セントリア旅行の予定
「セントリアって......ここから何か月かけて移動するつもりなんですか!」
俺はつい大声を出してしまう。
が、セントリアはここから国境までで確か馬車で二週間、そこから首都までさらに二週間。それが片道というのだから、移動だけで二か月、吹っ飛ぶことになる。
旅をすることに抵抗があるわけではない、パーティーにいた頃にはいくらでもやってきた。だが今は立場が違う。
いくら聖者の任命式が宗教的に大切だとしても、いくら治療院が落ち着いたとしても、それだけ席を空けるのは都合がいろいろ悪いだろう。
「流石にそれだけ馬車に乗るつもりもありません。実は、この治療院にはあるんです」
「あるって、何が」
「ついてきてください」と聖女様が先行する。ので、俺もそれに着いていく。
俺の部屋を出て応接室と呼ぶべきなのだろう聖女様が俺といつも話していた部屋に入る。
「ここです」
そこにあったのは一つのタンス。
そこにあること自体は違和感ではないが、よくよく考えると聖女様の部屋があるというのにわざわざ応接室に置いていて、何を入れるのかと考えると違和感に感じてくる。
しかし俺の困惑を置いて聖女様はタンスの中に手を入れる。
何かを探っているような、そんな様子で。
するとかちっ、と音がした。
「特別ですから、来てください」
聖女様は、自室に足を踏み入れた。
俺が立ち入るなと言われた、聖女様の部屋だった。
「なんだこれは」
つい、聖女様の前で素の声が出た。
初めて入る異性の部屋だというのに、俺はそっちよりも、部屋の中心にあった異物に目を奪われた。
そこにあったのは、巨大な階段。
下の階へと伸びているそれは、途中から闇に包まれ見えなくなっている。
それほどに長く続いているもののようだ。
「この先に、転移魔法陣があります」
「転移魔法陣......!?」
それは、簡単に言えば長距離を一瞬で移動できる便利な魔法陣だ。
が、高度な魔法陣のため、継承がうまくいかなかったという理由で今は作ることが出来ない、それが一般常識だった。もちろん現存していたものは国の管理になり、厳重な警戒態勢を敷いている。
何故、ここにあるんだ。
「明日、これに乗って移動しましょう。それから数日間、いろいろ整えてからおそらく式があると思います」
「数日後、ですか」
何故そんなに急速に俺が聖者認定される式を行えるんだ、と疑問に思ったが、それを聖女様に聞いたところでわからないだろうからと口をつぐんだ。どうせそっち......教皇のほうの対応の問題だろう。
「わかりました、ではこれからは自由時間ですか?」
「はい、一応そうですけれど......何かしたいことでもあったんですか?」
聖女様はこてん、と首を傾げた。
そんな可愛い仕草をされても、特に面白い回答は持っていないというのに......
とりあえず、用事だけ話しておくか。
「色々、生活必需品が足りてないことに気付きまして」
とりあえず買いたい、服を。
「お金はあるんですか?」
――――ない。
そうだった。
「ギルドの報酬に全額、持って行かれましたね......忘れていました」
「それでしたら、これを」
そう言って聖女様のポケットから出てきたのは金貨だった。
「給料の先払いです。持って行ってください」
「あぁ、ありがとうございます」
そういえば日給だっただろうけど、数日間貰ってなかったな......?
そんな疑問を浮かべたが、先払いしてもらった手前他もください、なんてことは言えるはずもなく、とりあえず買い物をするために治療院を後にするのだった。
ポイントめっちゃあがっててびっくり(語彙力の喪失)
記念と言っては何ですが、またやります、三話投稿。
とりあえず今日の分、夜に出来ると思いますので気長にお待ちください。




