**
- オーク討伐:7体
- ゴブリン討伐:12体
- ケイブベア討伐:3体
- ワイバーン討伐:1体
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## 次回予告
街を襲ったモンスターの群れを撃退したアキラたち。
だが、レベルは872まで下がってしまった。
そして、この事件の裏には、何者かの陰謀が…?
次回、第20話「事件の真相と新たな脅威」
第1章、クライマックス!




