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二年ぶりの戦闘だ

 俺は急いでレッドファングロードが生息しているゴンガ山脈へと急いだ。


 普通なら馬車を使って送ってもらうところだが、あいつらと同じスピードでは間に合わないので少々疲れるが走って向かうことにした。俺が走った方が馬車よりも早いのは当然のことだからな。


 馬もビビるくらいのスピードで疾走する俺の視界にはちょこちょこモンスターが移っているのだが、いちいち戦っていたらきりがないのですべて無視して目的地へと急ぐ

 あいつらがギルドを出て行ってから、軽く一時間は足止めもとい、お姉さんの説得に時間を取られてしまっている。それさえなければこんなわざわざ走って向かうこともなかったというのに……これがありがた迷惑というやつか。まあ、お姉さんも俺の実力については何も知らないも同然だ。しょうがないことだろう。






 3時間ほど走っているとゴンガ山脈が見えてきた。

 馬車ならば5時間はかかっているところを半分近い時間で走破してしまったのは我ながら頑張ったのではないだろうかと思う。後のことを考えずに全力を出していればもっと早いが今日は戦闘に帰り道まで残っているからな。ペース配分はしっかり考えておかないと、後々後悔することになる。


「絶対俺が先についちまったわこれ。でもゴンガ山脈にはよくモンスターの討伐でお世話になってたよな。全体的にレベルが高くて良い経験をあいつらに積ませることができたよ。俺の相手はちょっと務まらないがな」


 のんびり歩いている俺を包囲するように、レッドファングが集まってきているのが探知スキルで確認できた。これだけ集まってきたら、中級者パーティでも単独で相手をするのは骨が折れるだろう。運が悪ければ全滅することだってあるかもしれない。


「数もそれなりにいるし、感を取り戻すくらいの相手ならちょうどいいか。欲を言えば一緒に親分を連れてきてほしかったところだな。こっちから探して倒す手間が省けて楽だったんだがな」


 道で相手にするのは少々目立ちすぎるので、森へと入り、開けた場所を目指した。


「よし、ここなら広いし、戦うのにも問題ないな」


 俺がかなりのスピードで移動していたので、包囲するように広がっていたレッドファングたちは、一列に伸びて後を追ってくる形になっていた。


「おいおい、だらしねぇな。このくらいのスピードにもついて来るのがやっとなんてな。せっかくだから、体力が回復するまで待ってやろうか?」


 俺がレッドファングたちに挑発的な視線を向けていると、それがなんとなくわかっているのか遠吠えと共に俺に向かって飛びついてきた。


「お? もういいのか? ははっ、久々にやったやろか」


 飛びついてきたレッドファングの顔面に向かってパンチを繰り出す。


 バンッ!!!


 レッドファングの顔と体の半分くらいが跡形もなく消えた。俺のパンチの威力ではじけ飛んでしまったようだ。


「ちょっと力を入れすぎたか? まあ、生け捕りにする必要もないし構わないか」


 最初の一匹が無残にはじけ飛んだのを見ても、レッドファングたちはひるむことなく連続で俺にとびかかって来る。


  バンッ!!!  バンッ!!!  バンッ!!!  バンッ!!!


 パンチにキックの連打で難なくレッドファングたちを葬り去る。あまりにも歯ごたえがなく、もはや作業でしかないのが少し残念だ。もう少しまともに相手をしてくれないと、俺のリハビリにはならない。






「やっと、最後の一匹か。お前たちも諦めて撤退するってことを覚えたほうがいいぞ。格の違いなんて最初からわかっていることなんだしな。モンスター相手にこんなこと言ったところで意味はないか」


 結果、最後の一匹もぶっ倒し、一応俺の感を取り戻すための戦闘は終了した。


 町に来て、冒険者を始める前に比べるとやはり全体的な能力が下がっているような気もするが、二年も戦わなければ当然のことだし、これから慣らしていけばすぐに元のレベルまで戻るだろう。

 そろそろ体もあったまってきたし、あいつらが着く前にお目当てのレッドファングロードを探すとしますか。てか、子分をこれだけ盛大に倒してやったんだし、ここで待ってたら向こうから勝手に現れてきそうなもんだがどうだろう? ちょっとここで待ってみるか。

 ボスを呼んでこさせるために一匹くらい生かしておくんだったな。できるかどうかは知らないが遠吠えとかで呼んでくれたりしたかもしれない。狼系のモンスターって基本的に遠吠えで意思疎通してるイメージがあるんだよな。






 しばらく待っていると少し離れたところから遠吠えが聞こえた。

 おお、ついに来たか。この遠吠えは間違いないだろ。レッドファングがまた群れで襲ってくるとかあほなことはしないと信じておこう。


 ドスッ、ドスッと大きな足音がこちらに向かって近づいてきた。


「やっとお出ましか。まったくあんまり待たせるなよな」


 先ほどまで戦っていたレッドファングの五倍以上はありそうな巨体のモンスターが木をなぎ倒しながら、姿をあらわした。


「流石にでかいな。今度はもう少し本気を出させてくれよ」


 俺はファイティングをとり、レッドファングロードの攻撃に備えた。


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