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君を待っていた

先に言っておきましょう。

賛否両論あるのは受け止めましょう。

「聖女は捕らえる。男は殺しても良い」


「リーダーもさては乗り気っすね! クヒヒッ!」


「そうと決まれば、すぐに、だ!」


 そう言って、一人の男は距離を詰めてくる。

 どうやら相手側は俺を護衛か何かと勘違いをしているようで、先に俺から排除するような動きで接近してくる。


「クソっ」


 俺だって死にたくはない。というか、ここで死んで人数差三対二が三対一に変わったところで状況は変わらない。

 ので聖女様を置く決断をして、バフを自分自身にかけると距離をとった。


「お前の相手は俺だな」


 そう言って、男は剣を構え、距離をじりじりと詰めてくる。

 正直、これは想定外だった。


 現在、ギルド所属の人達は扇状に、各々の索敵の範囲が少し被るぐらいの距離感を保ったうえで移動するよう作戦を言っていた。

 が、索敵漏れしたか、あるいは自身に害がないと判断してスルーしたか。

 こうなってしまうとこっちが圧倒的に弱い。二人とも誰かを強化すること前提、自分自身が戦うことは考慮してない。


 一応、聖女様にエフェクトを隠してバフを飛ばした。が、戦闘経験が皆無なうえ、人数差だ。期待してはいない。

 本命は時間稼ぎ、誰かが協力してくれれば......そういえば。


 街のほうを見る。門は森のすぐそこにあるから、助けを呼ぼうとすれば呼べるだろう。

 それをこの三人が許してくれるかは別として、だが。


 小さく、ばれないように魔法を使用した。

 その魔法は、ある場所目掛けて一直線に飛んでいった。

 これが、合図となればいいんだが。


「今、何かしたか?」


「死ぬと分かっていて、何もしないわけないだろう」


 一応、強がりを言ってみる。

 まぁ事実だけど、それがうまくいくかどうかは賭けである。


「まぁいい。すぐに殺せば変わりない――――!」


 大きく振りかぶった一撃。

 を、辛うじて避ける。

 が、横に飛んだため態勢が崩れた。


「護衛ともあろう人が無様だなぁ!」


 剣を突き立ててくる。

 それを地面をゴロゴロと転がる形で避けていく。

 ローブがどんどん土と草で汚れるが、それも気にする暇もない。

 これも当てられないとなると、こいつらも正面切って戦う経験は少なかったのかもしれないな。


「チっ、面倒だ。おい、こっちに一人よこせ!」


「話す暇があるか」


 俺は即座に脛を蹴る。

 相手はどうやら防具を仕込んでいたようだ。

 ので、即座に膝裏を蹴り、足を曲げさせた。


「戦いにくいったらありゃしねぇ!」


「俺が行こう」


 リーダー格の男が出てきた。

 聖女様のほうにはローブを着た男――――おそらく呪術師――――が残っていた。


 というか、リーダーに来られたらどうしようもない。

 今までやれたのは単に一対一という、隙が必ず存在する戦いにおいて、判断力に欠ける男に対してあの手この手で精一杯の遅延戦術をしていただけだったから。


「二人がかりで戦うような相手でもなさそうだが、すぐに終わらせるぞ」


「わかってますよ、リーダー」


 すぐに二人が武器を構えた。

 リーダーの武器は弓のようだ。

 前衛の剣、後衛の弓、そして呪術で支援というバランスの良さがうかがえる。

 その技術とバランスで森を生き抜いていたようだ。

 まぁ、人間に対しては呪術を使って追い返しただけのようだったが。


「何故、呪術を使って人間を追い返した。殺すこともできただろう」


 そう、問いかけた。

 見られて困るなら口封じ、だろう。が、わざわざ呪術を使う理由もない。


「ほう、それを知っているのか。だが、簡単なことだ。あの状態ならいずれ死ぬ。が、それは俺たちが殺したんじゃあない。魔物の傷が悪化して死ぬわけだ」


 そう、堂々とリーダーは言ってのけた。


 あぁ、そう言うことか。

 こいつらはこの状況になっても、自分たちがもし捕まったときのことを考えて、手を汚してないというわけだ。

 聖女様のほうを見るに強姦未遂、それに俺のほうは殺人未遂だろうが、それでも殺していない分罪は軽くなるだろう。


「俺に、わざわざ説明してくれるんだな」


「もちろんだ。今から死ぬ奴の最期の遠吠えぐらい、聞いてやる」


 そう、考えていると思ったよ。

 これが、精いっぱいの時間稼ぎ。

 これ以上は俺も、聖女様のほうも無理だろう。

 そう思っていた時だった。





「ファイアランス!」


 ある方向から、三本の火の槍が飛んでくる。

 それは、街の一直線上。


「ぐあっ」


「なにっ」


「うげっ」


 先に着弾した剣を持っている男は、胸を貫かれて即死した。

 そしてまだ後ろにいたリーダー格の男は、それを間一髪で避けていた。

 その奥、聖女様に迫っていた男はその槍の接近に気づけず、脇腹に直撃を食らっていた。が、まだ息はあるようだ。

 まさか、と俺はその魔法を撃った人を見る。そして作戦が成功したと分かると、もうにやりと笑うしかなかった。


「あれだけ挑発してた男が、こんな無様だと興ざめよ」


「それに関しては悪かったよ」


 そう、そこに現れたのは。


「――――クレディ」

これがやりたかったからそこで切り捨てさせたのもありますが。

次回更新1/27の夕方に頑張りたいと、思ってます。

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