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ラフネの造花  作者: 面映唯
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 家に着くと、なによりも先に洗面所に行った。手を洗い、部屋に戻って部屋着に着替える。そこまでやってから腰を下ろすと、どっとため息が出た。


 人混みが苦手なのであれば、移動手段を車に変えればいいのではないかと思ったことがある。免許も持っているし、安い中古の車を買えるだけの貯金だってあるが、そうせずにいないのは面倒だというのがある。毎回毎回駐車場を探すのは疲れるし、電車のように正確な時間に目的地にたどり着けないので余裕を持って自宅を出なければならない。


 それでも、人混みよりはマシだろう。マシだろうが、瀬尾は車を買って駐車場を探して、という手間よりも電車での人混みを選んだ。


 そうやって毎日毎日悩みながらも思い切った行動に移せず、なんとなく生きる生活にも終局が見え始めていた。人との付き合い方を忘れた瀬尾に、輝かしい未来は似合わなかった。唯一信じてみてもいいかなと思った学生時代の友人が明日結婚式を行うらしい。瀬尾のことをまだ覚えていてくれたみたいで、ショートメールにお誘いの連絡が届いていた。


 眩しいものは苦手だった。飲み会、イベント、ライブ、結婚式。それでも彼女の結婚式に行こうと思えたのは、彼女がくれた時間とやらが、少なからず瀬尾の今の人生に影響を及ぼしているということだろう。


 何事も最後だと思えばまあいっかと思える。嫌なことをしなければならないときは、毎回心の中で反芻していた。


 今回もその言葉を心の中で反芻してみる。結婚式に行けば少なからず学生時代の顔見知りに会うことになるだろう。遠くから見ているだけでいい。それに、これで最後だから、と。


 今回の「最後だから」は、現実になってしまうような気がしていた。



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