流されるしかない雲
「ずっとここにいられたらいいのに」
「知ってる人と何度も離れるのは嫌だよ」
雲は、とどまれない。
一つの場所を選べない。
どうやっても雲は風に流されるしかないから。
それはどうして?
雲は、重みが少ないから。
ふんばろうと思っても、無理だから。
雲は、体がふわふわしてるから。
風が強いと、すぐに流されてしまう。
一か所にとどまっていたいと思っていても、体が軽いからそうはいかない。
どれだけふんばっても。
ふわふわの体じゃ、風には勝てない。
風に流される雲は、「ここには友達もいる」、「知り合いもいるのに」と嘆くしかなかった。
「ーーくん、遠くに行っても忘れないでね」
「ずっと友達だよ」