第5話:初めての決断
東亜 涙香: 師葉 勇武:師葉 美月:頭
前回、美月から勇武たちの説明を受けた涙香。その後、頭から呼び出され、そこには倒れた勇武が、そこで頭が言った事とは...
「...えぇ!?」
突然のことだった。
「ちょっと頭!」
美月さんが声をあげた。
「勇武が倒れてるは別に気にせえへんけど」
「別に良くねぇ...」
「それより、なんで突然同棲なんて」
勇武さんは、必死に訴えだが、美月さん達は無視した。
「勇武に言うてん」「ワシに勝てたら勇武の好きにして、負けたら従うてもらう」
「おいアホ!」「なにいっちょ前に親父の挑発に乗ってんねん」「負けるに決まっとるやろ」
「...はいはい、そうやったな」
「だ、大丈夫ですか?」
私は勇武さんに駆け寄った。
「あぁ、大丈夫だ」
「...ほら、いい感じやろ」
「...まぁ」
美月さん達が何か言ったような気がしたが、聞こえなかったので、分からない。
「ほんで、君はどないや?」「涙香さん」
「え?...あ、あのぉ、強制って訳では?」
「そこまで鬼ちゃう」「こう言うんは、勢いで決めたらあかんのや」
怖い人達だけど、こんな私にも選ばせてくれる。私は、自分で決める事は出来ない。けど、一緒に居たら、楽しくなると思う。
私は、かんがえた。
「...勇武さん...」
「お嬢さん、頭の言うことなんて気にせんでえ」
「私、同棲します」
「...え?」「...え?」「ふっ...」
私は、勇武さんの話を遮って、そう言った。
「涙香ちゃん!?、ええの、無理にこいつと同棲せんでも...」
正直、なんでOKしたのか分からない。...けど、ここで決めれば、何かが変わる気がした。
「...楽しそうだなって、思っただけです」
「...涙香ちゃん...」
「ええねぇ、わしの見込み通りや」
勇武さんのお父様は嬉しそうだったが、美月さんは心配そうな顔をしていた。
「涙香ちゃん、このアホになんかされたら直ぐにあたしに言うんやで」
「何もしないわ!」
...やっぱり、楽しそう。私は知らない間に、笑っていた。
「場所はもう取ったる」「そこが自分らの家や」
「なんでもう用意してんだよ...」
確かに、ただのひとつ返事で決まることに、なぜそんなにも準備をしているのか。
「てことで、ほら、さっさと行ってこい」
「涙香ちゃん、気をつけて」
「...はい、ありがとうございました」
私と勇武さんは車に乗って、"新しい家"に向かった。
車に乗っている時、勇武さんが質問してきた。
「...なぁ」
「はい、なんでしょうか?」
「...そのぉ...なんで、同棲を認めてん?」
「...いや、でしたか?」
「あ、そう言うわけでは...」「別に、強制って訳やなかったから、なんでやろう思て」
「"たのしそう"、だからです」
今回はご愛読ありがとうございました!
これからも、書き続けていきますので
よろしくお願いします('ω')ノ