フィア
「戻ってきました、怪我人はどうですか」
「ロードさん、良かった、もうそろそろ限界が近づいていたので......」
受付の人がこちらに来る。限界が近い、ということはまだ崩壊はしてないということか。それなら間に合ったようで何よりだ。
そういえば、この人昨日の遅くに仕事を頼んで、朝早くからいるけど、ずっとこうして受付をしているのだろうか。
「ちなみに......受付の人はこの時間からずっと?」
「......名前、そういえば名乗っていませんでしたね」
はぁ、と彼女はため息をついた。
どこかやってしまった、という表情に見えるのは気のせいだろう。そう思う理由はどこにもないし。
「私はフィア。使える魔法は治癒......と言ってもあなたはともかく他の方々よりも微量しかできません。それでも誰かの力になれるよう、早朝から深夜まで、頑張ってます」
「これは丁寧にどうも、ロードです」
改まって、受付の......フィアさんが自己紹介をした。
正直少し照れてしまって返し方がカクカクしてしまったのは仕方がないだろう。
名前も知れた。勤務時間も知れた。謎は全て解けた。
というのに、脳内には計画なんて絶対にうまくいかないと、勘がささやいてくる。
「ロードさん、何かされるおつもりなんですか?」
「えぇ、まぁ、この怪我人の多さを解決するために原因を叩きに」
「そうですか、それならここを訪れた腕っぷしに自信がありそうな人に声、かけておきますね」
「ありがとうございます、ギルドで依頼を出しているので、そっちに案内してくれますか?」
「わかりました。頑張ってください」
フィアさんが手を振る。
俺は少し照れてしまいながらも、手を振って一応、怪我人がいるであろう部屋を見に行った。
中には治療中の人か、治療完了した人かの二種類しかいなかった。
そう。ここまでは好調だった。
「急患だ!」
昨日と言い、今日と言い。ポーションの備蓄もほとんどないというのに怪我をされても困る。
「ロード、また頼む」
「なんでそうなるんだよ......」
そこに現れたのは、傷だらけで気を失った男女を抱えた、マルコだった。
総合評価200pt、ありがとうございます。
ということで、1/24は三度更新したいと思います!(今回量が少ないのは申し訳ないです)
まずは深夜帯、少々お待ちください!




