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生かして残す者の選別も

 そのまま軍勢を動かしてあちこちの村や町を襲う。

 これはと見込んだ者は生かして残しておいたが、それ以外は全てゾンビの材料にしていった。



 生命系の魔術・超能力を使えるせいか、相手の性質・性格・人間性も有る程度分かる。

 そういった者達を選んで残し、それ以外はゾンビにしていく。

 生かしておけば、大なり小なり誰かに危害を加えて傷つける者達だ。

 そういう人間は生きていても害にしかならない。

 ゾンビにして自発的に動けないようにした方が世の中のためになる。



 ゾンビは霊魂が消耗しきるまで動き続ける。

 その間、自発的な動きはできない。

 自分で考えて、何かを思い浮かべることはない。

 死霊使いの指示を聞いた時だけ動き出す。

 そんなゾンビが他の誰かを傷つける事は無い。



 おかげで世の中は平和になっていった。

 悪さをする者が減ったのだから当然だ。

 やらかす人間がいないのだから、問題が発生するわけもない。

 死霊使いが通った後にはそうした世界が残っていく。



 そんな世界を作っているゾンビは、周辺国にも拡がっていく。

 あらゆる人を飲み込み、数を増やしていく。

 迎撃に出た軍隊も次々にゾンビになっていく。

 どれだけ精強であっても、膨大な数を撃退することは出来ない。

 一体を倒す間に何十体ものゾンビが前進してくる。

 立ち止まる事無く進むゾンビの群れに、鍛え上げた体も武術も効果はなかった。



 魔術や超能力も同じだ。

 それらは一度に何十人もの敵を葬る威力がある。

 極めた者は、軍勢一つを殲滅するほどの力を放つ。

 だが、無数と言って良いほどのゾンビを撃退することは出来ない。

 それこそ国一つの人口そのものが押し寄せるのだ。

 その一角を撃破殲滅しても、全体に影響を及ぼすことはない。

 なにせ、数百万という数が押し寄せてるのだから。

 何百何千という数を葬ったところで意味がない。



 死霊使いも強大な力を振るっていく。

 生命を操る魔術・超能力を使うのが本来の能力だ。

 その能力を使い、ゾンビとした者達から生命力を吸収して放つことができる。



 数百万ともなったゾンビ。

 それらは一つ一つが死霊使いの使役する兵士だ。

 同時に、一つ一つが死霊使いの魔力貯蔵庫でもある。

 死体の動力源として縫い付けた霊魂は、時に魔術・超能力を使うための燃料になる。

 いわゆるMPとしてこれらは活用される。

 その際に死霊使いは、一般的な魔術師や超能力者など比べものにならないほど強力な能力を発揮する。

 当たり前だ、自分一人だけの霊気・気力を使うわけではないのだから。



 そうすればゾンビの使用限界を大幅に削ることになる。

 霊魂そのものを使うのだから、これは避けられない。

 なので、そうそう頻繁に用いることは出来ない。

 だが、効果は抜群だ。

 天候すら操作するほど巨大な力を発揮できる。

 必要なら躊躇無く死霊使いはこの強大な力を使う。



 引き換えに、霊魂は消滅する。

 消滅すれば輪廻転生も行えない。

 存在そのものを完全に消す。

 だが、死霊使いは躊躇わない。

 敵だった連中だ。

 敵に与していた者達だ。

 生かしておく理由がない。



 何より絶大な力を手に入れることが出来る。

 敵対するあらゆる魔術師・超能力者もかなわない。

 ゾンビの霊魂を使うことを躊躇う理由はない。

 敵の力を使って敵を倒すのだ。

 死霊使いは何も失わない。



 むしろ、敵同士を消滅させて得られる利益が大きい。

 金銀財宝ではない。

 領地や資源ではない。

 その地にあった文明、積み上げた知識や経験則でもない。



 平穏。

 敵がいない、誰からも侵害されない状態。

 敵を殲滅していく事で、この状態になる。

 死霊使いにとってこれほどありがたいものはない。



 特に宗教は絶対に残しておけないものだった。

 経典だか教義だかを盾にして死霊使いを侵害してくる。

 決して生かしておけなかった。

 そんなものを崇拝してる連中も、宗教の教えをおぼえてる者も生かしておけない。

 生きていれば、必ず次世代に考え方が伝わる。

 どこかで復活する。

 復活すれば、また侵害を始める。

 根絶やしにするしかない。



 不幸にして宗教は死霊使いが生まれた国にひろまっていた。

 周辺の国々にも拡がっている。

 教えを根絶するには、その場にいる者達を根絶やしにせねばならなかった。

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