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(ぼくとエドの違いってなんだろう。どうして、エドは迷いなく進めるんだろう)
その強さは、どこから出てくるの。
「キミは、鞄を探しに行かなきゃいけないしね」
ああ、そうだ。リンは失くしたリュックを見つけなければならない。待ってて、とヴォルフに言われ、その通りにしていた。大丈夫だよ、という言葉の優しさに身を委ねていた。自分から動くことを、すでに止めていた。――それじゃいけない。リンのリュックだ。リンが探さなければ。
「じゃ、寝るよ。ライトを落とすけど……。どうかしたの? 具合でも悪い?」
ぼんやりエドを見つめていたリンは、ふるふると首を振った。さえない顔のまま「なんでもないよ。ちょっと眠いだけ」と笑ってみせる。エドがリンの額に手のひらを当てる。
「熱はない、かな? ねぇ、頭のこぶとか大丈夫? 調子悪いなら、隠さず教えてくれなきゃダメだからね」
うん、とリンはうなずいた。エドが笑みを返し、ライトを絞る。横になったリンは、天井をうつろに仰いだ。
そう、なんでもない。
エドをうらやましいと思うのはおかしい。
エドに背を向けて、リンは瞼を下ろした。エドは寝つきがいい。もう寝息が聞こえてくる。リンも、瞼を閉じてじっとしていれば、じきに眠ることができるはずだ。
不思議だ。お昼から寝てばかりだった。もう寝られないと思っていたのに、夜の十時を過ぎると身体は「くたくただよ」と訴えてくる。そして眠りの沼へ落ちていくのだ。深く、深く……
夜が、街を覆う。静寂が支配する。
するとなぜか、世界にリン一人だけになってしまったような気持ちになった。
真っ暗なこの世界で、ただ一人、自分だけが異質なもののような、弾かれているような、不安が襲ってくるのだ。
ぼくは、この旅に、何を望んでいたのだろう。
平和を崩すつもりなんか、なかったのに。
見たことのない異質な世界。
リンのいるべき場所とあまりにかけ離れた箱庭。
ただ、終わりを目指すだけじゃ、いけないのだろうか。
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