プロローグ② とある密談そして依頼
本話から少しづつファンタジー要素を入れていきます
ある王国の城の一室。この場所で今、ある密談が行われている。
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「お呼びでしょうか。国王陛下。」
「わざわざ君を呼んですまなかった。」
国王と呼ばれた男は、一人の青年に頭を下げていた。
「やめてください!あなたは一国の王なのですよ!ただの冒険者である私に頭を下げるなんて!」
「いや、いいのだ。それにこれは非公式の会談だ。何も問題はなかろう。それに…」
国王は悪そうな顔をした。
「お主が私に敬語というのは気持ちが悪いのう??」
冒険者の青年は非常にバツが悪い顔をした…。
「いや…。さ、宰相殿。あなたの方からも国王に進言してください!いろいろとこれはまずいのでは!?」
青年は国王の後ろに立っていた宰相に助けを求めたが…
「はっはっは。普段なら一つお叱りをしなければなりませんが、あなたと国王の関係を考慮し、普段の勤務も考えると、よろしいかと?」
「さ…宰相ぉぉぉぉ!!!」
青年は頭を抱えて叫んだ。
「良いと言ったであろう??それに、お主からすると私らはガキみたいなものだろう?」
そう国王が言うと、青年(?)は諦めた顔をした。
「………はぁ。まったく…お前のその感じはどうにかならんのかよ。」
「私の性格は生涯変わらぬじゃろうな」
「そうかよ。まあもういいならこのままでいくぞ。」
もしこの場面を他の人が見ていれば、国王に堂々とため口をしている青年。そしてその後ろでニコニコしている宰相。何がどういう事と混乱するだろう。
「それで?俺が呼ばれた理由は?わざわざ城の、しかもこの秘密の部屋に3人だけ。よほど他の人に聞かれたくないことなんだろ?」
「あぁ、宰相。例の資料を。」
「はい。こちらの資料をご覧ください。」
宰相はそばに置いてあった資料を青年に渡した。青年はその資料に目を通し、驚愕していた。
「なぁ…。これ…本当だろうな。」
「あぁ。我が国の宮廷魔術師達が何度も確認を行った。この資料に間違いはない。」
青年の顔は真っ白になった。体も震えている。
「やはり…。お主は知っているな。この反応を」
「……知っている。何が言いたいかもわかった。俺にこの強大な魔力反応を調査してくれだろ?」
「そうだ。この地はザガダルマ海。どの国家もこの場所を領海にはできない。そんな場所に大々的に調査団も送れない。」
「そこで俺に白旗が立ったわけか。どの国にも所属しておらず、そしてこの件に関して最も詳しく。最後に最も信用できる人物と。」
「そういう事だ。」
青年は少しの沈黙の後、うなずいた
「わかった。準備が終わり次第向かおう。」
「頼んだぞ。後日、冒険者協会の方にお主に対して指名依頼を出す。依頼を受注次第、アルガ辺境伯のところに迎ってくれ。そこで調査に必要な物資を渡す。」
「アルガ辺境伯ね。久しぶりに会うな。了解した。」
「頼んだぞ。もし更に必要なことがあれば、わしの個人の方に連絡をしてくれ。辺境伯経由で送らせる。」
「わかった。じゃあな。」
青年は国王に会釈をした後部屋を出た。
「宰相。『黒』を派遣せよ。二人だ。」
「わかりました。周辺の警戒ですね。」
「あぁ。あいつが動くとなると、ほかの国もその動向を探ろうとする。その牽制だ。どっちにしたってあいつには『黒』を派遣したことはすぐにばれる。行動の監視ではないという事は暗に伝えよ。」
「はっ。では、そのように」
宰相はすぐに部屋を出ていった。
「いったい、今後どうなるのだろうな」
一人になった部屋で、国王はそういった。
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